【社説】国際社会の配慮を犯罪に利用する北朝鮮

 マレーシア政府は20日、クアラルンプール空港で金正男(キム・ジョンナム)氏を殺害した北朝鮮に抗議するため、平壌駐在の大使を召還した。さらに金正男氏の遺体を解剖せず引き渡すよう求めた北朝鮮のカン・チョル駐クアラルンプール大使を同国外務省に呼んで抗議した。マレーシア外務省は昨日発表した別の声明で「わが国(マレーシア)の評判を落とす(北朝鮮の)根拠なき行動を非常に深刻に受け止めている」と表明し、北朝鮮に対する制裁を念頭に置いていることも示唆した。これに対してカン大使は自ら会見を開き「北朝鮮国籍のキム・チョルなる人物は自然死した」「韓国と結託したマレーシアが事件を政治問題化した」などととんでもない主張で反論した。

 マレーシアは1973年に北朝鮮と国交を結び、それから40年以上にわたり友好な関係を維持してきた。北朝鮮には現在24カ国が大使館を置いているが、マレーシアもその中の1国だ。北朝鮮が核実験やミサイル発射を繰り返すようになってからは、マレーシアも北朝鮮との関係を少しずつ見直してはいるが、それでもマレーシアは北朝鮮の関係者にノービザで入国できるよう今も配慮を続けている。

 ところがこのように北朝鮮に配慮を続けた結果、多くの人が行き交う平日の日中に、しかもクアラルンプール空港という公の場所で北朝鮮は殺人を犯した。自分たちを「パルチザン国家」などと自画自賛する北朝鮮だが、他国との外交関係まで自分たちの犯罪に利用しているのだ。ちなみに北朝鮮は世界各国の大使館を通じて密輸などの国際犯罪を行っているが、それも彼らにとっては氷山の一角だ。北朝鮮は1983年にミャンマーでテロ(ラングーン事件)を起こし、韓国の副首相を含む17人を殺害したが、当時も犯罪行為の拠点は現地の北朝鮮大使館だった。その結果、ミャンマーは即座に北朝鮮と断交したが、2007年に両国の国交は回復し、この外交関係を悪用した北朝鮮の犯罪行為は今も変わっていない。外交はたとえ戦争中であってもその相手との間で維持しておかねばならない。しかしそれは「外交関係は外交のために必要な手段」と認識する国とでないと成立しない。世界が北朝鮮の現状を正しく認識しなければ、北朝鮮の本質に対する誤解と、その誤解を悪用する北朝鮮の犯罪行為は今後も続くだろう。

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