森友学園 麻生氏「ゴミ撤去は適切に対応 確認必要ない」

森友学園 麻生氏「ゴミ撤去は適切に対応 確認必要ない」
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麻生副総理兼財務大臣は衆議院予算委員会で、大阪・豊中市の国有地が、学校法人に鑑定価格より低く売却されたことについて、価格から差し引かれた分の大量のゴミの撤去は、学校法人側が適切に対応したなどとして、改めて確認する必要はないという認識を示しました。
衆議院予算委員会では、大阪・豊中市の国有地が、去年、学校法人「森友学園」に、鑑定価格より低く売却されたことをめぐって、民進党と日本維新の会から質問が相次ぎました。

このうち、民進党の玉木幹事長代理は、国が土地の鑑定価格9億5600万円から大量のゴミの撤去費用として8億円余りを差し引いたことについて、「値引きした根拠には疑義がある。適正な対価なくして国有財産を譲渡してはならないとした財政法に違反するのではないか」と指摘しました。

これに対し、麻生副総理兼財務大臣は「国有財産は、いずれの場合も適正な価格によって処分がなされており、すでに、土地の所有者である大阪航空局と、近畿財務局との間できちんとした手続きに基づいて処理が行われていると承知している」と述べました。

そのうえで、麻生副総理は「ゴミが実際に撤去されたかどうかや契約内容を改めて調査すべきだ」と求められたのに対し、「地下埋設物は、売却相手方において適切に撤去したものだと聞いており、この土地は地下埋設物を考慮して評価され、すでに売却済みであり、実際に撤去されたかどうか契約上も確認を行う必要はないと考えている」と述べました。

さらに、財務省の佐川理財局長は、撤去費用は、近畿財務局と大阪航空局の担当者が工事業者とともに現場でゴミを確認し、専門的な議論を行ったうえで算出したと説明しました。

国有地売却の経緯

大阪・豊中市の今回の土地は、大阪空港周辺の騒音対策のため、国が住民から買い取った国有地でしたが、その後、航空機の技術開発で騒音が軽減されたとして、民間に売却されることになりました。

売却にあたって、国土交通省大阪航空局が平成21年から24年にかけて、レーダー探査などによって地下の状況を調査した結果、およそ8770平方メートルの敷地の全域で、3メートルの深さまで廃材やコンクリート片などが確認されたほか、土壌の一部にはヒ素や鉛が含まれていることがわかったということです。

財務省近畿財務局は売却先を公募し、おととし5月、学校法人「森友学園」との間で、将来の売却を前提とした土地の貸付契約を結びました。このあと国は、森友学園が廃材などの撤去工事や土壌改良を行ったことを現地で確認したうえで、その費用として、1億3000万円余りを学園側に支払いました。

さらに、去年3月、学園側から、校舎や体育館を建設するため、長さ9.9メートルの杭を地中に打っていたところ、新たに廃材や生活ごみなどが見つかったと連絡があったということです。

このため、近畿財務局が大阪航空局に対して撤去や処分にかかる費用の見積もりを依頼。大阪航空局は以前のレーダー探査のデータなどを踏まえ、校舎などが建つ全体の60%の土地を対象に、最大で深さ9.9メートルまで土を掘り起こし、廃材などを撤去・処分するという想定で、かかる費用を計算し、およそ8億2000万円という見積もりを出しました。

これを受けて、近畿財務局は去年6月、土地の鑑定価格、9億5600万円から撤去費用を差し引いた1億3400万円で学園に売却しました。国土交通省によりますと、地中10メートルまでの廃材などの埋設物を学園側が実際に撤去したかどうかは確認していないとしています。

ゴミの撤去費用 国の説明は

大阪・豊中市の国有地が学校法人に鑑定価格より低く売却されたことをめぐり、国土交通省は、地中のゴミの撤去費用をどのように算出したか、取りまとめています。

国土交通省の説明では、以前行ったレーダー探査などの結果をもとに、ゴミを撤去する区域は全体のおよそ60%となる5190平方メートルで、土の中に占めるごみの混入の割合は47.1%と設定されました。

そして、撤去のために土を掘削する深さは、杭を打つ場所が9.9メートル、校舎などを建設する場所が学園側の試掘の結果を踏まえて3.8メートルとされました。

そのうえで、土地の掘削、トラックへの積み込み、土地の埋め戻し、ゴミの運搬、それに、処分場での作業のそれぞれの費用を算出して積み上げ、ゴミの撤去費用は総額はおよそ8億2000万円となったということです。国土交通省は「近畿財務局と協議して適切に見積もりを行った」と話しています。