右翼こそが女性の自由と解放を体現?
水島治郎さんの本で繰り返し論じられていることではありますが、こういうシンボリックなかたちで演じられてしまうと、改めて、近代ヨーロッパが作り上げた価値観を体現しているのは右翼政党なのか!?という何とも言えない奇妙な気分になります。
http://www.cnn.co.jp/world/35096984.html (仏FNのルペン氏、レバノンでベール着用拒否 会談中止に)
ベイルート(CNN) 仏大統領選の有力候補とされる極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首は21日、訪問先のレバノンでイスラム教の女性が頭を覆うスカーフの着用を拒否し、予定されていた大ムフティ(イスラム法最高権威者)との会談を中止した。・・・
FNのフィリポ副党首は直後にツイッターでこの件に言及し、「フランスと世界の女性たちに向けた自由と解放のメッセージだ」と称賛した。
ルペン氏はかねてイスラム教のベールに反対の立場を示し、公共の場では宗教的シンボルを全て禁止するとの公約を掲げてきた。
文化相対主義の名の下に非西洋社会の価値観を尊重するあまり、実は自分たちが依って立っているはずの近代西洋的価値観を却っておとしめてしまっているかのように振る舞ってしまいがちな(今日風の文化的)左翼のジレンマに対し、正々堂々とまさにその近代的価値観を振りかざしてみせることでその排外主義的思想と行動を正当化してしまえる立ち位置を得てしまっている右翼勢力、というよく考えてみれば実に不思議な、しかしそれこそが現代社会というものを表してしまっているのだなあ、というその姿。
まあ、これが一番よく現れているのはやはりヨーロッパであって、アメリカやとりわけ日本は大部文脈が違うのですが。
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