【社説】国際社会の配慮を犯罪に利用する北朝鮮

 皮肉なことに北朝鮮の犯罪的本質から顔を背けているという点では、韓国の野党各党も何ら変わりがない。例えば韓国の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は19日に今回の北朝鮮による犯罪行為を非難したが、それは「もし北朝鮮の指示による政治的な暗殺であれば」という条件付きだった。しかしこの日、マレーシアは北朝鮮国籍を持つ容疑者の顔と名前を公表していた。文氏は2010年に韓国の哨戒艦「天安」が沈没させられた時も、北朝鮮に対する非難は「(韓国)政府の発表が正しければ」という条件付きだった。

 現在の「共に民主党」の前身であるかつての民主党が政権の座にあった時代、当時の金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と首脳会談を行ったが、二人はその席で「大韓航空機爆破(1987年)」「ラングーン爆弾テロ(1983年)」「李韓永(イ・ハンヨン)氏殺害(1997年)」などについて北朝鮮に謝罪を求めなかった。今回も次の大統領選挙で共に民主党が政権を握った場合、彼らは南北首脳会談を行うと言ってはいるが、その席で「哨戒艦『天安』沈没(2010年)」「延坪島砲撃(2010年)」「木箱地雷による挑発(2015)」などにはおそらく言及しないだろう。北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)委員長には任期がないため、北朝鮮は時間が過ぎれば自分たちが行ったテロも「どうせ全て忘れ去られる」と考えている。これでは彼らが犯罪行為や挑発行為をやめようと考える理由などどこにもない。

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