加賀100万石。
加賀藩藩主、前田利家の時代に石高102万5千石を表した言葉である。
”サバを読む”と言う言葉に代表される様に、キリの良い数字を言 う際に端を切り上げるのは良くある事だ。
ただ、加賀は最大の石高が102万5千石と、100万を超えているに も関わらず、まさかの端は切り捨てである。
そこからは「あ、ウチは全然2万5千石とか気にしてないんで。石高の 計算が面倒っちく無い様に、キリよく切っちゃいましょうよ」 と広告代理店の営業マンの様な、妙な羽振りの良さを感じる。
やはり金持ち喧嘩せず、地獄の沙汰も金次第。
持てる者の余裕を感じてしまう。
(広告代理店も加賀藩も、実際はそんな簡単なモンでは無かろう)
そんな加賀の魅力を1缶に凝縮したクラフトビールがその名も「金 沢 百万石BEER」である。
百万石の魅力をビールに注ぎ込め!
石川県川北町の基幹産業である「農業」を「商業」を通じてアピールする為に融合させ、誕生したが”わくわく手作りファーム川北”である。
完全に主観だが、クラフトビールの醸造メーカーは”ヤッホーブルーイング”だったり、この”わくわく手作りファーム川北”だったり、個性的な名前が多い。
三重県の”モクモク手作りファーム”を視察したとの事なので恐らくここに着想を得て名付けたと思われる。
下手に英語などを使わないアットホームな感じが可愛らしい。
元々が”米どころ”であった川北町であったが、政府の減反政策や過疎化が進む事への対策として、休耕田を利用するビール麦や大豆の栽培をしている。
その地元産の上質な農作物から地ビールなどの製品化をなどを行っているのだ。
第三セクターなどでは無いので設立から今に至るまで、決して楽な道のりではなかったであろう事が公式Webサイトから”ひしひしと伝わる。
サイトに楽では無い現状や、これから解決すべき課題などをつまびらかに公開している。
武芸達者で、勇猛果敢な前田家が納めた土地の企業だけあり非常に男らしい姿勢に好感が持てる。
金沢 百万石BEER -コシヒカリエール-
まず最初に見て頂きたい、と言うか嫌でも目に着くのが豪華絢爛な 缶の装飾である。
加賀友禅を思わせる雅な柄に金色が映える。
今まで見て来たクラフトビールがどちらかと言うと素朴な、牧歌的 な柄が多かっただけに非常に目立つ。
ただ、クラフトビール=その土地を連想する事が多いのでこの時点 で加賀藩の目論見は成功していると言えよう。
プルタブを開け、傾けるとややスモーキーなビールがグラスに注が れていく。
純粋な金色で無いのは恐らく、原材料として麦芽とホップの他に” 米”が含まれている事に由来すると思われる。
香りはアルコール臭が鼻に着く訳でも無く、さわやかな香りだ。
一口飲んでみると見た目の色に反して軽めのコクとのど越し。
そして、通常のビールとは少し違う甘味を感じる。
ビールのコク自体は控えめだが、その事によってコシヒカリエール の肝である”米の甘さ”が際立つ。
際立つといっても、めちゃくちゃ前面に出てくる感じじゃなくて「 あ、居るだけなんで。あー、良いです良いです、そんな気ぃ使わな いで下さい。ホントに居るだけで大丈夫ですから」 と言う控えめな、それでいて妙な主張の強さを感じる。
白ワインの様に、比較的あっさりした食事に合いそうな、控えめな味 わいだ。
とにかく、原材料として入っている米によって単純なビールの味とは一風変わった独特の味を出す事に成功している。
米がしっかりとビールの味を支え、それでいて自身もしっかりと活躍する辺り、さながら前田利家の正室「まつ」の様である。
川北町産のコシヒカリ、白山 の伏流水、そしてその水を使って栽培した麦。
それらが一体となって非常に記憶に残るビールだと思う。
他にも「ダークエール」や「ペールエール」など、加賀100万石 を堪能できるビールがあるのでそちらも飲んでみたい。
それでは、また。
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わくわく手作りファーム川北
◆【参照サイト】
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