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虚業教団
〈幸福の科学〉で学んだものは何だったのか

谷 晧元

現代書林

第2章 「神」は結婚を命じ給うのか?

天上界が計画した? 二つの結婚

「それでこの際、関谷さんにも結婚していただくことになりました」

 まるで事務処理を指示するような調子で、大川隆法が言った。
 思わず自分の耳を疑った。大川が結婚するのはいい。相手が誰でも、先生と呼ぶ人の結婿を、私は心から祝福するだろう。しかし、なぜ私が……。妻と五年間も別居しているとはいえ、まだ夫婦である。その私に結婚せよという大川の言葉は冗談としか思えなかった。

 不思議なことに、大川とあれほど身近に接していながら、大川との個人的な会話はあまり私の記憶に残っていない。人の心に感動を呼び起こすもの、鮮烈な印象を残すものが少なかったように思う。しかし、このときの話はさすがに今でもハッキリと覚えている。記憶に従って、できるだけ忠実に再現してみよう。

「先生、何をおっしゃいます。第一、私には相手がいませんし、そんな段階ではありませ
ん」

「いや、それがちゃんと決まったんです。天上界の(高橋)信次先生からの通信です。これはもう、明日入籍していただきます。お正月には新婚旅行に行っていただくことになっています」

「ハハハ……。なんだ、冗談ですか。先生も悪趣味ですね。でも、先生が結婚されるのははんとうでしょうね」

「とんでもない。これは神託結婚です。天上界の計画通りにしていただきます」

 言うべき言葉が見つからなかった。

「関谷さんのお相手は、もう決まっているんです」

「どんなふうに決定しているんですか。どこにそんな人がいるんですか」
「はい、ここにいますよ。はら!」

 大川のこの声を待っていたように、中原幸枝がバッと畳に手をついた。

「関谷さん、よろしくお願いします」

「エッ! アレ!……そ、そりやあない……」

 このように書けば、一場の喜劇でしかない。ドタバタ喜劇のおかしさは、人間の尊厳というものを踏みにじるところに生まれる。だからピエロたちの演技はどこか悲しい。
「よろしくお願いします」と手をついた中原の心中はどうだったろう。世俗的な幸せを捨て、ひたすら道を求めてきた中原の生き方は、このとき完膚なきまでに踏みにじられたのではなかったか。彼女はどんな気持ちで、私に手をついたのだろう。その気持ちを、私はいまだに聞きえずにいる。

 しかし大川に心酔していた中原は、私との結婿について、一分の疑念も持っていないようだった。
 大川は私の説得にかかった。思いどおり事が運ばないときは、相手を押さえつけるような、威圧的な口調になるのが彼の流儀だった。

「関谷さんは二度目の結婿になります。あまり自分勝手は許されません。それに中原さんは、過去に何度も転生しながら、一度も結婚したことがない。今回始めて神示により、関谷さんと結婚することになりました」

「……」

「私たちは何度生まれ変わっても、今ほど重大な時代に生まれることはできません。神のご意志に従ってください。私たちはみんな、自分の使命を果たさなければなりません」

 神の意志、使命。それを言われると、私には抗弁のしようがなかった。

「この幸福の科学は、今、そのための基礎造りの段階です。私も神のご意志に従って、よく知らない人と結婚します。この際、関谷さんも己を捨てて、会の土台造りに身をあずけていただけませんか。……それとも、中原さんではダメですか。中原さんは昨日一秒でO・Kを出したんですヨ」

 私はそういう目で中原を見たことはなかったが、一般的な見方をすれば、彼女はたぶんとても品のある美人である。妹のような存在としか思ったことはないけれど、どうして中原でダメなことがあるだろう。

″だが″と私は思った。″精神世界の探究に身を捧げている尼さんのような彼女が、本気で私などを受け入れるはずがない″

 そう思って中原を見ると、彼女はこちらを向いて正座し、両手を膝に置いたまま私の返事を待っている。その表情には何の不安もなく、私から「OK」 の返事が当然くるものと確信しているらしい。





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2009 The realities of Kofuku no kagaku was oppened.