社長名鑑

■経営者インタビュー
本ページ内の情報は2016年12月時点のものです。

AIで世界の医療現場に変革を!
東大発ベンチャー「平等な医療」実現への挑戦

AIを活用した生命科学領域特化の画像解析ソフトウェアを開発・提供するベンチャー
エルピクセル株式会社 代表取締役 島原 佑基

現在に至るまでの軌跡

-御社が創業されてから現在までの3年間、どのような事業展開をされてきたのでしょうか? 島原 佑基: 1年目は受託ビジネスを中心に行っておりました。起業当初、研究室では40件の共同研究を抱えていましたので、それらを受託に切り替え、ビジネスをスタートさせたのです。その後、ホームページの開設や展示会への参加、研究関係の繋がりなどから少しずつ顧客を増やしていきました。最初の1年は、ビジネスを学びながら今後の方向性を探っていたという形です。最初から事業計画を立てて売上を上げようとしていたら大変だったと思うのですが、試行錯誤を繰り返しつつ、面白いことを追求し続けられたので、よいスタートを切れたのではないかと思います。

2年目になると、毎期ごとに人員を増やすことができるようになってきました。また、1年目にしっかりと成果を出すことができたおかげで、2年目からは民間企業からの依頼も増えてきました。受託事業で出た利益で、自社開発にも注力することができるような、よい循環を持った事業形態にシフトすることができ、自社製品をどの方向に絞るかを試行錯誤していたフェーズでもありましたね。

3年目は、医療分野と、研究者を手助けする画像解析、そして論文の画像不正を検出するソフトウェアの開発に注力しました。また、シンガポールにジョイントベンチャーを作るなど、海外展開にも力を入れた1年でした。医療分野の画像診断に関して言えば、現在実用レベルに来ているものもあります。また、開発費としてベンチャーキャピタルから7億円の資金提供を受けることもできました。多少赤字を出したとしても、スピードを重視し、人材を確保して開発を行うなど、いわゆるベンチャーらしさが出てきたのが3年目だと思います。

医療・科学を加速させる3つのプロダクト

エルピクセル株式会社 photo2

自社の画像解析ソフトウェアで実現可能な未来を語る島原社長。地域間の医療格差を解消する一手となるか。

-御社では3つの製品を主に扱っているということですが、それぞれについて詳しくお伺いできますか? 島原 佑基: 1つ目は医療分野における画像診断ソフトウェアです。医師の技量によって、診断はどうしても異なってしまうというのが現状です。医者が考える医学と、患者さんが考える医学には大きな差があります。その溝を埋めるためには、より定量的な医療を提供することが今後重要になってくるのだと思います。例えば、東京の有名クリニックで受ける医療と、医師の数が不足している地方のクリニックとでは、医療の質に差が出てしまうことがあります。それを是正するために、我々はいわば優秀な医師のAIを作ろうとしています。そのAIがあれば、全世界どこにいても平等な医療を受けることができるのです。

健康診断などでは、1人の医者が膨大な数のレントゲンやCT画像を見て、診断していきますよね。しかし、医師1人の情報処理能力には限界があります。我々のソフトは、そういった様々な画像データを包括的にビッグデータで解析して、診断の精度を上げ、病気の早期発見に繋げることができます。それによって、救われる命がたくさんあると思うのです。医師とAI、双方がそれぞれ切磋琢磨して、医療のレベルを底上げすることにもなると期待します。

2つ目は、ライフサイエンスの研究領域における画像解析クラウドサービスです。昨今、画像解析はバイオ系の研究には必要不可欠になってきておりますが、まだまだ大学でそれをきちんと学ぶ人は少ないのが現状です。細胞の数を数えたりといった、研究者が行っていた作業部分をAIが代行することで、研究者は純粋に研究部分に集中することができます。そうすることで研究の効率があがり、科学を加速させることができるのではないかと考えています。

3つ目は論文の画像に不正がないかどうか診断するツールです。画像が加工されていたり、盗用されていないかどうかを調べることができます。科学は連続的なものなので、その中でひとつでも不正なものが入ってしまっていたら、全く違う結果が出てしまい、研究にかけた時間も労力も無駄になってしまいます。しかし、すでに人の手や目だけでは、その不正を監視することは難しくなってきています。善良な研究者の地位を守るためにも、使命感を持って取り組んでいきたいと思います。

エルピクセル株式会社 島原 佑基

島原 佑基(しまはら ゆうき)/東京大学大学院修士(生命科学)。大学では、人工光合成、細胞小器官の画像解析とシミュレーションの研究を行う。卒業後はゲームアプリを開発・提供している大手企業に入社。その後、KLab株式会社に2年間勤務し、東南アジア圏などでの海外事業開発を手掛ける。同社に在籍中だった2014年、エルピクセル株式会社を設立、代表取締役(CEO)として現在に至る。経済産業省の「始動 Next Innovator 2015」に選抜された実績を持つ。

エルピクセル株式会社

■事業内容
ライフサイエンス領域の画像解析に強みを持つ東京大学発のベンチャー企業。医療・製薬・農業などのライフサイエンス領域における画像解析に人工知能技術を最適化することで、最高精度のソフトウエアを開発。現在、国立がん研究センターをはじめ複数の医療機関と連携し、人工知能を活用した医療画像診断支援の研究開発を進めている。
■ホームページアドレス
https://lpixel.net/
■本社所在地
東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ701
■設立年(創業年)
2014年

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