テレビ・ビデオ・コンピューターゲームが及ぼす こどもたちへの影響 |
インターネットを使って、全国の小学生以下の子どもを持つ20〜30代の母親616人に「子どものテレビ、ビデオ視聴」についてアンケート調査をした。
2歳以下の子どもを持つ母親は、コミュニケーションや言葉に関して不安を抱える傾向がある。―――子どもにテレビやビデオを見せ始めた時期は、生後6ケ月〜1歳が最多で34%、次いで生後3ケ月〜6ケ月が31%、全体の8割が生後1年以内に見始めていた。1日の平均視聴時間は、子ども全体では約2時間40分。また平成16年春、日本小児学会が"乳幼児がテレビやビデオを見る時間を制限するべきだ。"と提案したがそれについても64%が知っていると回答していた。

宮城県南中核病院の小児科科長の田沢医師は、1歳半健診で表情が乏しく、めったに笑わず、瞳に輝きがない特徴を、テレビやビデオの見過ぎで慢性的に蓄積された「脳の疲労」のサインと見る。またテレビゲームのやり過ぎで脳が興奮して眠れなくなり、睡眠の量と質が低下し、不調を訴える。田沢医師は「2歳までにコミュニケーションの土台がつくられる。赤ちゃんの時にテレビ漬けで親子のきずなが形成されないと、その後の人間関係がうまくいかなくなる」と乳幼児期の重要性を強調する。また授乳中にテレビをつけたままだと、赤ちゃんと母親との視線が合わなくなる。
また川崎医大の片岡教授(小児科)を訪れる「新しいタイプの言葉遅れ」患者が増えている。運動機能や知能に問題はないのに、言葉をほとんどしゃべれない子どもたちは、テレビに子育てを任せ、お母さんとのかかわりが少なくなって、言語発達の機会を失っている。―――脳機能研究の第1人者である東北大の川島教授は、「テレビやテレビゲームの利用中は前頭前野(思考やコミュニケーション、意思決定、情緒の制御など多くの働きがあり、脳全体の司令塔)が使われず、休んだ状態になる。前頭前野は子ども時代は未熟で他人とのコミュニケーションによって刺激して発達を促す必要があるが、テレビやゲームに依存しすぎると、その大事な時間が奪われる。」と指摘する。森昭雄教授(日大・脳神経科学)は、幼時にテレビゲームが習慣化すると、反復刺激によって脳の神経回路が組み上がり、ゲーム機を見ればやらずにいられない「ゲーム中毒」になる、と指摘する。また脳の働きを示す「ベータ波」が低下し、痴呆のお年寄りに近い状態になるだけでなく、自己コントロールする力が衰えるという。
文部科学省も16年度、脳科学の視点から生活環境と子どもの心身の発達の関係を調べる調査にのり出す。乳幼児1万人を5〜10年追跡し、映像メディアの影響も取り上げる。
(毎日新聞、河北新報より抜粋)
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○ 「しゃべらない子どもたち、笑わない子どもたち、遊べない子どもたち」
片岡直樹・山崎雅保共著 メタモル出版
○ 「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している!」
片岡直樹著 メタモル出版
○「ゲーム脳の恐怖」 森昭雄著 日本放送出版協会
○「自分の脳を自分で育てる」 川島隆太著 くもん出版 |
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今月の記事、「テレビ・ビデオの影響」についてどのように感じられたでしょうか。
わが家でも、こどもが学童期の頃、週1回、ノーテレビデーがあって、新聞をいっしょに読んだり、その中に出てくる漢字の練習などしていたことを思い出します。私個人は、ラジオが大好きで仕事をしながら、ラジオ深夜便(NHK)を楽しみに聞いたり、ラジオを持ちこんでの入浴などは、数少ない至福の時でもあります。
当園でもこどもの家庭からお借りしているビデオをお返しし、テレビやビデオ視聴についても園内で話し合って、見たい番組を選んだり、時間を決めたり、ノーテレビデーの実施なども、これから考えていきたいと思っています。
(堀 侃子) |