【甘口辛口】
■2月23日
「五輪見据えコンビニ成人雑誌にカバー」という記事を先日の産経新聞社会面で目にした。千葉市が市内のコンビニで販売している成人向け雑誌をフィルムで包み、表紙を見えなくする試みを今夏一部店舗で実施する。青少年の健全育成のほか、東京五輪を控え外国人観光客からのイメージ低下を防ぐ狙いがあるという。
食品をはじめ日本のコンビニの品ぞろえは世界トップクラス。確かに五輪・パラリンピック期間中は多くの外国人が利用しそうで、雑誌名まで読めないものの堂々と並ぶどぎつい表紙には「これをコンビニで」とびっくりするだろう。千葉といわず全国に広げたい試みではある。
ビジネスホテルなどのテレビで見られる有料AVもそうだ。ホテルによってはサービスなのか数秒間ただで流れる。何も知らない外国人が間違ってリモコンで「有料」を押したら、これまた仰天ものだろう。日本人はよほど…と思われると恥ずかしい。こちらも期間中はせめて自粛したらどうか。
そういえば1964年東京五輪ではこんな“隠しごと”もあった。まだ東京23区内でも下水道普及率は半分以下で汚物処理にバキュームカーが活躍していたが、悪臭がひどく外国人に見せたくないと期間中は作業を休んだ。まさに「くさいものにはフタ」。量の多い大所帯の家庭にはハタ迷惑な五輪だったかもしれない。
当時はコンビニもAVもなかったが、表通りから一歩入れば外国人には隠したい汚い路地も多かった。いま東京では隅々まで外国人が足を踏み入れ、半世紀前に比べ隠すべきものもあまり見当たらない。それより五輪に本当はいくらかかるのか。金の面こそ隠しごとはなしで願いたいものだ。 (今村忠)