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理想の虫籠
二次創作初めてなので読みづらいと思います。どうか暖かい目で見てやってください
「こんにちわ。私の声、聞こえるかな。」
どこか聞き覚えのある少し機械音混じりの少女の声で目が覚めた。だが、そこは見渡す限り真っ暗な世界で自分以外を視認することができなかった
「怖がらないで、私はあなたの味方だよ」
「私のはμ。ねえ、君の名前を教えてくれる?」
,μ,
聞き覚えのある名前だった。そう、身近に居た……だけどそんなことあるのか。ならここは夢の中ってことか
暁……暁 詩音
「詩音……良い名前だね。」
「急にこんなところに来ちゃってきっとビックリしてるよね」
「安心して、これからあなたは辛いことは全部忘れられるよ。私の作った世界じゃ皆の願いが叶って、苦しまず一生幸せでいられるよ」
「だからあなたも欲しいものやしたいことがあるなら言ってみて。私が全部叶えてあげる」
全部……変えられるのか。なら普通の高校生活を送りたい。平穏で平凡な、何にも囚われない普通の日常を送らせてくれ。凡才として、努力だけで駆け上がれる人間にしてくれ。わ……俺はそれだけで良い……
「本当に良いの?」
あぁ、それ以外はいらない。特に突拍子した才能なんて
「……そうなんだ。でも何か不満ができたら教えてね」
そうするよ。とにかく今は、早いところその世界とやらに俺を転生してくれよ。
「あ、ごめんね待たせちゃって。今連れていくね。」
「暁 詩音君。ようこそ!メビウスへ!」
詩音side
3月15日 第54回 私立吉志舞高校 卒業証書授与式
「在校生、祝辞」
「在校生代表、二年四組 柏葉琴乃」
はい、と返事をして壇上に上がっていったのは茶色の長髪を靡かせた美少女だった。ただ、何か高校生とは違う別種の落ち着きを持っていた。
「卒業生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。」
「以上、在校生からの言葉でした」
挨拶を終えた彼女は卒業生の方に一礼し、壇上から降りた
「続きまして卒業生代表、祝辞」
「卒業生代表。三年四組 響 健介」
「はい」
壇上に上がった眼鏡の少年は先程の彼女とは違い、どこかふてぶてしくやる気の無さそうに登っていた。
挨拶の内容は卒業生にしてはあまりにもお粗末な物だった。インターネットで見つけた文章をコピーページしただけのようで聞いていてつまらない。こいつは一体どのような道に進むつもりなんだ。
「以上、卒業生からの言葉でした」
「続きまして……」
4月8日 私立吉志舞高校 始業式
卒業式から1ヶ月経った今日この頃、桜花爛漫と言わんばかりの桜に迎えられ新たな吉志舞生が入学してきた。新たな吉志舞の顔としてこの学校を彩ってくれるだろう。
だが、俺こと、暁 詩音は入学式を欠席してしまった。理由はただの寝坊……新入生との顔合わせをろくにせずに始業式を迎えてしまった。
ただ俺はそこまで人と進んで関わる趣味もなく、年下とは全く喋ることは無い。だからこれと言って困ることはないのだが、今日俺は、無断欠席の罰として新入生歓迎会とやらの準備を手伝っていた
「なぁそこの君、これはここで良いのか?」
「あぁ……構わねぇよ。ん?…お前見ない顔だな。新入生か?」
「これでも二年だ。君こそ誰だ?」
荷物を地面に置きそいつを見上げると、制服を着崩した男が驚きを隠せない表情をしていた
「……俺を知らないのか…?俺だぜ⁉この学校でも知らない奴はいない俺様だぞ⁉あのイk」
「知らん物は知らん。名前を言いな、実名でな」
「……2年7組小池智也……マジで俺のこと知らねぇんだな」
「今知ったよ。俺は2年2組暁だ、よろしく。ちなみに見慣れない顔ブレがちらほら見えるが新入生かな?」
「そうらしいぜ。入学早々生徒会やら部活やらの仕切りに胡麻擂りしてんだ。ま、なんてたって今日は特別ゲストを交えた俺様のライブだからな!」
小池が頭に乗せたサングラスをかけ得意気に話す自慢話を「あぁ、うん、そうか」と流しつつ周りを見ると確かに音響機器や楽器などがあった
「君がライブねぇ……軽音部?」
「ちげぇよ!あんなのと一緒にすんな!特別ゲストが歌う中…俺様が皆を上げていく!最高だろ⁉」
それは特別ゲストとやらのライブであってお前のライブではないだろ、と言ってやりたかったが、面倒なことになりそうだったのでやめておこう
「その特別ゲストってやらはどんな奴なんだ?」
「もちろん俺らの歌姫。この渇いたガイアを潤すために舞い降りた天使……μだ‼」
「そこまで持ち上……μ?μって確か」
「すいません。これ何してるんですか?」
俺がそこまで言いかけた時、後ろから少し高い少年の声が聞こえた。多分、新入生か何かだろう。
正直関わりたくなかったから小池に任せて俺は次の作業に移ろうとした。だが……
「新入生歓迎会の準……お前、響か?」
「…はい、響 健介です。小池先輩そっちの方は?」
「あぁ、こいつは……ってどうした⁉その顔色⁉」
「おま……卒業…いや、何その顔⁉」
響 健介……一ヶ月前の卒業式に答辞を読んでいた生徒だと俺は記憶している。だとしたら新入生に同じような名前の奴がいただけで説明が辛うじて付く
顔はどんな顔かは覚えていない、眼鏡をかけていたぐらいしか……ただ、同じ人物か確認したくてもできない。
その少年の顔にはノイズがかかっており、どのような顔かわからなかった。それだけではなく、周りの建物の一部や近くの生徒の顔にもノイズがかかっていた。
「お前……見えるように」
「ああぁぁぁぁぁぁ!!」
「お前‼……待ちやがれ‼」
さっきまで普通に話していた小池の顔にもノイズが現れだしていた。情けないが悲鳴を上げて逃げだしてしまった。ここは異常だ……普通の人間の顔にノイズなんて走らない、卒業した人間が同じ学校にまた入学してくることもない。
だが、今は記憶が混濁して自分のことがわからない。何か情報源を探さなければ……
学校を急いで出て、駅前の広場に向かった。そこには本屋があったから、自分のことが確認できる。それからこの場所について誰かから聞き出さないと……
詩音sideout
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