「Weed」「Buds」「Pot」「Nug」「420」「Kush」。何のことを言ってるかわからない人、すぐにわかる人、それぞれいると思うが、これらは全部マリファナ=大麻を指す言葉だ。
このマリファナがいま、アメリカで合法的な産業として、グリーンラッシュと呼ばれるほどの巨大なマーケットに成長しているのをご存知だろうか。
大麻市場の調査を行うThe ArcView Groupのレポート(外部リンク)によれば、その成長スピードは、北米では2000年代のブロードバンドインターネット産業と並ぶほど。アメリカでの過去のどんな産業よりも速く成長していると言われている。インターネット並みってまじかよ。
すでに全米28州と首都ワシントンD.Cで大麻栽培や使用が解禁となっている。
日本では完全に「ダメ、絶対。」な違法薬物として悪名高いマリファナ。定期的に有名人が逮捕され、ワイドショーで大々的に報じられる。
映された関係者やコメンテーターのシリアスな表情を見るたびに、あぁ、やめたくてもやめれない恐ろしい薬物なんだと、視聴者は自分を戒める。
しかしマリファナを取り巻く世界の情勢がこれだけ大きく動く中で筆者が思うこと。それは、日本人ヤバいんじゃね? ということだ。
マリファナ使用の是非とかではなく、これだけ日本と世界の認識がかけ離れていることを自覚していないこと、自分たちに与えられた情報が本当に正しいのかを考えてもいないことに、マジでゾッとするのだ。
いま、アメリカにおけるマリファナの扱いはどうなっているのか。昨年までNY(ニューヨーク)に在住していた筆者が、目の当たりにしたことを踏まえてお伝えしたい。
取材・文:和田拓也 編集:新見直
コロラド州ではディスペンサリー(マリファナショップ)が900を超え、マリファナビジネス関連のスタートアップの数も100以上となった。
ラッパーのスヌープ・ドッグが立ち上げたマリファナブランド「Leafs by Snoop」や、女優のウーピー・ゴールドバーグが手がける女性用医療用マリファナ製品ブランド「Whoopi & Maya」など、スタートアップのみならず、セレブリティもブルーオーシャンのマーケットに続々と参入している。
マリファナビジネス市場の著しい成長は、やはりアメリカ国内での合法化の流れによるところが大きい。
先日、第45代アメリカ合衆国大統領となったドナルド・トランプ。衝撃的な結果となった昨年11月の大統領選、実は同じ日にアメリカ各州でマリファナの合法化に関する住民投票が行われていた。
結果は、新たに医療用マリファナが4州、嗜好用はド本命のカリフォルニア州を含む4州で合法となり、アメリカのポットヘッド(マリファナ常習者)たちはトランプ当選の裏で「大勝利」を掴んだ。
現在では、首都ワシントンD.Cと28州で医療用が合法。嗜好用は2012年のワシントン州から始まり、首都ワシントンD.Cと8州が合法となっている。
トランプ自身がマリファナの合法化に対して否定的※1なため、先行きが不透明なところもある。しかし、合法化することで州が受ける莫大な経済的恩恵は、大きすぎるメリットだ。
2014年に嗜好用マリファナを合法化したコロラド州では、2015年のマリファナの売り上げが医療用、嗜好用合わせて約9億9千万ドル(約1,140億円)、1億5千万ドル(約168億円)の税収を得ている。
そういえば、「トランプが大統領になったら、マジでアメリカ人やめてカナダに行く。ウィードも合法になるしな」って昔言ってたクラスメートのアンソニー、元気かな。
※1:マリファナ合法化に反対しているジェフ・セッションズを次期司法長官に指名している
「ちょっと最近ストレスで...」と病院に行き、メディカルカード※2を発行してもらってそれで購入、なんてやり方は他州ではごく一般的。
「タバコは吸わないけどウィードは吸う」なんて人たちや、ちょっと真面目な女子学生が、パーティーでドキドキしながらマリファナを吸う、なんてのもよくあることだ。
「俺が焼いてきたんだよ!」と友達が持ってきたクッキーがマリファナ入りだったことも一度ではない。クラブやパーティーでもあの独特な匂いがしないなんてことはまずないし、夜になると道端でもあちこちでプンプン匂ってくる。
※2:マリファナメディカルカード。アメリカで医療用マリファナを手に入れるために必要。病院で診断してもらい、一定の基準を満たすと発行してもらえる
NYでは嗜好用のマリファナは違法だ。とは言っても、実際はあってないようなもの、とまではいかないが、25グラム(1オンス)以下の所持なら罰金で済むのが現状。違法だけど簡単に手に入るという意味では、日本で言う無修正ポルノのようなものだ。
「持ってて使うだけなら何も言われない。売買がだめなんだよ。25グラム以上持ってたら、売買やってると見なされる」
と、すごくざっくりと友達が説明してくれた記憶がある。
実際にマリファナで捕まったなんてことを友人からは聞いたこともないし(無実の罪でコカイン所持の疑いで逮捕、ものすごく怖い留置所に数日ブチ込まれた友人ならいる)、道端で堂々と吸っている人を、「面倒だからあっちで吸え」といった感じで警官が追い払うのを目にすることもしばしばだった。
当時の司法長官のロレッタ・リンチが、「マリファナはヘロインや覚せい剤などのハードドラッグへのゲートウェイドラッグにはならない」と認めたこともあって、マリファナに対するアメリカの認識は日本とはかなり異なる。
では、マリファナを吸う人たちはどうやって入手しているのか。最近では若者がTinderやInstagramなどのSNSを使ってイリーガルに入手したりすることもあるようだが、実際のところあまり聞いたことはない。
嗜好用が合法でない州(NYも)では、やはり個人のツテでプッシャー(売人)から買う、という昔ながらの方法がいまだに主流のようだ。他州まで医療用大麻を買いに行くという情熱的な人もいるらしい。
変わった仕入れ方といえば、デリバリー・ガイ。電話一本で、30分くらいでメッセンジャーがパーティー、自宅、どこにでも持ってきてくれるのだという。
「ドラッグって例えば、その時欲しいってなるじゃん? こっちのデリバリーって何時でも届けてくれるから、コーク(コカイン)ついでに、マリファナも、みたいなやつが多い。パーティー先にもひょこっと現れる、デリバリーガイはやっぱり便利!」
と話すのはポッドヘッドのジュリアン(仮名)くん。
ちなみに相場は最安のもので1グラムあたり5ドル。デリバリーなら1グラム10ドルくらいだそうだ(デリバリーはミニマム50ドルからが多い)。
一方で、合法化された州ではマリファナがクリーンなビジネスとして、よりオープンになり、日本人の自分たちには信じられないようなものが日々生まれている。
その中でも特に面白いのがマリファナアプリだ。マリファナユーザー用のSNSや、ディスペンサリーやデリバリーの検索アプリ、大麻栽培管理ツールなど多岐にわたる。
サイトデザインやアプリのUIなど、かなり今どきのおしゃれな見た目。アプリの動きやユーザビリティもしっかりしていて、メキシコで恐ろしい抗争を引き起こす裏取引、みたいな世界とはかけ離れたイメージにある。
その中でも、特に印象に残ったヤバそうなマリファナアプリをピックアップした。
決してマリファナの使用を奨励するつもりはない(そもそも日本ではまだ違法だ)が、今ここまでアメリカではビジネスとして隆盛を極めている、という事例の一端だと思ってほしい。
日本ではDLできないものがほとんどなので、その盛り上がりをこちらで目撃していただきたい。
このマリファナがいま、アメリカで合法的な産業として、グリーンラッシュと呼ばれるほどの巨大なマーケットに成長しているのをご存知だろうか。
大麻市場の調査を行うThe ArcView Groupのレポート(外部リンク)によれば、その成長スピードは、北米では2000年代のブロードバンドインターネット産業と並ぶほど。アメリカでの過去のどんな産業よりも速く成長していると言われている。インターネット並みってまじかよ。
すでに全米28州と首都ワシントンD.Cで大麻栽培や使用が解禁となっている。
日本では完全に「ダメ、絶対。」な違法薬物として悪名高いマリファナ。定期的に有名人が逮捕され、ワイドショーで大々的に報じられる。
映された関係者やコメンテーターのシリアスな表情を見るたびに、あぁ、やめたくてもやめれない恐ろしい薬物なんだと、視聴者は自分を戒める。
しかしマリファナを取り巻く世界の情勢がこれだけ大きく動く中で筆者が思うこと。それは、日本人ヤバいんじゃね? ということだ。
マリファナ使用の是非とかではなく、これだけ日本と世界の認識がかけ離れていることを自覚していないこと、自分たちに与えられた情報が本当に正しいのかを考えてもいないことに、マジでゾッとするのだ。
いま、アメリカにおけるマリファナの扱いはどうなっているのか。昨年までNY(ニューヨーク)に在住していた筆者が、目の当たりにしたことを踏まえてお伝えしたい。
取材・文:和田拓也 編集:新見直
マリファナの「グリーンオーシャン」に続々と参入
2016年の北米における合法マリファナ産業の収益は67億ドル(7,716億円)。2019年には嗜好用マリファナの収益が医療用の収益を追い抜き、2021年まで毎年25%の成長を維持して収益は210億ドル(2.4兆円)に達すると予測されている。コロラド州ではディスペンサリー(マリファナショップ)が900を超え、マリファナビジネス関連のスタートアップの数も100以上となった。
スヌープ・ドッグの「Leafs by Snoop」
衝撃の大統領選の裏で、マリファナ愛好家たちが掴んだ勝利
筆者が撮影したNY
先日、第45代アメリカ合衆国大統領となったドナルド・トランプ。衝撃的な結果となった昨年11月の大統領選、実は同じ日にアメリカ各州でマリファナの合法化に関する住民投票が行われていた。
結果は、新たに医療用マリファナが4州、嗜好用はド本命のカリフォルニア州を含む4州で合法となり、アメリカのポットヘッド(マリファナ常習者)たちはトランプ当選の裏で「大勝利」を掴んだ。
現在では、首都ワシントンD.Cと28州で医療用が合法。嗜好用は2012年のワシントン州から始まり、首都ワシントンD.Cと8州が合法となっている。
トランプ自身がマリファナの合法化に対して否定的※1なため、先行きが不透明なところもある。しかし、合法化することで州が受ける莫大な経済的恩恵は、大きすぎるメリットだ。
2014年に嗜好用マリファナを合法化したコロラド州では、2015年のマリファナの売り上げが医療用、嗜好用合わせて約9億9千万ドル(約1,140億円)、1億5千万ドル(約168億円)の税収を得ている。
そういえば、「トランプが大統領になったら、マジでアメリカ人やめてカナダに行く。ウィードも合法になるしな」って昔言ってたクラスメートのアンソニー、元気かな。
※1:マリファナ合法化に反対しているジェフ・セッションズを次期司法長官に指名している
アメリカのリアルなマリファナ事情
アメリカではひとつのカルチャー・ライフスタイルであるといっても過言ではないマリファナ。筆者もNYに住んでいた際、「みんなカジュアルに吸いすぎじゃ?」と驚いた。「ちょっと最近ストレスで...」と病院に行き、メディカルカード※2を発行してもらってそれで購入、なんてやり方は他州ではごく一般的。
「タバコは吸わないけどウィードは吸う」なんて人たちや、ちょっと真面目な女子学生が、パーティーでドキドキしながらマリファナを吸う、なんてのもよくあることだ。
「俺が焼いてきたんだよ!」と友達が持ってきたクッキーがマリファナ入りだったことも一度ではない。クラブやパーティーでもあの独特な匂いがしないなんてことはまずないし、夜になると道端でもあちこちでプンプン匂ってくる。
※2:マリファナメディカルカード。アメリカで医療用マリファナを手に入れるために必要。病院で診断してもらい、一定の基準を満たすと発行してもらえる
筆者が撮影したNY
「持ってて使うだけなら何も言われない。売買がだめなんだよ。25グラム以上持ってたら、売買やってると見なされる」
と、すごくざっくりと友達が説明してくれた記憶がある。
実際にマリファナで捕まったなんてことを友人からは聞いたこともないし(無実の罪でコカイン所持の疑いで逮捕、ものすごく怖い留置所に数日ブチ込まれた友人ならいる)、道端で堂々と吸っている人を、「面倒だからあっちで吸え」といった感じで警官が追い払うのを目にすることもしばしばだった。
当時の司法長官のロレッタ・リンチが、「マリファナはヘロインや覚せい剤などのハードドラッグへのゲートウェイドラッグにはならない」と認めたこともあって、マリファナに対するアメリカの認識は日本とはかなり異なる。
ポットヘッドたちの仕入れ事情
筆者が撮影したNY
嗜好用が合法でない州(NYも)では、やはり個人のツテでプッシャー(売人)から買う、という昔ながらの方法がいまだに主流のようだ。他州まで医療用大麻を買いに行くという情熱的な人もいるらしい。
変わった仕入れ方といえば、デリバリー・ガイ。電話一本で、30分くらいでメッセンジャーがパーティー、自宅、どこにでも持ってきてくれるのだという。
「ドラッグって例えば、その時欲しいってなるじゃん? こっちのデリバリーって何時でも届けてくれるから、コーク(コカイン)ついでに、マリファナも、みたいなやつが多い。パーティー先にもひょこっと現れる、デリバリーガイはやっぱり便利!」
と話すのはポッドヘッドのジュリアン(仮名)くん。
ちなみに相場は最安のもので1グラムあたり5ドル。デリバリーなら1グラム10ドルくらいだそうだ(デリバリーはミニマム50ドルからが多い)。
一方で、合法化された州ではマリファナがクリーンなビジネスとして、よりオープンになり、日本人の自分たちには信じられないようなものが日々生まれている。
その中でも特に面白いのがマリファナアプリだ。マリファナユーザー用のSNSや、ディスペンサリーやデリバリーの検索アプリ、大麻栽培管理ツールなど多岐にわたる。
サイトデザインやアプリのUIなど、かなり今どきのおしゃれな見た目。アプリの動きやユーザビリティもしっかりしていて、メキシコで恐ろしい抗争を引き起こす裏取引、みたいな世界とはかけ離れたイメージにある。
その中でも、特に印象に残ったヤバそうなマリファナアプリをピックアップした。
決してマリファナの使用を奨励するつもりはない(そもそも日本ではまだ違法だ)が、今ここまでアメリカではビジネスとして隆盛を極めている、という事例の一端だと思ってほしい。
日本ではDLできないものがほとんどなので、その盛り上がりをこちらで目撃していただきたい。
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