米ナパバレーで注目のワインは「白」、カベルネの赤顔負けの味わい
- カルトワイナリーで新たな白ワインが続々と誕生
- 年月とともに熟成、収集の対象となり得るワイン:フェイヤード氏
ワインコレクターの友人から先日、グラス一杯の「スクリーミングイーグル」を勧められた時、私は思わず「カルトワイナリー」と呼ばれるこだわりの強いワイナリーが造る上品で高価な赤ワインを思い浮かべた。しかし、初めて口にしたそのワインは、洗練され極めて高価で、ほとんど完全にあり得ないと思えるような白だった。
米カリフォルニア州ナパバレーといえば、一般的には赤ワインを思い浮かべるかもしれない。しかし、驚いたことに、この赤ワイン品種カベルネの伝統的な産地で、トップワイナリー10数カ所が、名高い赤ワインと同様のきめ細かいアプローチで白ワイン造りに取り組んでいる。
幸運なことに、これらのワイナリーで醸造されたワインを試飲したとしても、私が口にしたソービニヨン・ブランを使ったスクリーミングイーグルほど高価ではない。年間300本製造されるこのワインの値段は、カルトワイン・ドットコムによれば、2010年産がなんと1本4650ドル(約52万4000円)だ。
ナパ産のソービニヨン・ブラン
ナパ産のソービニヨン・ブランはかつて、短期間にキャッシュフローを改善する収益本位のワインとして知られていた。つまり、秋にブドウを収穫し、春にはワインとして売却することができるというものだ。ソービニヨン・ブランの栽培に真剣に取り組んでいたのは、ロバート・モンダビやスポッツウッド、アイズリー・ビンヤードなどほんの一握りのワイナリーだけだった。
しかし、こうした状況は一変した。フランスのプロバンス地方出身で、ワイナリーのアズールとアンプラントブランドの創業者であるカリフォルニア州のワイン醸造家ジュリアン・フェイヤード氏が数週間前にニューヨークを訪れた際、芳醇(ほうじゅん)で滑らか、力強い味わいのアンプラントのソービニヨン・ブランを供してくれた。250ケースしか製造していないにもかかわらず、同氏はそれをカリフォルニア州以外でも発売。「このワインは年月とともに熟成する。収集対象となり得るワインだ」と語る。
フェイヤード氏は、アーケンストーンやクー・デ・フードル、ダナ・エステーツ、ファビア、アワーグラス、イルミネーション、イングルヌック、マルチアーノ、ラッドなど、年を重ねるごとに熟成が進むソービニヨン・ブランのワインを醸造する生産者の一人だ。ナパではこうした生産者が増えている。
ワインリスト
2013マサイアソン・ホワイト・ワイン(42ドル)
このブレンドワインはナパ産の新しい白ワインの象徴となっている。
2014エンフィールド・ワイン・ヘインズ・ビンヤード・シャルドネ(45ドル)
新進気鋭の醸造家ジョン・ロックウッド氏がナパの古いブドウの木の一部からシャルドネを収穫して使用。
2014アクセンド・セラーズ・ソービニヨン・ブラン(50ドル)
話題のワイナリー産の2番目のビンテージ。100%ソービニヨン・ブランを使用。
2013アリエッタ・オン・ザ・ホワイト・キーズ(65ドル)
ソービニヨン・ブランとセミヨンをブレンド。
2014ラークミード・リリー・ソービニヨン・ブラン(70ドル)
このワイナリーは、グレープフルーツやライムのような香り豊かなワインを少量製造。
2014アンプラント・ソービニヨン・ブラン(75ドル)
爽快なグリーンハーブの香りと、フレンチオークのたるで熟成した香ばしい香り。
2013アイズリー・ビンヤード・ソービニヨン・ブラン(100ドル)
花とメロンの香りを放ち、優雅さと複雑さという意味で新たな水準に達した。
2013レイル・ビンヤーズ・ジョージア・ソービニヨン・ブラン(150ドル)
フレンチオークのたるで発酵・熟成。力強く活気に満ちトロピカルフルーツのような芳醇さを持つ。
原題:Cabernet Who? The Hot New Wines Out of Napa Are White(抜粋)