【ワシントン=川合智之】スパイサー米大統領報道官は24日午後のホワイトハウスの定例記者会見を中止し、政権側が指名した報道機関だけが参加できる記者懇談に切り替えた。トランプ米大統領が「偽ニュース」と批判するCNNテレビやニューヨーク・タイムズ紙などは選ばれなかった。トランプ氏は同日午前の保守系政治団体の年次大会での演説で「偽ニュースは国民の敵だ」と主要メディアを批判、対決姿勢をあらわにした。
記者懇談に参加したのは、政権に近い保守的な報道姿勢で知られるFOXニュースや、側近のバノン首席戦略官・上級顧問が運営していた保守ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」。ウォール・ストリート・ジャーナル紙やABCテレビ、ブルームバーグなど計十数社が参加した。
日本経済新聞など日本の報道機関は招かれなかった。AP通信やタイム誌はホワイトハウスに参加を打診されたが、記者会見中止に抗議して参加を拒否したという。ホワイトハウス側は選ばれた記者だけに事前にメールを送ったと説明したが、選出の理由には触れなかった。ホワイトハウス記者会は「強く抗議する」との声明を出した。
トランプ氏は同日午前の「保守政治行動会議(CPAC)」の年次大会での演説で、米紙ワシントン・ポストが9日、米大統領補佐官(国家安全保障担当)だったフリン氏が就任前に駐米ロシア大使と電話協議していたと報じたことに関し「情報源はなく、捏造(ねつぞう)だ」と非難。「匿名の情報源を使うのは許されない」と厳しく批判した。
トランプ氏はCNNを「クリントン・ニュース・ネットワークだ」と呼び、民主党寄りだと指摘。主要メディアが大統領選で誤った世論調査結果を公表していたなどと批判している。