ここから本文です

国有地売却、政権火消し=安倍首相、森友学園と距離

時事通信 2/24(金) 20:01配信

 学校法人「森友学園」に国有地が格安で払い下げられていた問題で、野党は24日、国会で「不当に安い」と追及を強めた。

 政府は適正な取引だったと反論。安倍晋三首相は土地売却への関与を重ねて否定し、昭恵夫人が同学園の小学校名誉校長を辞任したことを明らかにした。学園側と距離を置くことで、火消しを図った形だ。

 森友学園(大阪市)は、大阪府豊中市の国有地(8770平方メートル)を、鑑定額から埋蔵ごみの撤去費用として約8億円を差し引いた1億3400万円で取得。24日の衆院予算委員会などの審議では、売却価格の適正さに加え、売却に際しての首相や政治家の関与の有無が論点になった。

 首相は「私と家内、安倍事務所は一切関わっていない。もし関わっているなら、政治家として責任を取る」と重ねて明言。夫人の名誉校長就任に関し「何回も何回も明確に断っていた」と説明、森友学園が自身の名前を使って寄付集めをしていたことに「非常に驚がくした」として抗議したことも明かした。

 ただ、17日の衆院予算委では、同学園について「教育に対する熱意が素晴らしいと妻から聞いている」と評価する答弁をしていた。学園に対する認識を改めたことは明らかだ。

 政府は、通常は専門業者が行う埋蔵ごみの撤去費用約8億円の積算を、国の機関である国土交通省大阪航空局が直接行っていたことを認めた。しかも、実際に撤去されたかや、かかった費用は「把握していない」(財務省)という。

 こうした説明を捉え、民進党の玉木雄一郎氏は「ごみの撤去費用8億円は適正な算定なのか」と追及。売却額の積算根拠が不明朗だとして「適正な対価なくして国有財産を譲渡してはならないとする財政法に違反する案件だ」と断じた。

 序盤の国会論戦で手詰まり気味の野党は、国有地売却を格好の攻め口と捉えている。民進党の安住淳代表代行は記者会見で「適正な取引だと財務省は言っているが、私も国民もそうは思っていない」と指摘、学園の籠池泰典理事長の参考人招致を改めて要求した。

 一方、公明党の井上義久幹事長は会見で「国民に、通常より安い価格で払い下げられたのではないかという疑問がある」と野党の言い分を一部認め、「きちんと積極的に答えていくことが大事だ」と政府に注文を付けた。取引の経緯は会計検査院が調査に乗り出すことにしており、論戦はまだ尾を引きそうだ。 

最終更新:2/24(金) 21:42

時事通信

本文はここまでです このページの先頭へ

お得情報

その他のキャンペーン