東海村ジェー・シー・オーの臨界事故資料
JCO東海村事故リスト
他のサイトへリンク=屋内待避対象エリア環境放射線モニタリングジェー・シー・オー

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1999-9月 30 10月 10 11


09/30 15:00 東海村被曝事故−広島の重症被ばくに匹敵
15:45 <被曝>東海村のウラン加工施設で放射能漏れ、3人被曝
17:50 通常の8倍のウラン流入、臨界か=放射能事故、タンク内で核分裂−ジ社
18:18 「申し訳ない」と「分かりません」=核燃料会社社長らが会見−科技庁で
18:21 放射能漏れで周辺住民150人が避難=東海村
18:25 放射能事故対策本部を設置=政府
19:48 通常の8倍のウラン流入、臨界か=放射能事故、タンク内で核分裂
19:51 放射能事故で職員2人を派遣=厚生省
20:08 「現場付近の放射線量、依然高い」=臨界継続の可能性も−東海村村長
20:33 <被ばく>首相官邸への正式第一報は発生から約2時間後
20:33 <被ばく>科技庁 災害対策本部設置で混乱
20:33 <被ばく>茨城県東海村の核燃料加工会社で3人被ばく 2人重症
2052 避難住民から放射能は検出されず=日本原研などによる住民検査
20:54 情報不足にいらだち=IAEA
21:43 <被ばく>1人は意識もうろう、1人重症 1人軽症 放医研会見
21:43 <内閣改造>自民党3役決定 放射能漏れ事故で組閣は延期
10/01 臨界被曝事故 「住民の不安解消に全力」の声広がる
東海村の臨界事故、臨界状態は終息 
06:11 <被ばく>東海村・核燃料加工会社の放射能漏れ 臨界事故と判明
07:48 「為替」 東海村臨界事故の事態深刻化で買い戻し/N.Y.為替市場概況
08:13 茨城県東海村での臨界事故、異常反応が継続する可能性も=官房長官
08:14 茨城県東海村の放射能漏れ事故は世界で60例目=仏原子力安全機関
08:20 在日米軍、放射能漏れ事故の支援要請を装備不十分とし拒否=防衛庁
08:20 日本の放射能漏れ事故は人為的な要因で発生=OECD原子力機関
08:21 東海村事故、現場から2キロの放射線量は通常の1万5000倍=茨城県
08:21 ウラン加工工場周辺の60人避難、約31万人に屋内待機指示=茨城県
08:22 東海村ウラン加工工場から冷却水の除去作業を開始=政府声明
08:23 東海村の放射能漏れ事故、円に悪影響を及ぼす可能性も=米市場筋
08:23 日立、東海村近隣の3工場での操業を一時停止
09:11 <首相官邸>内閣改造から放射能漏れに 深夜まであわただしく
09:11 <被ばく>茨城県が半径10キロ以内の農家に収穫中止を要請
09:11 <被ばく>避難地区はゴーストタウンのように
09:13 <速報・被ばく>冷却水を抜く臨界など作業の結果、臨界止まる
09:13 <被ばく>常磐線の水戸―日立間の上下線を全面運休
09:13 <被ばく>事故原因は制限値の7倍投入の人為的ミスか
09:30 1日株式概況(寄付速報)反落の始まり、住友鉱は売り気配
09:40 「株式」 日本農産工業/個別銘柄スナップ・ショット
10:25 放射能漏れ事故、日本は十分な事故処理能力を持っている=IAEA
10:36 「株式」 住友金属鉱山/個別銘柄スナップ・ショット(フィスコ)
10:45 東海村臨界事故 行政、電力業界に衝撃 核サイクル見直し必至
10:52 <放射能漏れ>被ばくし入院した社員 重症の2人は小康状態保つ
10:53 1日株式概況(寄付速報)反落の始まり、住友鉱は売り気配
11:02 <放射能漏れ>半径10キロ圏内135校臨時休校−−茨城県教委
11:02 <放射能漏れ>「明らかな違反行為だった」核燃料加工会社が陳謝
11:02 <放射能漏れ>茨城県全域に災害用伝言ダイヤルを設置−−NTT
11:05 1日株式概況メモ、住友鉱売り値つかず(ラジオたんぱ)
11:11 <速報・被ばく>冷却水を抜く臨界など作業の結果、臨界止まる
11:12 <放射能漏れ>事業所12カ所の操業や営業を中止−−日立製作所
11:12 <放射能漏れ>10キロ圏内の50郵便局の業務を停止−−郵政省
11:12 <放射能漏れ>化学防護車、除染車を勝田駐屯地に派遣−−防衛庁
11:19 為替・株・物価上昇に影響ないと思う=東海村事故で経企庁長官
11:43 <放射能漏れ>10キロ圏内の青果物の出荷見合わせ−−県経済連
12:03 <放射能漏れ>住友金属鉱山株に売り注文が殺到、売買成立せず
12:11 <放射能漏れ>「国民に多大な迷惑や不安、誠に遺憾」 小渕首相
12:12 <放射能漏れ>被ばくし入院した社員 重症の2人は小康状態保つ
12:12 <放射能漏れ>「明らかな違反行為だった」核燃料加工会社が陳謝
12:13 <放射能漏れ>水戸赤十字病院に「医療救護所」 被ばく検査開始
12:13 <放射能漏れ>臨界事故は「一応終息」 被ばく計49人に
12:33 <放射能漏れ>茨城県対策本部に問い合わせ電話殺到 回線を増設
12:34 日立、システムLSIの主力拠点を操業停止工場の対象に
12:35 デノミが好ましくないとの見方に変わりはない=宮沢蔵相
12:43 <核燃料輸送>物々しい警備 原発への不安広がる中で輸送船到着
12:53 <核燃料輸送>MOX燃料積んだ輸送船、高浜原発に到着−−福井
13:02 <放射能漏れ>東京都中央卸売市場、農産物の搬入差し止めを要請
13:22 <放射能漏れ>親会社の責任重く受け止める−−住友金属鉱山社長
14:11 <放射能漏れ>ニューヨーク市場、ドルや債券買われ株価も上昇
14:12 <特報・放射能漏れ>ジェー社本社を家宅捜索の方針−−茨城県警
22:22 <放射能漏れ>強まる単純ミス説 管理能力の欠如浮き彫り
22:31 重症の2人に骨髄移植実施も=東海村事故の作業員−放医研
22:34 立ち入り検査は7年前が最後=放射能漏れ事故事業所に科学技術庁
22:53 茨城県警、JCO幹部から聴取=業務上過失傷害容疑などで立件へ
22:57 原研大洗試験炉が自動停止=茨城
10/02 03:43 <放射能漏れ>原子力産業にコスト削減圧力 海外との競争で
03:43 <放射能漏れ>「放射能漏れとは知らず」被ばくした救急隊員
03:52 <放射能漏れ>ウランが「流体」のため半日以上も臨界続く
04:03 <放射能漏れ>原因 不純物除いた溶液を誤って沈殿槽に戻す
05:00 東海村臨界事故、インターネットに広がる波紋
06:11 <東京株式市場>臨界事故を受け関連株、軒並み売られる
06:11 <放射能漏れ>政府が「終息宣言」 被ばく者は計49人に
06:11 <改造人事>臨界事故で5日の見通し 天皇陛下の日程の都合上
08:13 核への不安 東北を席けん/原燃、安全強調に懸命
10:52 <放射能漏れ>日本の核燃料サイクル計画に責任 米シンクタンク
12:32 <放射能漏れ>現場の転換試験棟内部、高濃度放射能で汚染か
16:11 <放射能漏れ>JCO東海事業所、定期立ち入り検査の対象外
19:11 <放射能漏れ>現場の転換試験棟内部、高濃度放射能で汚染か
19:23 <放射能漏れ>JCOの木谷社長、橋本茨城県知事にも正式に謝罪
10/03 001 JCO、4年前から違法作業、裏マニュアル」からさらに逸脱、臨界に
002 大内さんの被ばくは約17シーベルト 造血幹細胞移植へ
003 《検証・臨界事故》違法知りつつ習慣化「裏マニュアル」表紙に部長印
004 救急隊、防護服の備えむなし、救命のプロ襲った恐怖
005 被ばく医療ネット初の本格治療
10/04 001 東海村事故で、中性子線測定は6時間後
002 科技庁、JCOを立ち入り検査
003 《検証・臨界事故》原子力行政 「推進」政策、厳しさ増す
004 《検証・臨界事故》住民と自治体 足元に不安「正直怖い」
005 原子力保険、初適用に 上限10億円、超過はJCOが負担
006 県警、捜査本部を設置、刑事責任追及へ 業務上過失傷害の疑い
007 作業員3人は被ばく線計量具を着けず
008 3人とも初作業「早く仕事を終えたかった」
009 「臨海」国境を超え波紋




1004009
「臨海」国境を超え波紋
茨城県東海村のウラン加工施設の臨界事故は、海外でも深刻な事故として報じられた。実態より大げさに伝えた例も少なくないが、背景には、各国、各地域の原子力政策や原発の抱える問題がうかがえる。「先進国」日本でさえも事故を免れなかったことに不安を募らせるアジア諸国。日本と同列に論じられるのを避けようとする欧米諸国。放射能は国境を越えなかったが、波紋は海外に大きく広がった。(海外総支局)

 ●日本でさえも…

 「1週間以内に、風に流された放射能がわが国にまで届く可能性も」。フィリピンのラジオはこう報じて不安をあおった。

 メルカド国防相が「日本全体が汚染されたわけではない。直接の影響もない」と、過剰反応をいさめた。

 フィリピンは、海外出稼ぎ労働者の派遣国。「茨城県には、約3300人のフィリピン人が住んでいる」(地元紙)。国内に原発はないが、身近に感じられる事故なのだ。

 大地震の報道が連日続く台湾のメディアでも大きく取り上げられた。

 中国時報は2日付の社説で、「お手本」日本での事故に、「だれが原発の安全を保証できるのか」と警鐘を鳴らした。日本国内では批判を浴びる政府の対応も台湾では「迅速」と映り、「台湾で事故が起きたら政府は対応できず、混乱を極める」との不安もある。

 韓国の有力紙・東亜日報も2日付で、「日本社会が誇る安全神話に大きな穴が開いた」とする一方、「わが国の施設は安全なのだろうか」と注意を促した。

 韓国政府は「東海村のような事故発生の恐れは小さい」などと国民の不安を打ち消すのに躍起だ。

 中国の主要紙では、東海村事故関連の記事は目立たず、内容もほぼ事実報道にとどまる。海外で重大事故が発生した際のマスコミは、中国の国民に無用な不安や社会に混乱を生じさせないよう配慮するのが特徴だ。

 ●日本とは違う…

 「唯一の被爆国としての役割をもって任じ、核問題への対応を政策の中心に据えてきた日本が、なぜここまでいい加減になってしまったのか」。3日付ニューヨーク・タイムズ紙は、事故にまつわる多くの「なぜ」を挙げたうえで、こう「根源的疑問」を呈した。同種の事故は米国では1960年代半ばまで、ほぼ毎年のように起きていたが、現在は「まず考えられない」と専門家は口をそろえる。

 厳しさの背景には、米国が神経をとがらせる核不拡散の問題がある。核物質がずさんに扱われたことで、日本のプルトニウム利用政策への圧力が高まる、との観測も出ている。

 電力の約8割を原子力に依存するフランスでは、各メディアが詳報したが、自身の現状についてはほとんど触れず、日本とは違い管理体制は整っていると説明した程度。日本の事故から教訓を引き出す姿勢はない。

 環境意識の高いドイツの公共放送の東京特派員は「日本にはドイツと同じ緑の党がなく、市民運動も弱い。だから、事故があっても日本の原発政策は一ミリも動かない」と、テレビで手厳しく解説した。

 ●日本も同じ…

 「事故の被害はチェルノブイリ級と見る専門家もいる」と報道したのは、ロシアの新イズベスチヤ紙(1日付紙面)。

 このたとえが市民の不安を呼んだため、レベジェフ原子力省次官が1日にわざわざラジオに出演。「第2のチェルノブイリのようなものではなく、極東の沿海地方にも危険はない」と説明した。

 2日付のイズベスチヤ紙でクルチャトフ原子力研究所のベリホフ所長は、「日本は、チェルノブイリ事故前の我々のように自分たちの技術は完ぺきだと思っている。これは原子力施設に対する場合、極めて不完全な哲学だ」。自分たちの苦い経験が重なる。


海外メディアが集中
 国内初の臨界事故が起きた茨城県東海村には、海外のテレビや新聞などのメディアも数多く取材に訪れた。英国放送協会(BBC)の環境問題担当、マーガレット・ギルモア記者は3日夕、事故現場から約300メートル離れた地点からリポートした。政府が出した2日夕の「安全宣言」を受け、土のうなどが積まれた施設などを写しながら、事故原因や影響など専門的な立場から解説した。

 ギルモア記者は1日、ロンドンから現地入りし、取材を続けた。ギルモア記者は「核プログラムそのものについてのニュースで、イギリスでも関心がある。大変重要な問題だ」と話し、特集番組も作るという。

 住民の避難所となった舟石川コミュニティセンターでは2日午後、超大型の中継車がコミュニティセンターに現れた。外国人記者やカメラマンがセンター内に入って、避難住民の取材に集中した。



1004008
3人とも初作業「早く仕事を終えたかった」
 茨城県東海村の「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で起きた臨界事故で、被ばくした作業員の一人が茨城県警の捜査本部の事情聴取に対し、「早く仕事を終えたかったので、工程を省くように2人に指示した」「(事故発生時は)隣の部屋にいて、青い光は見なかった」と供述していることが4日わかった。捜査本部は、なぜ作業を早める必要があったのかについて、解明を進める方針だ。この作業員は被ばくした作業員のリーダー格の副長で、比較的症状が軽く、捜査本部は事故直後から話を聴いていた。

 これまでの事情聴取に対し、副長は、作業の時間を短縮させるために、ウランの注入量の上限が2.4キロとされている沈殿槽に、手作業で約16キロものウラン溶液を流し込むよう、ほかの作業員2人に指示したという。JCOによると、沈殿槽を使うと、正規工程では3時間かかる作業が、約30分に短縮できるという。

 一方、JCOの氏原誠・東京事務所長は4日未明の会見で、被ばくした3人の作業員はいずれも、事故を起こした高濃縮の八酸化三ウランの粉末を硝酸に溶かす作業は、初めてだったことを明らかにした。

 同社のこれまでの説明では、3人のうち、作業内容を指示した副長は作業経験があるとしていたが、その後の調査で、この副長は昨年4月から6月まで転換試験棟で仕事をしたことはあるものの、その際は工程が1部似ている二酸化ウランの製造作業に携わっただけだったという。


1004007
作業員3人は被ばく線計量具を着けず
保安規定に抵触
 JCO東海事業所で起きた臨界事故で、被ばくした作業員3人が、ウラン加工の作業で装着が義務付けられている、被ばく線量を測るための計量具(フィルムバッジ)をつけていなかったことが、わかった。また、事故直後、JCOは臨界事故に気づかず、119番通報で「てんかんの症状」と説明し、救急要請をしていた。

 同社の小川弘行・製造部計画グループ長が3日、茨城県庁で記者会見して明らかにした。説明によると、被ばくした3人は救急車で搬送される際、フィルムバッジをつけていなかった。原子炉等規制法に基づく保安規定では、放射線管理区域内に入る際、被ばく線量をはかることが義務付けられている。

 小川グループ長は「作業員がうっかり、装着を忘れて、管理区域に入ることはあるが、基本的に作業員は装着している。不装着が慣習化していたわけではない。なぜ、つけていなかったのか、わからない」と話している。また、同社は事故後、救急要請をした際、通報した社員が「救急です。てんかんの症状」と連絡していた。JCOでは、被ばくによる急性障害の症状などについて、社員教育をしていなかったという。

 ◆健康相談などJCOが窓口――4日開設

 JCO東海事業所は4日から、茨城県東海村のJR東海駅前の横伝ビル2階で「JCO相談窓口」を開く。受付時間は当面、午前10時から午後9時まで。今回の臨界事故で被害を受けた住民らから、事故についての問い合わせや健康に関する相談などが相次いでいるため、早急に事実を把握することにしたという。

 ◆末しょう血の幹細胞移植へ――重症の大内さん

 大量の放射線を浴びて東京大学病院に入院している作業員の大内久さん(35)について、東大の医師団は3日、免疫細胞などのもとになる造血幹細胞を親族の血液から取り出して移植する「末しょう血幹細胞移植」を実施する方針を決め、移植に向けた準備を始めた。

 大内さんの血中のリンパ球数は、3日朝の検査でゼロになっていることがわかり、医師団は抗生物質を使うなどして感染症を防ぐ治療を続けている。血圧や体温などは比較的安定し、前夜はよく眠ったという。

 白血球の型の合う親族がこの日、造血幹細胞の提供に同意。取り出した幹細胞を大内さんに移植するのは今週半ば以降になる見通し。

 ◆緊急健診終了、7人が再検査


 事故の発生時に、同事業所の敷地内にいた全員の健康診断が3日までに終わった。労働省の最終的なまとめによると、当時、事業所の敷地内にいたのは、入院患者3人を除く120人。このうち6人が、リンパ球数がやや減少している疑いが否定できないため、4、5日後に再び同様の健康診断を受ける。このほか精密検査が必要と判断されたのは、事故当日におう吐や下痢などのあった1人。

 残り113人については、急性放射線障害の症状は「なし」と判断された。



1004006
県警、捜査本部を設置、刑事責任追及へ 業務上過失傷害の疑い
 茨城県警は3日、JCO東海事業所の臨界事故の捜査本部を設置し、刑事責任の追及に乗り出した。業務上過失傷害と原子炉等規制法違反の疑いで捜査を進める。被ばく事故で業務上過失傷害という刑事罰の立件は前例がない。県警は、ずさんな作業工程のあり方が事故を引き起こした疑いがあることと、重症者2人を含む計49人が被ばくしたことを重視、同社幹部らの関与についても調べる。

 JCOの説明によると、今回の事故はウラン燃料加工の最終工程で、臨界事故を防ぐためウランの注入量の上限を2.4キロとしている沈殿槽に、作業員がステンレス容器などを使って、16キロもの大量のウラン溶液を流し込んだことで発生したとされる。

 同社は、国の認可を受けた本来の作業手順に比べて、工程を簡素化した「裏マニュアル」を製造部長の承認の下に作成していたことを認めているが、問題の作業はこの「裏マニュアル」からも逸脱していた。

 捜査本部は、作業員3人が、なぜそのような作業をしたのか、その作業によって臨界事故という重大な結果を招くことを認識していたのか――などを調べる。さらに、臨界に至る危険な作業を指示した者の有無や、事業所でこの作業が習慣化していたのかどうかを調べるとともに、無認可の作業が黙認されるなど、同社や幹部らの作業工程の管理・監督のあり方についても追及する。




1004005
原子力保険、初適用に 上限10億円、超過はJCOが負担
 茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故で、損害保険会社43社でつくる「日本原子力保険プール」は3日、原子力損害賠償法に基づく原子力損害賠償責任保険を初めて適用する方針を固めた。被害者からの損害賠償請求がありしだい、大手損保などでつくる査定団で、事故との因果関係などの査定を進める。ただ、保険金の支払い上限は10億円で、これを超える分については、原則的にJCO側の負担になる。法律では、事業者側に十分な資力がない場合は「政府が必要な援助を行う」との規定もあり、今後の被害者補償では、国の対応もカギを握りそうだ。

 原子力損害賠償法では、原子力関連事業者に、原子力損害賠償責任保険に加入するなどして事故時の賠償請求に備えることを義務づけている。この保険は、事業者側の過失の有無に関係なく、核燃料物質の放射線などによる被害への賠償が必要になった時に、賠償額を保険金として支払う。支払い上限は、大規模な原子力発電所の場合は300億円(来年1月からは600億円)だが、JCOのような小規模な核燃料加工施設は10億円となっている。

 今回のケースでは、救急隊員らの被ばく被害のほか、鉄道の運休、事業所の休業、農作物の出荷停止など影響がきわめて広い範囲に及んでいる。賠償額が10億円を超え、JCOや、親会社の住友金属鉱山が保険金以上の補償を迫られるのは確実な情勢だ。原子力損害賠償法では、国会の議決をへて、政府が事業者に資金援助を出来ることになっているが、前例がないため細かな規定は未整備の状態。政府側は「大原則はやはり、事業者側の負担。国の援助としては低利融資などが考えられるが、状況を見ながら検討したい」(科学技術庁政策課)としている。

 「日本原子力保険プール」は、原子力損害賠償責任保険の引き受けのために損保業界が設けている団体。保険金支払いが巨額になるため、加盟各社が共同保険の形で引き受けている。

   ◇

 茨城県東海村は3日、JCOに対し、今回の事故で生じた村の被害への補償を求める方針を明らかにした。風評被害が懸念される村内産の農作物や、同社の作業員3人を救助した村の救急隊員の被ばくなどが対象となる。村上達也村長は「今回の事故は人為的ミス。JCOには補償に応じる義務がある」と話している。

 また、県漁業協同組合連合会も、事故後の休漁などによる補償を請求することを決めた。最盛期を迎えている秋のシラス漁は、4日も出漁を見合わせるという。



1004004
《検証・臨界事故》住民と自治体 足元に不安「正直怖い」
◆原発増設へ高まるハードル

 「ひとごとではない」「極めて重大な事故だ」。全国の原子力施設を抱える自治体には、臨界事故の発生が伝わると同時に、「ここは大丈夫か」と住民からの問い合わせが殺到し、首長たちは、今回の事故に強い不快感を口にした。国内最悪の事故をきっかけに、住民や自治体は原子力行政の足元を見直し始め、同時に反対運動も勢いづいた。

 ●青森

 核燃料サイクル基地の六ケ所村を抱える青森県は、大きな衝撃を受けた。

 木村守男知事は1日、県庁内に事故対策の緊急連絡会議を設置した。担当職員8人を東海村、JCO本社などに派遣し、24時間態勢で情報収集を続ける。出張などで事故現場近くを通るなどした場合、被ばくを心配する住民の相談に備えて医務薬務課などの職員は土日返上で県庁などに詰めた。県議会では「国も事業者もあまりにでたらめだ。もう協力したくない」と激しい声が飛び、県は原子力防災対策を定めた県地域防災計画原子力編も見直す考えだ。

 六ケ所村には日本原燃(本社・青森市)のウラン濃縮工場や使用済み核燃料貯蔵施設などが並ぶ。橋本寿村長は、「まことに遺憾」と厳しい表情を見せた。「原燃の世話になっているから」と事故の感想を避ける村民が目立つが、30代の女性は「あり得ないことが起きた事故。正直言って怖い」。

 ●福島

 10基の原発が立地する福島県。佐藤栄佐久知事が1日の県議会で、「極めて深刻な事態」と述べた。国に原因究明と再発防止の徹底を求める予定だ。

 東京電力福島第1、第2原発がある双葉、大熊、富岡、楢葉の四町長は1日、両原発の所長を双葉町役場に呼び「安全運転の徹底」を申し入れた。東電側は「燃料形態が違い、原発では起こり得ない事故。再度安全点検を行い、不足があれば見直す」と約束した。

 東電が原発の増設を計画中だが、県は慎重姿勢をとっており、今回の臨界事故で増設へのハードルが一気に高まるのは必至だ。

 ●新潟

 「国の安全基準を疑わざるをえない」

 総出力で世界最大の東京電力柏崎刈羽原発がある新潟県では1日、平山征夫知事が強い不快感を示した。柏崎市の安達公司助役も「あってはならないことが現実となり、極めて遺憾」とのコメントを発表した。新津市では2、3日、非核平和都市宣言を促す運動を続ける非核自治体・全国草の根交流大会が開かれ、約300人が集まった。

 3日の閉幕時には、臨界事故に関する特別声明が採択され、「JCO加工施設の閉鎖とすべての核施設の操業停止」などを求めた。

 ●北海道

 泊村に北海道電力泊原発がある。地元の動きは急だ。道議会は1日、事故原因の究明や稼働している原発の安全性の再確認、情報公開の徹底を政府に求める意見書を採択した。泊村の佐藤淳一村長は1日朝、村職員に「世界的な大事故。しっかり認識してほしい」と訓示した。

 道と地元四町村は放射性物質が大量に放出された災害を想定した原子力防災計画を作っている。1988年以降毎年、原子力防災訓練をしているが、臨界事故後、新しい課題が浮かんでいる。村職員は「被ばく者を札幌まで運ぶことになるだろうが、もっと身近に医療機関がなければいけないのではないか」。

◆瀬戸内の島「逃げ場ない…」

 ●福井

 15基の原子炉を抱え、「原発銀座」と呼ばれる福井県。プルサーマル運転や敦賀原発の増設計画がある中、県民の間に不信感が広がっている。事故の翌日、福井県は放射能測定に協力する職員4人を派遣した。

 7月に1次冷却水漏れ事故を起こした敦賀原発のある敦賀市には、「敦賀でもあり得るのか」と問い合わせがあった。

 事故の翌日、プルサーマル計画に使うプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料が関西電力高浜原発4号機(高浜町)に到着。反対派の市民ら200人が集会を開いた。反原発団体は「臨界事故は燃料の濃度に原因がある。(品質検査データがねつ造され)計測がでたらめのMOX燃料は絶対に使ってはならない」。

 ●三重

 地元の反対で36年間もめ続けている中部電力芦浜原発立地計画に、影響を与えそうだ。

 北川正恭知事の要請で、中電の立地推進活動は2年前から99年末まで、「冷却期間」として一時中断している。来年から推進活動を再開する予定の中電にとって「最悪のタイミング」の事故になった。

 冷却期間が明けたら、北川知事は芦浜原発の是非について判断を示さなければならない。

 南島町芦浜原発阻止闘争本部長の稲葉輝喜・南島町長は「反対運動をますます強め、計画の完全白紙撤回を求める」。

 ●山口

 瀬戸内海をのぞむ上関町では、中国電力の原発建設計画が進んでいる。予定地から約4キロの祝島で反対運動の先頭に立つ山戸貞夫・祝島漁協組合長は「上関で原発事故が起きた場合を考えると、逃げ場のない島での怖さを実感する」という。

 一方、計画推進の立場の片山秀行町長は「原発は何重もの防護策が施されており、事故を起こした施設とは次元が違う。計画に影響はないだろう」。



1004003
《検証・臨界事故》原子力行政 「推進」政策、厳しさ増す
■九電「プルサーマル」当面凍結

 東海村の臨界事故で、原子力政策にブレーキがかかっている。電力各社の原子力発電所の新規立地はこれまで以上に難しくなるのは確実だ。九州電力はプルトニウムを普通の原発で燃やす「プルサーマル計画」を当分の間凍結することを早くも決めた。通産省が「資源の有効利用策」として推進し、日本の原子力政策の中核に据えてきた「核燃料サイクル」にも大きな壁が立ちふさがった格好で、原子力行政は重い課題を背負うことになった。

 ●くもる表情

 「新しい原発立地や建設について大きな障害を抱え込んだ」。事故を受けて緊急記者会見を開いた電気事業連合会の太田宏次会長(中部電力社長)は表情をくもらせた。事故が起きたのは、科学技術庁の認可施設で、太田会長は「電力会社が、すべての原子力の安全管理面で、監督官庁の代わりはできない」と不満をもらす。

 北海道の泊原発3号機の増設計画を進めている北海道電力も「立地推進に厳しい影響が出てくるだろう」(広報部)とこぼす。

 通産省は今後も電力需要が伸びることを想定して、2010年までに16基から20基の原発の新設を見込んだ需給見通しをたてている。石油や石炭などの化石燃料より二酸化炭素の排出量が少ない原子力が地球温暖化問題に貢献できることなどをあげて、事故後も「原発推進の立場に変わりはない」(河野博文・通産省資源エネルギー庁長官)と強調している。

 今回の事故についても「原発と直接、関係のない別の次元で起きた。マスコミや国民にはそこを区別してほしい」(同庁幹部)といって、安全性や防災対策の強化を図ることで、「難局」を乗り切る意向だ。

 だが、こうした作戦も現状では特効薬にはならない。もともと、日本での「原発アレルギー」は強まっており、総理府の今年2月の世論調査でも、原発の増設や現状維持に理解を示す人の割合が10年前より減って、不安を感じる人は7割近くに達している。

 ●「説明困難」

 「事故が起こった施設は、事故防止の仕組みが何重にもある原発とは異なるが、国民の不安は高まっていて、違いを説明できる状況にない」。九州電力の首脳は、玄海原発3号機(佐賀県玄海町)でのプルサーマル計画の実施に向けて、近く予定していた地元自治体への申し入れを見送ることにした理由をこう説明する。

 2010年までに16基から18基での実現を見込んだプルサーマル計画を柱とする「核燃料サイクル」は、大きな節目にたっている。今年6月には、原発内で貯蔵しきれなくなった使用済み核燃料を国内で再処理するまで、一時的に原発の敷地外に保管できる「中間貯蔵」の法案が通った。旧動燃の事故の影響でスタート時期が大幅に遅れたプルサーマル計画は、9月下旬に海外で再処理・加工されたプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料が日本に到着し、ようやく見通しがついたばかりだ。

 年末から来年にかけてプルサーマル計画の実施を予定していた東京電力と関西電力は「計画の変更はない」としているものの、中間貯蔵については「地元の反対が強くなって、候補地の選定が困難になることは避けられないだろう」(東電幹部)とみる。

 通産省には、「今後は原発だけでなく、燃料加工施設にも多重防護の考え方を取り入れる必要がある」(与謝野馨通産相)という声も出ている。このためには多額の投資が必要で、民間企業にとっては大きな負担となるうえ、最終的に発電コストにはねかえり、電気料金を押し上げる要因にもなりかねない。

 電力業界は核燃料サイクルや高レベル放射性廃棄物の最終処分に関連した多額の出費を控え、原発の発電コストは上がる一方だ。電力会社のある幹部は「経済性を考えれば、プルサーマル計画はやりたくない」と本音をもらす。また、目先の電力需要からみて、新規立地の緊急性は薄らいでいる。業界からも環境対策や新エネルギーの可能性も検証したうえで、原発の位置づけを明確にした「エネルギー基本法」の制定を求める声が出ている。今後、こうした声が強まるのは必至で、原発を含めたエネルギー政策全体を見直す時期にきている。


■科技庁、「検査体制追いつかぬ」
 「マニュアル通りに行われないことも起こり得ると、想定しておかなければならない」。JCO東海事業所を監督する科学技術庁の有馬朗人長官は3日、出演したテレビ番組で厳しい表情を浮かべ、こう語った。

 JCO東海事業所は、「裏マニュアル」にもとづいて、4年間国が承認していない作業を続けていた。科技庁はこの間、施設の運用状況を調べる検査を全く、行っていなかった。事故が起きた後、「ごまかし」が発覚した。

 今回事故が起きた核燃料施設の規制、監督は科技庁原子力安全局が担当している。同局には約140人の職員がいるが、現場に出て検査をしているのは約30人だ。「数年に1度は行きたいが、この体制では、とても無理」とある幹部は率直に認める。

 核燃料施設などが事業を開始したり、変更したりする際の事前の安全審査は書類審査が中心だ。科技庁が一次審査した後、国の原子力安全委員会が審査する「二重チェック体制」になってはいるが、同委員会の審査は書類だけだ。

 過去にもごまかしがあった。昨年10月、原電工事(当時)が、工期に間に合わせようと、使用済み核燃料などの輸送容器の放射線遮へい材のデータを改ざんしていたことが発覚した。容器の型式について承認を得るため、科技庁に提出した書類などに架空の数値を書きこんでいたが、同庁はそのまま承認していた。マスコミあての内部告発があるまで、同庁は改ざんデータをうのみにしていた。

 原子力施設の規制、監督は、通産省が原子力発電所、科技庁が研究機関や燃料工場など残りのほとんど、と分かれている。技術的に確立し、産業的にも安定している原発と違い、科技庁が担当する施設は多様で小規模なものも多い。「規制対象が多岐にわたっている分、原発より、規制、監督に難しい面がある。通産省と単純に比較されても」と科技庁が管轄する施設で不祥事や事故が起きる度に、同庁の幹部たちはぼやく。

 とはいえ、国内では過去最悪となった今回の事故を機に、有馬長官は今後、核燃料施設の事業者などに疑いの目をもって対応していく必要があると語っている。

 米国では、職員3000人を抱える米原子力規制委員会(NRC)がある。元科技庁長官の中川秀直代議士(自民党)は、「安全を守るためには、日本にもNRCが必要だ」と指摘している。



1004002
科技庁、JCOを立ち入り検査
事業許可取り消しも
 茨城県東海村にある民間のウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」(本社・東京)東海事業所で起こった臨界事故で、科学技術庁は3日、JCOの本社と東海事業所の2カ所を立ち入り検査し、同社幹部数人から事情を聴いた。国の承認を受けていない違法な作業が事故原因とみられること、その結果、作業員が大量の放射線被ばくを受けたことなどが、原子炉等規制法の規定で事業許可の取り消し処分に相当するとの見方をほぼ固めた。

 立ち入り検査は午後4時ごろから始まった。科技庁の岩橋理彦・核燃料規制課長ら6人が東海事業所に、吉村宇一郎・同課安全審査管理官ら4人が東京都港区新橋の本社に、それぞれ調査に入った。

 東海事業所の事業許可を受けた際の申請書類を確認、事故の原因となったウラン溶液の扱い方や、災害防止のために定めた保安規定の内容などについて書類を調べ、実態について同社幹部から話を聴いた。

 事故では、発生時に現場にいた3人の作業員が大量被ばくしているが、同社の説明によると、被ばくに気づくのが遅れたことがわかっている。このため、放射線量の管理方法がどうだったのかなどについても今後、詳しく調べる。

 炉規制法では、事業の許可を受ける場合、加工施設の構造や設備、加工の方法も申請書に明記すると定めており、変更の際は変更許可の申請とその安全審査が必要だ。これに違反した場合、事業許可の取り消し、または1年以下の操業停止処分が科せられる。今回の事故では、加工に使う設備や方法が、国に届け出たものとは異なる方法でおこなわれていた。JCOもこれを認めている。同庁は「事実だとすれば極めて悪質で、事業許可の取り消しに当たる」とみて、事実関係の確認を急ぐとしている。

 ただ、事業許可を取り消す場合、残った施設をどう安全に管理し、解体するのかなども考慮する必要がある。このため、処分はこうした問題をにらみながら、決められることになる。

 科技庁によると、核燃料加工事業者が炉規制法違反で事業許可取り消し処分を受けたことは過去にない。



1004001
東海村事故で、中性子線測定は6時間後
県・JCO認識なし、臨界対策に遅れ
 茨城県東海村の「ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所」で起きた臨界事故で、人体への影響が重大な中性子線の測定が、事故発生から6時間近くも実施されていなかったことが3日、明らかになった。中性子線の測定には特別な機器が必要だが、同事業所にはこの測定機器がなかったことに加え、県も事故当初、中性子線の測定が必要との認識がなかった。中性子線は、臨界状態を推定するのにも不可欠で、国内では経験のない臨界事故の状況把握に手間取り、対策が後手に回る原因になった。

 事故が起きたのは30日午前10時35分ごろ。だが、中性子線の測定が始まったのは、6時間近く後の午後4時過ぎだった。

 中性子線は、コンクリート壁を透過する力を持っており、人体の細胞などを壊す力も、同じ放射線の一種であるガンマ線より大きいとされる。また、核分裂の連鎖反応に伴って生じることから、臨界の状態を推測するのにも欠かせない。

 同事業所は中性子線を測定できる機器を備えておらず、臨界に詳しい専門家もいなかった。臨界事故を想定したマニュアルもなく、事故発生後、現場周辺のガンマ線の測定でさえ、始めるまでに約1時間もかかった。茨城県原子力安全対策課によると、JCOからガンマ線の測定結果の報告を受けたのは、それから約30分後だった。

 県の担当者は「値がそれほど高くなかったため、臨界が起こっているとは思わなかった」といい、さらに、午後3時過ぎからの測定でガンマ線の値が下がったため、「臨界は収まったと考えた」としている。

 しかし、同じころ、東海村の日本原子力研究所の専門家から、「中性子線量も測った方がいい」という指摘があった。それまで県には「中性子線を測定する必要があるという認識はなかった」という。県はすぐに、同村の核燃料サイクル開発機構に中性子線測定の要請を出した。

 同機構の専門家らが中心になって中性子線の測定を始めたのは、午後4時過ぎだった。測定機器は同機構のほか日本原子力研究所にもあったが、JCOからの測定要請はなかったという。

 現場周辺の14地点で測定した結果がまとまったのが午後6時半。事故が起きた転換試験棟近くで、通常検出されない中性子線が毎時4.5ミリシーベルト検出され、臨界反応が続いている可能性が高いことが初めて確認された。結果を受けて、県は午後10時半、現場から半径10キロ以内の住民に屋内退避要請を出した。



100305

被ばく医療ネット初の本格治療

臨界事故で被ばくしたJCOの作業員の1人、大内久さん(35)は2日午後4時40分ごろ、救急車で千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)から、転院先の東京都文京区の東大病院に到着した。搬送用ベッドで集中治療室に運び込まれた大内さんは、首から下が水色のタオルケットに包まれていた。酸素マスクをした顔は真っ赤にむくみ、目は閉じたままだった。

 約3時間後、東大病院の武谷雄二院長ら4人の医師が記者会見した。大内さんのような症状の患者への本格的な治療経験はないが、10人以上のスタッフで治療にあたり、「最良の方法で取り組めるよう、態勢を整えつつある」と語った。

 放医研によると、大内さんは1日夜、腹部が膨れ、再び下痢が始まるなど容体が急変したが、2日になって持ち直したという。

 大内さんとともに入院して治療を受けている篠原理人さん(39)、横川豊さん(54)は、2日から経口食をとり始めた。しかし、血液中のリンパ球の減少は依然として続いている。

   ◇

 国内の原子力事故で、こうした本格的な治療は初めてだ。

 緊急被ばくに対する医療で、病院連携の中心となる「緊急被ばく医療ネットワーク会議」(委員長=前川和彦・東大教授)は、昨年7月にできたばかり。1日、治療方針などを検討するための会議が緊急に招集された。

 この組織ができたのは、原子力災害に対応するための国の医療機関、放射線医学総合研究所(放医研)だけでは、大規模な事故や特殊な医療に対応できないという危機感からだ。

 特に放射線で免疫細胞が壊されたような場合は、患者への細菌感染を防ぐために無菌室や集中治療室での治療が必要となる。

 治療法としては、血液を作る細胞が壊されてしまった患者には、骨髄移植などが検討される。重症者が何人も発生した場合、放医研だけですべてに対応するのは困難であり、多くの基幹病院と、経験のある医師が協力して対応することが不可欠だ。

 国の中央防災会議が1997年に改定した防災基本計画では、阪神大震災をきっかけにした大災害に対する危機管理意識の高まりから、原子力災害などの対策が追加され、これを受けて救急医療や放射線医学などの専門家で構成する同会議ができた。

 ただ、国内ではこれまで深刻な被ばく事故は少なかった。原爆被爆者や海外の原発事故被ばく者の治療経験のある医師もそれほど多くない。今回、患者が東大病院に運ばれたのも、放医研に骨髄移植の専門家がそろっていないためだ。


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100304

救急隊、防護服の備えむなし、救命のプロ襲った恐怖

 国内初の臨界事故では東海村消防本部の3人が救急作業中に被ばくした。119番通報で放射線の事故と知らされなかったのが原因。3人は「現場に急行」という使命を果たした結果、不安にさらされることになった。

 「人が倒れました。救急車をお願いします」

 「どうしましたか」

 「呼ぶように言われただけで、詳しいことはわかりません」

 9月30日午前10時43分。事故が起きたJCOから東海村消防署に入った119番のやりとりは、そんな内容だった。川崎浩署長は「事故という言葉すらなかった」とふり返る。

 救急隊の小林義美隊長(43)、小川徹隊員(27)、飯塚進市隊員(43)の3人は白衣をはおっただけで現場に向かい事故が起きた建物に迷わず踏み込んだ。「現場へ急行」。それが使命だ。

 ロッカーに囲まれたスペースに、作業服を脱いで横たわっている男性がいた。吐しゃ物で、床やシャツが汚れていた。別の男性もしゃがみこんでいた。

 案内役の従業員が言った。「ここはちょっと(放射線の)レベルが高い」

 屋外に出ても、「ここも高い」という声が飛んだ。結局、同社敷地の正面入り口まで運び出した。

 飯塚隊員はこの間、従業員が避難していた管理棟で「事情の分かる人はいますか」と尋ねた。70−80人いたのに、だれも名乗り出なかった。正面入り口で救急処置を続けている時、周りの人に「どうしてこんなに人がいるのか」と尋ねた時、初めて「退避しているんですよ」という答えが返ってきたという。

 消防署と無線連絡を取り合って被ばく事故の際の搬送先病院を探したのはそれからだ。村内の指定診療所には連絡がつかなかった。水戸市の病院に向けて出発したのは午前11時49分。到着から1時間以上。

 小川隊員は「付き添いの社員が救急車に放射線の測定器を持ち込んだのを見て、やはりそうかと思った。帰る時にはぐったりと疲れていて、自分たちも被ばくしただろうな、とぼんやり考えた。放射能の事故は怖い」と話した。

 小林隊長は、2年前の旧動燃の事故でも、消防隊として出動した。原子力施設の事故対策の専従担当者でもある。消防署では頭から足先まですっぽりとかぶる完全密閉式の防護服も用意している。「放射能の事故だと分かっていれば、必要な装備と行動をした。(自分たちの)被ばくを防げなかったのは非常に残念だ」

 救急作業で被ばくした3人は、その後も平常通り勤務している。幸い、被ばくの程度はごく軽かった。

 3人とも、人を助ける仕事に誇りを持っている。

 「私たちもプロなら、JCOも放射性物質のプロ。事故のことを事前にきちんと説明すべきだった」



100303

《検証・臨界事故》違法知りつつ習慣化「裏マニュアル」表紙に部長印

茨城県東海村の臨界事故は、ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所がウラン加工施設で組織的な違法作業を繰り返した末に発生したものだった。幾重にも安全性を重ねなければならない施設は、作業工程を簡略化する会社ぐるみの「裏マニュアル」に支えられていた。

 ●会社ぐるみ 

 「はい。私自身、正規の手続きにはない作業を、製造一課長として、直接見ていました。4、5年前でしょうか」

 JCO東海事業所の小川弘行製造部計画グループ長は、茨城県庁での記者会見で、苦渋の表情を浮かべた。同社では以前から、ウラン溶液の製造過程で、正規の装置(溶解塔)を使わずに、ステンレス容器で、溶解の作業をする違法な行為を繰り返していた事実を明らかにした。

 小川グループ長は何度も、汗で光る額に、茶色のハンカチをあてた。

 原子炉等規制法では、ウランの加工事業の許可を受けるには、加工作業で使用する装置を国に届け出る必要があり、これ以外の装置、器具で代替させることは認められていない。

 しかもこの違法な作業は、組織的に続けられていた。1997年10月27日に改訂された同社の出荷手順書には「ステンレスバケツを3個よく洗浄し、溶解用として、用意する」と違法な作業が堂々と、明記されている。

 表紙には「作成」「発行」「審査」など11項目の空白があり、7人の担当者の印鑑が押されていた。「承認」欄には、製造部長のお墨付きまで押されており、まさに組織ぐるみを物語る。

 「違法」との認識はもちろんあった。同社の関係者は、「同僚らと、『本当は溶解塔で作業しないといけないな』などと話していた」と証言している。

 今回の事故は、最終工程で、ステンレス容器を使い、沈殿槽に大量のウラン溶液を流し込んだことで発生した。

 「裏マニュアル」はステンレス容器を使い、ポンプを通して貯塔に注入するよう定めている。作業員がせめて、この「裏マニュアル」通りにしていれば、臨界事故は起きなかった。

 こうした違法な行為は、習慣化していたとみられる。JCOの説明によれば、事故前日の29日も3人は同じ手順で作業をしていた。この日は決められた量の4倍に当たる約9.2キロのウラン溶液を沈殿槽に入れていたという。

 ●動機 

 「考えられるのは作業がやりやすくなって、時間が短くなることでしょうか」

 事故を起こした作業員らが本来の作業とは関係ない「沈殿槽」にウラン溶液を入れたのは、「作業を短くやりやすくする」という安易な目的のためだった可能性が、高くなってきた。

 事故は、「貯塔」と呼ばれるタンクにウラン溶液を入れるべきところを、沈殿槽に入れたことで起きた。小川グループ長は、「少なくとも4、5年前は沈殿槽に入れるというようなことはやっていなかった」と語った。

 JCOによると、沈殿槽にはかくはん器が付いており、ウランを完全に溶かし溶液を均一にするための時間が短縮できる。「3時間かかる作業が、30分もあれば終わる」という。

 沈殿槽は直径50センチ、深さ70センチの円筒形で、137リットル。同社の規定では、「常陽」用の場合、2.4キログラムを超えるウランを入れてはいけない。ところが、作業員はトータルで基準の約7倍のウランを含む溶液を入れてしまった。けれども、「どれほどの危機意識があったのかは本人に聞かなければわからない」というばかりだ。

 マニュアルによれば、沈殿槽にはポンプの配管を通じてしか注入できない仕組みになっているが、上部のふたには監視用の小さなのぞき穴があった。「穴に漏斗を差し込んで、ウラン溶液を注ぎ込んだとしか考えられない」という。

 一方、貯塔は直径17.5センチ、深さ3.5メートルで約87リットル。細長い円筒形をしていることから、ウラン溶液をいっぱいに入れても臨界には達しない。専用のポンプを使ってしか注入できない。

 沈殿槽に送り込むなら、漏斗を使っていくらでも入れることができる。小川グループ長は「作業そのものが、やりやすく楽になるのだと思う」と話した。

 ●認識不足 

 「漏斗でウラン溶液を流し込んでいたら、青い光が出た」

 事故にあった作業員の1人は、救急車で病院に搬送される途中、こう漏らしたという。

 作業員には、ウラン溶液を不適切に扱えば、臨界を起こしかねない、との危険性の認識はあったのか。

 今回、作業員らは、ウラン溶液の濃度を均一化する最終工程で、本来使う「貯塔」という装置を使わずに、かくはん器のある「沈殿槽」を使っていたとみられる。この二つの装置には、臨界を防ぐ仕組みに、根本的な違いがある。

 「貯塔」は、直径を短くして、形を変えることで事故を防ぐため、どんなに多くのウラン溶液を入れても、臨界には達しない。

 一方、沈殿槽は、投入するウランの量をポンプで自動的に制限することで、暴走を防ぐ方法をとっている。

 作業員らは、この重大な違いを理解していなかったからこそ、溶液の注入先を貯塔から沈殿槽に安易に変更したとの見方もできる。

 経験も浅かった。事故で被ばくした3人はいずれも、ウランを扱う再転換試験棟での経験は10年以上のベテランだったが、「常陽」に納める硝酸ウラニル溶液を作る作業については、指示者の作業員でさえ、延べ2、3カ月の経験しかなく、従事したのは2年以上も前だったとされる。

 残りの2人については、「常陽」の作業に携わるのは9月10日から始まった今回が初めてで、ようやく、1、2週間が経過したばかり。さらに事故を起こした最終工程は、事故前日の29日が初日だった。危険度を認識するには乏しすぎる経験だった。

 「臨界の危険性、安全確保策について、原子燃料を使う会社として、半年に1回、丸一日をかけてちゃんと教育している。理解、経験の不足が事故につながったとは思いたくない」

 小川グループ長はこう漏らし、言葉を詰まらせた。

 ◆「手順飛ばし」に同業他社は驚き

 JCO東海事業所が「裏マニュアル」を作成した上、この手順すら守られていなかったことに、同業他社は驚きの声をあげた。

 JCOから約1キロ離れた東海村舟石川にある「三菱原子燃料」。加圧水型の原子力発電所用の燃料を加工している。ウランを粉末化する工程までは完全に機械化されているが、粉末を固めた「ペレット」を燃料棒にしたり、それを束ねて集合体にしたりする工程では、作業員の手作業が加わる。作業は要項や運用基準などマニュアルを定めているという。

 毎回、各工程でどのような作業を行ったかをチェックシートに記入し、年に一度、現場から事務系まですべての部署に対し品質管理監査を行っているという。

 「工程を一つでも飛ばしたり誤ったりすれば製品はできない。それがマニュアルというもの。守るのは当然」(三菱原子燃料総務課)。監査の結果は取引先の五つの電力会社にも提出され、各社からも年に一度、監査を受けている。

 青森県六ケ所村にウラン濃縮工場を持っている「日本原燃」の立地広報部によると、濃縮工程はすべて機械化されているため、人手が介在する過程はなく、作業の途中でマニュアルから逸脱するということはあり得ないという。

 マニュアルで決められた作業を、JCOが現場で変更していたことについて同部は「報道などでみると、かなり場当たり的に作業していたようだ。許されることでない」と話している。

 やはりウラン濃縮をしている「核燃料サイクル開発機構」の人形峠環境技術センター(岡山県上斎原村)でも「濃縮の工程は全自動でやっていて、人間の手でウランが右から左へ動いたり、ワンステップを飛ばしたりすることはない」と話す。

■小林圭二氏、高木仁三郎氏に聴く
 ◆事故起こしやすい施設――小林圭二・京都大学原子炉実験所助手(原子炉物理学)の話

 ウラン化合物が気体や液体、固体に変化しながら常に移動している燃料加工施設は、決まった形の燃料を決まったところに入れるだけの原子炉より、事故を起こしやすいのは専門家の間では常識だ。原発以上に規制を厳しくしなければならないのに、日本の原子力行政の規制は原発に偏重している。ウランが移動しているどの工程でも、臨界に達しないようになっていなければならない。作業員がやりたくても量的制限を超えられないよう沈殿槽が密閉されていないのは、設計のミスだ。そういう構造のものを認めてしまった行政当局にも責任がある。

 ◆「コスト抑え」で国も黙認――高木仁三郎・原子力資料情報室前代表の話

 今回の事故は、現場の作業員の勘違いや、うっかりミスが原因ではない。原子力発電は発電所施設の建設費などのコストは高くても、燃料が安いことを伝統的に「売り」にしてきた。燃料の加工をする企業は、こうした流れの中で利益を得なければならず、できるだけ工程を省き、コストを抑えようと考えがちだ。誤った操作をしても臨界が起きない施設をつくることは可能だが、コストが高くなるため、企業はやりたがらない。それを、国も黙認してきたことが最大の問題だ。危険な核物質を扱うという認識が足りず、普通の化学工場の延長線上でものを考えていたとしか思えない。




100302
大内さんの被ばくは約17シーベルト 造血幹細胞移植へ
 
 茨城県東海村の民間ウラン加工施設JCO東海事業所で起こった臨界事故で、放射線医学総合研究所(千葉市)は2日、大量の放射線を浴びた作業員の大内久さん(35)の被ばく量が、放射線によってできた血液中のナトリウム24の量から「約17シーベルト相当」と推定されることを明らかにした。これは、職業上の被ばくに対する年間の最高線量限度の340倍。

 大内さんは2日午後、放射線医学総合研究所から東京都文京区の東京大学病院に移された。リンパ球の減少が激しく、東大病院は免疫細胞のもとになる「造血幹細胞」を移植する方向で準備を進めている。

 放医研によると、大内さんは1日夜、腸管の膨満などがみられたが、2日朝にやや回復したという。佐々木康人所長は「消化管症状がひどくなる前に移植をしなければならない。副作用のリスクはあるが、あえてすべきだと考えた」と話した。

 大内さんは2日夕、東大病院の集中治療室で点滴などを受けている。意識はあり、血圧や体温は比較的落ち着いているが、「過去の放射線事故の例から考えると見通しは厳しい」(木村哲・副院長)という。

 放医研は、同時に被ばくした2人の推定被ばく量を、それぞれ「約10シーベルト相当」、「約3シーベルト相当」とみている。

 ◆造血幹細胞移植

 赤血球や、リンパ球など白血球をつくる骨髄の大切な働きが失われた場合、それを回復させるのをねらう治療法。造血幹細胞は、リンパ球などをつくるもとになる細胞のことで、骨髄液にあるほか、最近では赤ちゃんのへその緒(さい帯)の血液や、体を流れる血液(末しょう血)からも採取できるようになった。

 白血球の型(HLA)が合う提供者から造血幹細胞を採取し、増殖させるなどしたうえで患者に移植する。




100301

JCO、4年前から違法作業、裏マニュアル」からさらに逸脱、臨界に
1999年10月3日更新

 国内初の臨界事故を起こした茨城県東海村の民間ウラン加工施設「ジェー・シー・オー(JCO)」(本社・東京)東海事業所は2日、国の承認を受けた本来の作業工程を無視した「裏マニュアル」にあたる手順書を作成し、4年前から組織ぐるみで違法な作業を繰り返していたことを明らかにした。今回の事故では、作業員がこの裏マニュアルにもない作業をしており、これが臨界事故の原因につながったとみられる。科学技術庁によると、使用設備や工程を変えるときには事業変更許可申請をしなければならない。同庁は「原子炉等規制法に違反しており、事実関係を詳しく調査する」としている。

51時間半ぶりに350メートル以内の避難解除

避難要請が解除され、避難所を出る住民たち=2日午後8時すぎ、茨城県東海村の舟石川コミュニティセンターで
 JCO東海事業所で起きた臨界事故で、政府と茨城県、東海村は2日午後6時半、事故現場から半径350メートル以内の住民を対象に呼びかけていた避難要請を解除した。国の原子力安全委員会の「緊急技術助言組織」(委員長=佐藤一男・原子力安全委員会委員長)の検討結果を踏まえ、放射線量が通常値に戻ったなどとして、三者がそれぞれ発表した。これを受けて、村内の施設に避難していた約80人の住民が、51時間半ぶりに自宅に戻り始めた。
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大内さんの被ばくは約17シーベルト
茨城県東海村の民間ウラン加工施設JCO東海事業所で起こった臨界事故で、放射線医学総合研究所(千葉市)は2日、大量の放射線を浴びた作業員の大内久さん(35)の被ばく量が、放射線によってできた血液中のナトリウム24の量から「約17シーベルト相当」と推定されることを明らかにした。これは、職業上の被ばくに対する年間の最高線量限度の340倍。


10021923-1999年10月2日(土) 19時23分
<放射能漏れ>JCOの木谷社長、橋本茨城県知事にも正式に謝罪(毎日新聞)


 臨界事故を起こしたJCO社の木谷宏治社長は2日午前、初めて茨城県庁に橋本昌知事を訪ね「あってはならない事故を起こしてしまい、心からおわび申し上げます」と正式に謝罪した。これに対し、橋本知事は「遺憾だ。原子力を扱っているという危機意識がまったくない」と同社の姿勢を批判した。



10021911-
1999年10月2日(土) 19時11分
<放射能漏れ>現場の転換試験棟内部、高濃度放射能で汚染か=替(毎日新聞)


 JCO東海事業所の臨界事故で、現場の転換試験棟の内部が高濃度の放射能で汚染されている可能性が高いことが2日、分かった。同棟内の汚染処理はかなり長期化する見込みで、いつ立ち入れるかめども立っていない。茨城県警の現場検証などの捜査や、科学技術庁の調査には大きな障壁になりそうだ。

 事故では被ばくした作業員らから、バリウム139やストロンチウム91などの放射性物質が検出された。敷地周辺からも微量だがセシウム137が検出されている。いずれもウランの核分裂反応に伴って生成する物質で、転換試験棟内も臨界反応で放出された、さまざまな放射性物質で汚染されているとみられる。

 科技庁原子力安全課は「自然に放射能汚染レベルが下がるのを待っていたのでは、数年から数十年かかるだろう。放射線の遮へい壁を設け、遠隔操作で汚染を除くことも検討しないとならないが、具体策はまだできていない」と語る。

 同事業所では2日朝から、転換試験棟からの放射線漏れを防ぐため、核分裂反応で発生する中性子などを跳ね返す効果があるフッ化カルシウムの粉末を詰めた袋を同棟の出入り口付近を中心に積み上げる作業を始めた。また、同棟から離れた周辺建物では、測定で放射線が通常レベルに戻ったことが確認され、従業員らが入りかたずけなどの復旧作業をしている。同事業所は「まず、被害拡大防止を最優先に考えたい」と話している。

 茨城県警は業務上過失傷害と原子炉等規制法違反容疑で関係者の事情聴取を始めているが、事実関係の確認には現場検証が不可欠で、同棟内には、作業内容などを記録した操業記録も残されているという。

 1997年3月に起きた、旧動力炉・核燃料開発事業団(現・核燃料サイクル開発機構)東海事業所の再処理工場火災・爆発事故では、現場への本格的な立ち入り調査を行うまで約半年かかった。ベルギーの再処理工場でも、動燃のケースと似た火災事故が81年に発生したが、室内の放射性物質の除去を含め、復旧には約5カ月かかっている。

 鈴木篤之・東京大大学院工学系研究科教授(原子力工学)は「東海再処理工場の事故ほどは設備が破損していないとみられるが、放射線のレベルが下がって作業に着手できるようになるまでしばらく待たなければいけない。いつになればレベルが下がるかが、今後の最大のポイントだ」と話している。 【高野聡、金田健】




10021611-1999年10月2日(土) 16時11分
<放射能漏れ>JCO東海事業所、定期立ち入り検査の対象外(毎日新聞)


 茨城県東海村の臨界事故で、JCO東海事業所は、科学技術庁が原子力発電所のように定期で立ち入り検査をする対象施設にはなっていないことが2日、分かった。このため4年前の新設施設の検査以降は、国の検査を受けていなかった。

 同事業所は、原子炉等規制法の規定では「核燃料物質の加工施設」にあたる。この種の施設は、定期的な検査が、13カ月ごとに義務付けられている原発や、1年ごとの再処理工場と違い、施設を新設したときが検査対象となる。ただ、不定期に科学技術庁の原子力施設検査官が保安規定の順守状況などを調査することがあるが、同事業所はこの検査を1992年11月に受けたっきりで、立ち入り検査も95年3月の新設した貯蔵庫の施設検査が最後だった。




10021232-1999年10月2日(土) 12時32分
<放射能漏れ>現場の転換試験棟内部、高濃度放射能で汚染か(毎日新聞)


 国内最悪の原子力事故となった茨城県東海村の核燃料加工会社、JCO東海事業所の臨界事故で、現場の転換試験棟の内部が高濃度の放射能で汚染されている可能性が高いことが2日、分かった。同棟内へいつ立ち入れるかめどは立っておらず、茨城県警の現場検証などの捜査や、科学技術庁の調査には大きな障壁になりそうだ。


10021052-1999年10月2日(土) 10時52分
<放射能漏れ>日本の核燃料サイクル計画に責任 米シンクタンク(毎日新聞)


 米国の著名な核問題シンクタンク「核管理研究所」は1日、茨城県東海村での臨界事故は、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(1995年)などとも関連し、プルトニウム利用を柱とする日本の核燃料サイクル計画そのものに責任がある、とする声明を発表した。



10020813-1999年10月2日(土) 8時13分
核への不安 東北を席けん/原燃、安全強調に懸命(河北新報)

 茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」(本社東京)の転換試験棟で発生した被ばく事故は、日本原燃(本社青森市)のウラン濃縮工場を抱える青森県や原子力発電所が立地する宮城、福島両県にも衝撃を与えている。


 日本原燃は平成5年11月から、計470トンの濃縮ウランをジェー・シー・オーに出荷している。青森県六ケ所村の工場で最大5%に濃縮された六フッ化ウランは、事故が起きた東海村の工場で二酸化ウランに再転換され、一般の軽水炉用燃料に加工される。

 ジェー・シー・オーは、フランスなどで20%近くに濃縮された六フッ化ウランを核燃料サイクル機構の高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の燃料用に再転換する事業も行い、事故は常陽向けラインで起きた。

 日本原燃は「六ケ所村での濃縮作業は、ジェー・シー・オーの作業と種類が違う。扱うウランの濃縮度も異なり、臨界を引き起こす事態はあり得ない」と不安の打ち消しに懸命だ。

 青森県は、9月30日午後から夜を徹した情報収集に追われ、1日、庁内に連絡会議を設置。職員6人を東海村やジェー・シー・オー本社など4カ所に派遣、情報収集に努めている。

 木村守男知事は「県民は不安と不信に陥っている。原子力政策への影響は大きい」と強調。事態が沈静するのを待ち、国と県が話し合う核燃料サイクル協議会の開催を求める方針だ。

 核燃サイクル施設がある六ケ所村でも動揺が広がり、「これほどショックを受けた原子力事故はない」「村の防災態勢は十分か」と、不安の声が出ている。

 福島県内の原発立地町でつくる原子力所在町協議会の4町長らは1日、双葉町役場で東京電力側に原発の安全運転を要請した。協議会は科学技術庁などにも原発の安全運転を求める要請を検討している。

 福島県は1日、保健所で緊急の放射能検査と健康相談を始め、宮城県も2、3の両日、同様の検査と健康診断を実施する。両県には1日、「事故当時、現場の近くを通った。被ばくの心配がある」などの問い合わせが相次いだ。



100206113-1999年10月2日(土) 6時11分
<改造人事>臨界事故で5日の見通し 天皇陛下の日程の都合上(毎日新聞)


 茨城県・東海村の臨界事故により、自自公連立に伴う内閣改造は早くても週明けの5日になる見通しだ。これは、天皇陛下の日程の都合上、新閣僚の認証式が事実上、5日までできないという事情による。天皇は2日、福島県相馬市で開かれる「豊かな海づくり大会」に出席され、帰京は4日夜になる見通しだ。

 思わぬ時間差が生じた中で、自自両党間の駆け引きが活発化している。衆院比例定数削減問題について、自民党は幹事長間の協議を打ち切り、小渕恵三首相と小沢一郎・自由党党首のトップ会談にゆだねることで“決着先送り”の談合に持ち込む算段だった。

 しかし、30日夕の3党幹事長会談で、自民党の森喜朗幹事長が「残る課題は党首会談で」と提案したところ、公明党は賛成したが、自由党は反対。「小沢党首は全部(幹事長レベルで)まとめて上げてこい、自分は(合意署名の)セレモニーだけだという考え」(自由党幹部)という事情らしいが、自民党側では「自由党は、小渕首相の加藤派干し上げに乗じ、2ポストを狙っている」という見方も出ている。

 自由党からは既に二階俊博国対委員長の運輸相起用が固まっているが、党内には「官房副長官を含めた20ポストを3党の議員数で割り振れば自由党は1・9ポスト、公明党は2・4ポストが相当」「(入閣を固辞している)谷垣禎一氏(加藤派)の代わりに扇千影参院議員を入れては」などという、あからさまな声も出ている。



100206112-1999年10月2日(土) 6時11分
<放射能漏れ>政府が「終息宣言」 被ばく者は計49人に(毎日新聞)


 国内の原子力開発史上最悪の事故となった茨城県東海村石神外宿の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」の臨界事故で政府は1日午後、「終息宣言」を出した。これを受け、同県は午後4時半、半径10キロ圏内の住民に対する屋内退避の呼び掛けを約18時間ぶりに解除した。同時に半径1キロ以内の通行禁止措置も解除した。しかし、東海村の半径350メートルの住民(39世帯81人)に対する避難要請は「さらに念入りな検査を行い判断する」(野中広務官房長官)ため継続され、解除は2日午前10時以降になる見通し。また、新たに同社社員などが被ばくしていたことが分かり、被ばく者は計49人になった。一方、同県警は今回の事故が人為ミスの可能性が高く、業務上過失傷害の疑いもあるとして、本格的な捜査を始めた。

 野中官房長官は同日午後3時、「臨界が終息したことが確認され、放射線量も平常値に戻ったことから、住民の生活には支障ない」と「終息宣言」を行い、これを受ける形で橋本昌同県知事が会見し、屋内退避呼び掛けの解除を正式発表した。橋本知事は「(屋内退避は)安全を何より重視したため。350メートル内の(避難要請の)措置についても国に早急に必要な措置を講じてもらえるようお願いしている」などと述べた。

 野中官房長官の会見から1時間半も経っての正式発表になったことについて、橋本知事は「国で記者会見している内容がこちらに来てないこともある」などと国との足並みの乱れも見せた。

 同県教育委員会によると、同日は半径10キロ圏内外の幼稚園、小、中、高校で、臨時休校や生徒が登校せず授業を打ち切った学校は256校。県教委は、2日は平常通り授業を行うよう市町村教に通知した。東海村の公立の幼稚園、小、中学校は2日から平常通り授業をする。

 また、那珂町でも東海村と同様に、同事業所から350メートル以内の住民に避難要請していたが、屋内退避の呼び掛け解除に伴い、解除した。



10020611-1999年10月2日(土) 6時11分
<東京株式市場>臨界事故を受け関連株、軒並み売られる(毎日新聞)


 茨城県東海村での臨界事故を受けて、1日の東京株式市場は、事故を起こした「ジェー・シー・オー東海事業所」の親会社である住友金属鉱山株や、電力、原発メーカーなどの関連株が軒並み売られる展開となった。

 住友金属鉱山株は、取引開始直後から売り注文が殺到、値幅制限いっぱいまで値を下げて「気配値」が表示されたまま、午前中は買い手がつかなかった。午後になって買い注文が入ったものの、注文量は少なく、売買はストップ安の前日終値比100円安の427円で比例配分された。出来高は91万5000株で、約3500万株の売り注文を残した。

 また、国内での原子力発電所の立地が一層困難になるとの見方から、発電所設備やウラン燃料事業などを手がける原発関連メーカー3社の株も売られ、日立製作所が前日終値比40円安、東芝が同15円安、三菱重工業が5円安と、いずれも値を下げた。日立は事故現場に近い日立市やひたちなか市などに工場や事業所があり、ジェー・シー・オーからウラン燃料を調達しているため、操業への影響が避けられない見通しで、下げ幅が特に大きかった。

 電力会社も、東京電力が120円安となったほか、関西電力65円安、四国電力55円安、東北電力11円安など、九州電力をのぞく全社が値を下げた。 


10020500-1999年10月2日(土) 5時0分
東海村臨界事故、インターネットに広がる波紋(MYCOM PC WEB)

9月30日午前10時35分頃、茨城県東海村の株式会社ジェー・シー・オー(JCO)転換試験棟で従業者3名が被ばくする事故が起きた。科学技術庁は、9月30日昼に科学技術庁ホームページに速報を掲載。その後10月1日19:00現在までに10の文書を掲載している。

1日に掲載された文書「JCOにおける放射線事故について」では、事故の国際評価尺度(INES)暫定値4と発表された。レベル4は7尺度のうち「サイト外への大きなリスクを伴わない事故」。サイト内では従業員の致死量の被ばく、サイト外では法定限度を超える程度(数mSv)の公衆被ばくが評価の基準とされている。1日12時05分の時点で科学技術庁が発表した被爆者数は、JCO従業員以外を含む49人。

四国電力株式会社は、この事故の連絡を受け、1日に同社ホームページで「同じ原子力に携わるものとして、決してあってはならない誠に残念なこと」と声明を発表した。同社では9月30日23時に「JCO東海事業所事故連絡支援本部」を設置し、引き続き情報収集・提供に努めるという。

この事故はインターネットにおいても大きく報じられ、また各方面への影響も出始めている。インターネット通信販売を行うパソコン小売のピーシーパーク株式会社(PC-PARK)は、東海村周辺の一部地域への商品の配送を10月1日出荷分より一時的に保留すると発表した。同社は配送中止の対象エリアと配送が遅延する地域をホームページ上に掲載している。

事故現場の10km圏内に位置する日立市、ひたちなか市には、日立製作所の事業所などが立ち並んでおり、パソコン業界にあたえる影響も心配される。日立は、施設から半径10Km以内に出ていた屋内退避要請の解除を受けて、操業を停止していた工場の再開を決定。同社広報によると、今後はカレンダーどおり操業する。夜勤のある工場では、1日夜にも再開するとのことだ。

四国電力
http://www.yonden.co.jp/press/re9910/j0ypr001.htm

PC-PARK
http://www.pc-park.co.jp/

日立製作所
http://www.hitachi.co.jp/



10020403-1999年10月2日(土) 4時3分
<放射能漏れ>原因 不純物除いた溶液を誤って沈殿槽に戻す=替(毎日新聞)


 JCO東海事業所の転換試験棟の放射能漏れ事故で、同事業所は1日、茨城県庁で記者会見し、ウランが臨界に達した原因について、沈殿槽で不純物を除去した硝酸ウラン溶液を誤って再び沈殿槽に入れたために臨界に達したと述べた。貯塔は核分裂反応を移す中性子を逃して臨界にならない構造になっているが、沈殿槽は臨界を抑える構造にはなっていなかった。同事業所はこれまで「不純物除去の工程で、硝酸ウラン溶液を貯塔にいれる工程を省略して沈殿槽に入れた」と説明していた。

 同事業所の説明では、沈殿槽で不純物を除去した硝酸ウラン溶液は一度粉末にされた後、ステンレス容器入れて再び硝酸で溶かす。これをポンプで貯塔に送りこんでかき混ぜ、均質化した後、円筒型の容器に詰める。しかし、作業員は溶液を貯塔に入れず、不純物除去の工程で使う沈殿槽に手作業で入れたという。

 沈殿槽に入れた理由は「工程がそれほど早まるわけではなく、作業員に聴かないと分からない」としている。

 貯塔は内径17・2センチの細長いパイプに似た形状で、中性子を逃しやすいが、沈殿槽(直径約50センチ)は臨界を抑える構造にはなっておらず、中に入れたウランの総量を規制することで臨界状態を防ぐ仕組みになっていた。



10020352-1999年10月2日(土) 3時52分
<放射能漏れ>ウランが「流体」のため半日以上も臨界続く(毎日新聞)


 なぜ沈殿槽の中で核分裂性ウランの臨界状態が半日以上も続いたのか。核問題に詳しい名古屋大学理学部の河田昌東(かわたまさはる)助手は「ウランが硝酸溶液という流体だったために、臨界が繰り返されたのだろう」とメカニズムを説明する。

 ウランが臨界に達したため、沈殿槽の中の温度が上昇してウランの硝酸溶液は沸騰し、気泡が発生した。このため、溶液の体積が増え密度が下がった。泡の影響もあって核分裂を促進させる中性子の働きも落ちた。すると今度は温度が下がり、反対に気泡が減って密度も上がり、再び反応が強まり、再臨界に達するという状態となり、これが繰り返された。

 河田さんは「ウランが固体だったら、臨界に達した直後に爆発してバラバラになるなどして、臨界反応は終わったはず。流体だったからこそ臨界の状態が長時間続いた」という。

 


100203432-1999年10月2日(土) 3時43分
<放射能漏れ>「放射能漏れとは知らず」被ばくした救急隊員(毎日新聞)


 事故現場に駆けつけ、ジェー・シー・オー社員を搬送した東海村消防本部の救急隊員3人は自らも被ばくした。隊員の飯塚進市さん(43)は「放射能漏れだの臨界事故だのは、出動時は全然分からなかった」と話す。消防署に泊まり、血液検査を受けた後帰宅すると、家族が「ああ、大丈夫だったの」と出迎えたという。



10020343-
<放射能漏れ>原子力産業にコスト削減圧力 海外との競争で=替(毎日新聞)


 茨城県東海村で起きた国内初の臨界事故は、一般になじみの薄いジェー・シー・オー東海事業所という企業で起きた。約400社あるとされる原子力産業の中で、同社は、どんな役割を担い、どんな経営環境にあったのか、点検した。 【福本 容子】

◆「欠けた輪」◆

 日本の原子力産業の構図について、電気事業連合会の太田宏次会長(中部電力社長)は1日の記者会見で「原料製造から発電、使用済み燃料まで一つの輪ができている。輪のどの部分が欠けても安全は完結しない」と説明した。JCOはこの“輪”のうち、ウラン燃料の「再転換」と呼ばれる過程を担当。思いもよらない部分で原子力への信頼を揺るがす事故が起きたことについて同会長は驚きを隠さない。

 原子力発電用にウランを濃縮するには、一度、粉状のウラン酸化物を気体の六フッ化ウランに転換するが、再び成型加工用に粉末の酸化物にするのが「再転換」だ。再転換後のウラン燃料は、成型加工のため別の企業である日本ニュクリア・フュエル(JNF)社や原子燃料工業に送られる。

◆5大グループ◆

 JCOもJNFも一般には名前が知られていない。しかし、原子力産業に携わる企業のほとんどは、5大グループに分けられ、出資しているのは大企業だ。

 ジェー・シー・オーは住友系だが、成型加工業者のJNF社は、東芝、日立、GEの合弁。原子燃料工業は住友電気工業と古河電気工業の合弁である。

 5グループのうち、三菱系は加圧水型軽水炉向け業務を“支配”、もう一方の沸騰水型は日立・東芝系が強い。原子炉が採用されなかった住友系は燃料中心でグループの力が弱い。今度の事故では補償負担が巨額になるとの指摘もあり、原子力ビジネスでの存続さえ危うくなる恐れがある。

 東京電力など電力会社が取引しているのはJNF社や原子燃料工業で、その前段階の製造を担っているJCOとは直接の取引関係がない。太田会長によれば「契約先については、安全体制などをチェックするが、その先まではやらない」。「専業者として各自が最大の努力をすべきで、全体の監督をするのは行政の責任」(同会長)という。

◆海外との競争◆

 JCOは住友金属鉱山の100%子会社。従業員164人のうち、管理社員36人はすべて住友金属鉱山からの出向で、子会社とはいえ、同社の一部といっていい。

 同社の経営を最近圧迫していたのは、価格の安い海外製品とされる。納入先のJNF社は次第に海外加工ものに転換していたとみられ、JCOの売上高は1995年度の28億円から、98年度は17億円に減少。税引き前利益も96年度には3億円だったが、昨年度は1億円を切って9700万円となっていた。原子力産業そのものにコスト削減圧力がかかっているが、JCOには海外メーカーとの競争という圧力もあった。

 事故が起きた試験棟では、競争にさらされている商業用の燃料とは別に、高速増殖炉の実験炉という国のために納める製品を作っていた。試験用なので少量作るという、企業にとっては非効率な作業だった可能性がある。




10012257-1999年10月1日(金) 22時57分
原研大洗試験炉が自動停止=茨城(時事通信)

 1日午後1時半ごろ、茨城県大洗町の日本原子力研究所(原研)大洗研究所の高温工学試験研究炉が出力上昇試験のため運転中に自動停止した。原研によると、原因は炉心を冷却するヘリウムガスを送り出す循環機の一つが故障したためで、「周辺環境への影響はない」としている。 



10012253-1999年10月1日(金) 22時53分
茨城県警、JCO幹部から聴取=業務上過失傷害容疑などで立件へ(時事通信)

 茨城県東海村の核燃料製造会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で起きた放射能漏れ事故で、茨城県警は1日、同事業所の幹部3人をひたちなか西署に呼び、任意で事情を聴いた。県警は保安規定を無視した作業が継続的に行われていた重大な過失があった可能性もあるとみて、業務上過失傷害などの容疑で立件する方針。
 同日聴取を受けたのは、転換試験炉で作業中に被ばくした大内久さんら3人の作業員の上司の製造部製造グループ長と生産行程の計画を受け持つ同部計画グループ長、製造部長の3人。会社側によると、聴取の内容は事故当時の状況や転換炉で行われた一連の作業行程についてだったという。 



10012234-1999年10月1日(金) 22時34分
立ち入り検査は7年前が最後=放射能漏れ事故事業所に科学技術庁(時事通信)

 茨城県東海村で起きた臨界事故を受け、青森県の木村守男知事は1日夜、行われた県議会との緊急質疑の中で、事故を起こした「ジェー・シー・オー」東海事業所へ科学技術庁が立ち入り検査したのは1992年11月が最後だったことを明らかにした。
 茨城県と同様の核燃料サイクル施設を抱える青森県の照会に科技庁が回答した。ジ社の同事業所は核燃料物質の加工施設のため、法的に定期的な検査は義務付けられていないという。 



10012231-1999年10月1日(金) 22時31分
重症の2人に骨髄移植実施も=東海村事故の作業員−放医研(時事通信)

 茨城県東海村の核燃料製造会社「ジェー・シー・オー」(本社東京)東海事業所で起きた放射能漏れ事故で、被ばくした作業員3人が入院している放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)は1日夜、記者会見し、「3人の容体は安定しているが予断を許さない状態」などと説明。また重症の2人はリンパ球の数が激減し感染症などが懸念されるため、骨髄移植実施も検討しており、数日中に結論を出すとしている。 



10012222-1999年10月1日(金) 22時22分
<放射能漏れ>強まる単純ミス説 管理能力の欠如浮き彫り(毎日新聞)


 茨城県東海村の核燃料加工会社「JCO東海事業所」で起きた臨界事故は、従業員が硝酸ウラン溶液の入れるタンクを誤った単純な人為的ミスだった可能性が出てきた。同事業所が1日午後明らかにした。一度トラブルが起きれば大事故につながる原子力施設の安全管理が、人任せにされている実態が浮かび上がった。



10011412-1999年10月1日(金) 14時12分
<特報・放射能漏れ>ジェー社本社を家宅捜索の方針−−茨城県警(毎日新聞)


 茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」で30日発生した臨界事故で県警は1日、事故原因は人為ミスだった可能性が強いと見て同事業所製造部長ら3人から事情聴取を始めた。県警は会社として何らかの落ち度があったと判断、業務上過失傷害と原子炉等規制法違反容疑で本社などを近く家宅捜索する。



10011411-1999年10月1日(金) 14時11分
<放射能漏れ>ニューヨーク市場、ドルや債券買われ株価も上昇(毎日新聞)


 【ワシントン30日逸見義行】30日のニューヨーク市場は、日本の放射能漏れ事故への懸念からドルや債券が買われ、株価も大きく上昇した。

 外国為替市場では、米国内で日本からのニュースが具体的に報道されるにつれて不安が広がり、昼前までの約1時間で約1円50銭も円安ドル高が急速に進み、一時1ドル=106円95銭をつけた。その後は、106円台半ばから後半の取引が続いた。

 債券市場では、アジアの金融通貨危機で起きたように、安全性を重視して、米国債に買いが集まり、価格が急騰(金利は低下)、長期金利は前日引値より0・07%も下落し、6・05%となった。これを好感して、株式市場では、金融関連を中心に買いが集まり、ダウ工業株30種平均株価は一時、前日終値比189・33ドル高の10402・81ドルまで急上昇した。その後、利食い売りが入り、同比123・47ドル高の10336・95ドルで取引を終えた。




10011322-1999年10月1日(金) 13時22分
<放射能漏れ>親会社の責任重く受け止める−−住友金属鉱山社長(毎日新聞)


 茨城県東海村で事故をおこしたジェー・シー・オーの100%親会社である住友金属鉱山の青柳守城社長は1日、東京都内で会見し、「人為的なミスの色が濃い」と述べた。親会社の責任として、住民へのできる限りの補償をする意向を示し、親会社の経営責任について、「極めて重く受け止めている」と述べた。



10011302-1999年10月1日(金) 13時2分
<放射能漏れ>東京都中央卸売市場、農産物の搬入差し止めを要請(毎日新聞)


 東京都中央卸売市場は1日、事故現場から半径10キロ以内で生産された農産物の搬入、販売の差し止めを卸売会社に要請した。同市場が調べたところ、現地から築地、大田市場などにニラやホウレンソウなど8731キロの農産物が入荷されている。現在これらの出荷を見合わせ、事故発生前に収穫されたものかどうか確認中。



10011253-1999年10月1日(金) 12時53分
<核燃料輸送>MOX燃料積んだ輸送船、高浜原発に到着−−福井(毎日新聞)


 関西電力が福井県高浜町の高浜原発4号機のプルサーマルで使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を積んだ武装輸送船「パシフィック・ピンテール号」が1日午前7時40分、同原発専用港に到着した。午前中に燃料集合体8体が入った輸送容器の陸揚げが始まり、同日夕方前には建屋内に運び込まれる。



10011243-1999年10月1日(金) 12時43分
<核燃料輸送>物々しい警備 原発への不安広がる中で輸送船到着(毎日新聞)


 物々しい警備と激しい抗議に迎えられて1日、MOX燃料を積んだ武装輸送船が福井県高浜町の関西電力高浜原発専用港に到着した。茨城県東海村で起こった国内初の臨界事故で原発の不安が広がる中での搬入作業。製造元の英国メーカーによる燃料データねつ造で燃料の安全性にも疑義が指摘され、地元住民は不安を募らせた。



10011235-1999年10月1日(金) 12時35分
デノミが好ましくないとの見方に変わりはない=宮沢蔵相(ロイター)

 [東京 1日 ロイター] 宮沢蔵相は、与党内でデノミネーションの検討が浮上していることに関連して、デノミが好ましくないとの見方に変わりはない、と述べた。閣議後の記者会見で述べたもの。

宮沢蔵相は、デノミについて、「3党間の検討は自由だ。議論が参考になることもある。批判がましいことを言うことはない」と述べた上で、“大臣自身は、以前にデノミは好ましくない、と発言したが、その考えには変わりはないのか”との質問に対し、「特には変わりはないが、せっかく勉強しようという話について、とやかくいうつもりはない」と述べた。

また、茨城県東海村で起きた、核燃料工場での臨界事故への対応について、「財政出動を求められれば、する。ただ、大局的に、日本経済・国民生活に大きな影響があるとは判断していない」と述べた。



10011234-1999年10月1日(金) 12時34分
日立、システムLSIの主力拠点を操業停止工場の対象に(ロイター)

 [東京 1日 ロイター] 日立製作所の広報担当者は、東海村の臨界事故に絡んで、「システムLSIの主力拠点が操業停止工場の対象になっている」と語った。
 ただ、同担当者は、これについて、「どれくらいの影響があるか、現時点ではわからない」としている。



10011233-1999年10月1日(金) 12時33分
<放射能漏れ>茨城県対策本部に問い合わせ電話殺到 回線を増設(毎日新聞)


 茨城県原子力災害対策本部は1日午前1時すぎ、電話による一般相談窓口を設け、放射能汚染などについての問い合わせに応じた。しかし電話が殺到し、約30分後には当初の3回線を38回線に増設した。県外からも「うちは大丈夫か」といった質問も多く、職員が対応に追われている。



100112132-1999年10月1日(金) 12時13分
<放射能漏れ>臨界事故は「一応終息」 被ばく計49人に(毎日新聞)


 茨城県東海村の「ジェー・シー・オー東海事業所」で発生した臨界事故は1日、科学技術庁などの調べで、新たに同社社員ら35人が被ばくしていたことが分かり、被ばく者は計49人になった。1日朝までに現場周辺の中性子線量は平均値が通常の値に戻り、原子力安全委員会は「臨界は一応終息したとみられる」と発表した。



10011213-1999年10月1日(金) 12時13分
<放射能漏れ>水戸赤十字病院に「医療救護所」 被ばく検査開始(毎日新聞)


 茨城県は1日、水戸市の水戸赤十字病院に「医療救護所」を設置し、無料で住民の被ばく検査を始めた。検査はサーベイメーターという機械を頭や鼻、肩など数カ所に当てて皮膚表面の放射能汚染を確認。汚染が認められた場合、陸上自衛隊が大宮駐屯地から病院敷地内に持ち込んだ洗浄車でシャワーを浴びる。



100112122-1999年10月1日(金) 12時12分

<放射能漏れ>「明らかな違反行為だった」核燃料加工会社が陳謝(毎日新聞)


 茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」の転換試験棟で起きた国内初の臨界事故で、同社は1日、科学技術庁と茨城県庁で会見を開き、従業員が本来の工程に従わず、設定値以上の硝酸ウランを沈殿槽に入れたことが臨界の原因と考えられることを明らかにした。県庁で会見した森田洵総務部長は「明らかな違反行為だった」と陳謝した。

 転換試験棟では八酸化三ウラン粉末を硝酸で溶解するなどの工程を経て、濃縮度約19%の硝酸ウラニル製品を作っている。事故は硝酸ウランを沈殿槽に入れる際、制限値の2・4キロ(ウラン重量)を上回る硝酸ウランを入れたため臨界になったと考えられていた。

 同社が被ばくした従業員から事情を聞いたところ、事故が起きた時、本来の沈殿槽に入るウランの量を一定量に保っている「貯槽」と呼ばれる容器に入れる工程を飛ばして、容積2・3キロのステンレス容器から直接沈殿槽に硝酸ウランを入れていたことが分かった。従業員によると、16キロのウランを入れようとしたが、ステンレス容器3杯分のウランを入れたところで、異常が発生したという。

 事故を起こした従業員は十数年の経験を持つベテラン社員だった。同社は「なぜ16キロも入れようとしたのか、なぜ工程を飛ばしたのかといった理由は把握できていない」と話している。

 ウランの量の管理は従業員に任されており、沈殿槽に制限値以上のウランが入っても、警報で知らせるなどのシステムはなかった。 【高野 聡、金田 健】



10011212-1999年10月1日(金) 12時12分
<放射能漏れ>被ばくし入院した社員 重症の2人は小康状態保つ(毎日新聞)


 放射能漏れ事故で被ばくしたジェー・シー・オー社員3人が収容されている千葉市稲毛区の放射線医学総合研究所(放医研)では、医療チーム8人が24時間体制で治療にあたっている。重症で無菌室に入っている2人は、意識状態がやや改善するなど小康状態を保っているが、放医研は「本格的な放射線障害が起こるのは今後」としており、予断を許さない状況が続いている。

 放医研によると、最も症状の重い大内久さん(35)は、反応がやや緩慢なものの、問い掛けに対する応答ははっきりしている。血圧は安定しており、下痢やおう吐は止まったという。もう一人の重症者、篠原理人さん(39)も血圧は安定し、意識状態も良くなっている。しかし、2人とも唾液腺(せん)の腫(は)れが続いており、引き続き無菌室で、電解質のバランスを保つため点滴治療を施している。また、比較的症状が軽い横川豊さん(54)は、平熱で意識もはっきりしており、自分で水を飲むことができる状態だという。

 1日朝には、患者の家族や関係者ら数人が、心配そうな面持ちで放医研を訪れた。医療チームは同日、リンパ球数などを調べる血液検査をするほか、胸部や腹部のレントゲン、CT検査を行い、被ばくの影響を調べる予定。




10011211-1999年10月1日(金) 12時11分
<放射能漏れ>「国民に多大な迷惑や不安、誠に遺憾」 小渕首相(毎日新聞)


 小渕恵三首相は1日午前、茨城県東海村で起きた放射能漏れ事故について「数値上の放射線量は著しく正常化に向かっている。さらに注意を怠りなく見守っていく」と述べ、収束に向かっているという見方を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 これに先立ち、首相は公邸前で記者団に対し、「地域住民をはじめ、国民に多大な迷惑や不安を与えたことは誠に遺憾だ」「屋内退避措置の取り扱いは状況を見極めつつ、(茨城)県と相談して判断していきたい」などと語った。



10011203-1999年10月1日(金) 12時3分
<放射能漏れ>住友金属鉱山株に売り注文が殺到、売買成立せず(毎日新聞)


 茨城県東海村で起きた国内初の臨界事故の影響で、1日午前の東京株式市場では、事故を引き起こした「ジェー・シー・オー」の親会社である住友金属鉱山株に売り注文が殺到、値幅制限いっぱいの前日終値比100円安となる427円の「売り気配」のまま売買が成立していない。



10011143-1999年10月1日(金) 11時43分
<放射能漏れ>10キロ圏内の青果物の出荷見合わせ−−県経済連(毎日新聞)


 茨城県経済農協連合会は1日早朝、事故現場から10キロ圏内で収穫した青果物の出荷を見合わせるよう、各農協に要請した。東京・築地市場などでは、ダイエー、ジャスコなどの大手スーパーの担当者が、茨城県産のナスやサツマイモなどについて、安全が確認されるまで買い付けを見合わせる動きを見せているという。



10011119-1999年10月1日(金) 11時19分
為替・株・物価上昇に影響ないと思う=東海村事故で経企庁長官(ロイター)

 [東京 1日 ロイター] 堺屋経企庁長官は、東海村での放射能漏れ事故について、為替、株、物価上昇に影響はないと思う、と述べた。

官邸で記者団に述べたもの。

事故の影響について質問され、堺屋長官は、「為替、株に重大な影響はないと思う。物価上昇にも影響はないと思う」と語った。



100111123-1999年10月1日(金) 11時12分
<放射能漏れ>化学防護車、除染車を勝田駐屯地に派遣−−防衛庁(毎日新聞)


 茨城県東海村の事故で、防衛庁は埼玉県大宮市の第101化学防護隊から化学防護車2両台、除染車7両を現場近くのひたちなか市の勝田駐屯地に派遣した。茨城県からの災害派遣要請にこたえ、住民の避難誘導や放射線計測活動に備えるため。うち除染車4両は1日朝、日赤水戸病院に到着している。



100111122-1999年10月1日(金) 11時12分
<放射能漏れ>10キロ圏内の50郵便局の業務を停止−−郵政省(毎日新聞)


 茨城県東海村の放射能漏れ事故で現場周辺半径10キロ以内の地域の住民に対して外出自粛勧告が出たことを受け、郵政省は同地域内にある50の郵便局の業務を1日朝から停止。同地域に居住ないし通勤する職員に対し、安全確認が取れるまで自宅待機を指示した。



10011112-1999年10月1日(金) 11時12分
<放射能漏れ>事業所12カ所の操業や営業を中止−−日立製作所(毎日新聞)


 日立製作所は1日、隣接する日立市とひたちなか市にある事業所(工場)など12カ所の操業や営業を中止した。水戸事業所やデジタルメディア製品事業部(旧東海工場)、日立研究所などで、2カ所を除き、いずれも事故現場から半径10キロ以内の外出自粛圏内にある。



10011111-1999年10月1日(金) 11時11分
<速報・被ばく>冷却水を抜く臨界など作業の結果、臨界止まる(毎日新聞)


 政府対策本部によると1日午前3時前、ジェー・シシー・オー社員がウラン沈殿槽の外周の冷却水を抜く作業を開始、約30分後、冷却水を抜くバルブを開放した。

 この結果、科学技術庁は午前6時過ぎの段階で同事業所管理等の中性子モニターの値がゼロを示したことを確認。現地でも臨界停止を確認した。




10011105-1999年10月1日(金) 11時5分
1日株式概況メモ、住友鉱売り値つかず(ラジオたんぱ)

1日、住友鉱<5713>が売られている。茨城県東海村で放射能漏れ事故を起こしたジェー・シー・オーの100%親会社であることを嫌気されている。9時30分現在売り気配となっている。住友鉱は11時から記者会見を行う予定となっている。日立<6501>も安くなっている。事故の影響でひたちなか市と日立市にある9つの事業所の今日の操業・営業中止を決め、事業への影響が不透明なため。(F.T)


100111023-1999年10月1日(金) 11時2分
<放射能漏れ>茨城県全域に災害用伝言ダイヤルを設置−−NTT(毎日新聞)


 NTT東日本は1日、茨城県東海村周辺で電話がつながりにくくなっていることから、市外局番が029ではじまる茨城県全域を対象に災害用伝言ダイヤルを設置。171をダイヤルした後、音声ガイドにしたがってダイヤル操作をすると録音、再生が可能で安否の確認などが可能。登録は茨城県内からのみ、再生は全国から可能。



100111022-1999年10月1日(金) 11時2分
<放射能漏れ>「明らかな違反行為だった」核燃料加工会社が陳謝(毎日新聞)


 茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」で起きた臨界事故で、同社は1日、科学技術庁と茨城県庁で会見を開き、従業員が本来の工程に従わず、設定値以上の硝酸ウランを沈殿槽に入れたことが臨界の原因と考えられることを明らかにした。会見した森田総務部長は「明らかな違反行為だった」と陳謝。



10011102-1999年10月1日(金) 11時2分
<放射能漏れ>半径10キロ圏内135校臨時休校−−茨城県教委(毎日新聞)


 茨城県教育委員会は1日、文部省からの指示を受け、事故現場から半径10キロ圏内にある幼稚園、小・中・高校の計135校を同日は臨時休校とすることを決めた。また、圏外から通学してくる生徒についても自宅待機にした。休校になるのは、幼稚園49園、小学校47校、中学校27、高校11校(同1校)、養護学校1校。



10011053-1999年10月1日(金) 10時53分
1日株式概況(寄付速報)反落の始まり、住友鉱は売り気配(ラジオたんぱ)

名実ともに10月相場入りした1日の東京株式相場は反落して始まった。住友鉱<5713>が売り気配を切り下げている。茨城県東海村にある民間のウラン燃料加工施設ジェー・シー・オーは同社の100%子会社で、住友鉱は前日、「地域社会をはじめ社会の皆さまに多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表している。(E.K)

10011052-1999年10月1日(金) 10時52分
<放射能漏れ>被ばくし入院した社員 重症の2人は小康状態保つ(毎日新聞)


 放射能漏れ事故で被ばくしたジェー・シー・オー社員3人が収容されている千葉市の放射線医学総合研究所では24時間体制で治療にあたっている。重症で無菌室に入っている2人は、意識状態がやや改善するなど小康状態を保っているが放医研は「本格的な放射線障害が起こるのは今後」としており、予断を許さない状況が続く。



10011045-1999年10月1日(金) 10時45分
東海村臨界事故 行政、電力業界に衝撃 核サイクル見直し必至(西日本新聞)

 茨城県東海村のジェー・シー・オー東海事業所で発生した放射能漏れ事故は、原子力を推進してきた行政、電力業界に大きなショックを与えている。国が進めている核燃料サイクルでは、使用済み核燃料の再処理などで“国産化”を推進しているが、過去最悪の放射能漏れ事故に、原子力行政全体の見直しが迫られるのは必至だ。

 敦賀原発2号機の一次冷却水漏れ事故、関西電力向けMOX燃料の検査データ不正など、原子力への信頼を損なう事態が相次いでいる中で、発生した事故。科学技術庁は「事故が発生したことは誠に遺憾」としているが、現場の建物は放射能汚染がひどく、人が立ち入りできない状況で、原因究明は進んでいない。

 原発などの大型施設の安全対策は声高に叫ばれてきたが、今回のような小規模工場での事故は、いわば「盲点だった」との見方もある。それだけに、こうした施設への行政の安全基準に対する厳しい監視の目が向けられそうだ。

 こうした事態は、今後の核燃料サイクルにも大きな影響を与えそうだ。現在、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料の加工施設を、海外依存から脱却して、国内に設置する構想が浮上している。また、再処理工場の建設が遅れていることから、使用済み核燃料の保管場所が不足し、電力各社は、使用済み核燃料を一時的に保管する「中間貯蔵施設」の設置を検討している。

 しかし、今回の事故で国民の不安が高まっており、新たな施設の予定地住民からは反発の声も強まりそうだ。

 「あってはならないこと」(太田宏次・電気事業連合会会長)が起きてしまった以上、行政と電力業界が推進する核燃料サイクル全体が、あらためて必要かどうかが問われている。
(東京報道部・根井輝雄)



10011036-1999年10月1日(金) 10時36分
「株式」 住友金属鉱山/個別銘柄スナップ・ショット(フィスコ)

*10:36 <5713> 住友金属鉱山 427ストップ安 -100
金価格上昇を受け大幅上昇となっていたが、放射能漏れ事故を起こした核燃料加工
会社は100%出資連結子会社であることで今後の影響を嫌気しているようだ
ストップ安売り気配930万株



10011025-1999年10月1日(金) 10時25分
放射能漏れ事故、日本は十分な事故処理能力を持っている=IAEA(ロイター)

 [ウィーン 30日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)は、茨城県東海村の核燃料工場で発生した放射能漏れ事故について、日本は十分な事故処理能力を持っているとして、事故評価には加わっていないことを明らかにした。

IAEAのハンス・マイヤー報道官は、核拡散防止協定の一環として、操業中の同工場に調査官が派遣されていたとして、ロイター通信に対し、「きょうはIAEAの調査官が現地にいたが、これらは拡散防止調査官だった。事故があったかどうかについては調査しない」と述べた。

同報道官は、IAEAが同工場に調査官を派遣することを決定したとの報道を否定。「今回の事故に関連する保安代表団の派遣は要請されていない」としたうえで、「保安は各国の責任だ。われわれは要請を受けて行動するだけで、今回は要請を受けていない。日本は高度な工業国で、自身の手で事故処理ができる」と述べた。

また、同報道官は、今回の事故がIAEAが定めた0から7までの危険レベルのうち、「明らかにレベル2以上」との報道も否定。「IAEAは(今回の事故について)レベルを付けていない。日本側がレベルをつけるべきだ」と指摘した。



10010940-1999年10月1日(金) 9時40分
「株式」 日本農産工業/個別銘柄スナップ・ショット(フィスコ)

*09:40 <2051> 日本農産工業 260 +35
民間のウラン燃料加工施設で深刻な放射能漏れ事故が発生したことを受け
ヨウ素を含むヨード卵光が放射能を除去する効果があるとの見方があるようだ





10010930-1999年10月1日(金) 9時30分
1日株式概況(寄付速報)反落の始まり、住友鉱は売り気配(ラジオたんぱ)

名実ともに10月相場入りした1日の東京株式相場は反落して始まった。住友鉱<5713>が売り気配を切り下げている。茨城県東海村にある民間のウラン燃料加工施設(株)ジェー・シー・オーは同社の100%子会社で、住友鉱は前日、「地域社会をはじめ社会の皆さまに多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表した。(E.K)
[ラジオたんぱ1999年10月1日]


100109133-1999年10月1日(金) 9時13分
<被ばく>事故原因は制限値の7倍投入の人為的ミスか(毎日新聞)


 事故は従業員が転換試験棟の沈殿槽に制限値の7倍もの量のウランを入れたため起こったとみられている。人為的ミスと、従業員任せのずさんな管理体制が事故を招いた可能性が高い。倒れた従業員は救助された際、「ウランを16キロ入れてしまった」と話した。ウランの制限値は社内規定で2・4キロと定められている。



100109132-1999年10月1日(金) 9時13分
<被ばく>常磐線の水戸―日立間の上下線を全面運休(毎日新聞)


 東海村の事故で、JR東日本水戸支社は30日午後10時28分から常磐線の水戸―日立間の上下線を全面運休した。常磐線は最も近い所で事故現場の南東約2キロを通過しており、被ばくの心配があるため。また日本道路公団は同日午後10時50分、常磐自動車道の東海パーキングエリア(東海村)を上下線とも閉鎖した。

[毎日新聞 10月01日]



10010913-1999年10月1日(金) 9時13分
<速報・被ばく>冷却水を抜く臨界など作業の結果、臨界止まる(毎日新聞)


 政府対策本部によると1日午前3時前、ジェー・シシー・オー社員がウラン沈殿槽の外周の冷却水を抜く作業を開始、約30分後、冷却水を抜くバルブを開放した。この結果、科学技術庁は午前6時過ぎの段階で同事業所管理等の中性子モニターの値がゼロを示したと確認。臨界停止も確認。しかし、依然付近の放射能値は高い。

[毎日新聞 10月01日]



100109113-1999年10月1日(金) 9時11分
<被ばく>避難地区はゴーストタウンのように(毎日新聞)


 午後3時に避難命令が出された現場から半径350メートルの地区。午後3時20分すぎに町の広報車両が地区内を巡回した。「念のため大事をとり、避難誘導をします」とアナウンスが静まり返った街に響いた。

 周辺は農村地帯と住宅地が混在する。通りに人影もなく、民家の窓は閉め切られ、雨戸でしっかりと閉ざした家もある。広報車両の音に驚いた小鳥が水田から飛び立つ以外はほとんど動きがなく、まるでゴーストタウンのようだ。周辺の大手の家電の量販店は入り口前に「核燃料事故のため本日は閉店します」と紙を張り出していた。

 家々から着の身着のままの姿で役場の車に乗り避難場所へ向かう住民たちはだれもが何が起きたのか分からず、見えない放射能の恐怖におびえていた。中には「どうしてくれるんだ」と役場職員らに怒鳴る住民も。マスクを付けた子供の手を引いてバスに乗り込む親子の姿もあった。


[毎日新聞10月1日] ( 1999-10-01-01:42 )



100109112-1999年10月1日(金) 9時11分
<被ばく>茨城県が半径10キロ以内の農家に収穫中止を要請(毎日新聞)


 茨城県は30日、ジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故で、農作物の安全性が確認されるまで、同事業所から半径10キロ以内の農家が収穫しないよう、圏内の市町村と農協に要請した。県は米など4品目について、サンプリング調査を始めた。


[毎日新聞10月1日] ( 1999-10-01-01:42 )



10010911-1999年10月1日(金) 9時11分
<首相官邸>内閣改造から放射能漏れに 深夜まであわただしく(毎日新聞)


 1日の内閣改造を予定していた小渕恵三首相ら政府首脳がいる首相官邸は、急きょ事故への対応に追われ、深夜まであわただしい空気に包まれた。

 当初、重大事故の認識は薄く、首相は組閣や自民党人事のスケジュールを淡々とこなしたが、午後5時ごろ、有馬朗人科技庁長官から「予想以上に深刻」と連絡が野中広務官房長官に入り、事態は急変。夕方には官邸内は組閣を取材していた記者と事故取材の記者でごった返した。午後9時から、官邸別館で開かれた政府対策本部の初会議に向かう小渕首相は、意外な事態に険しい表情を浮かべ、記者団の質問を無視する場面もあった。


[毎日新聞10月1日] ( 1999-10-01-00:41 )



100108232-1999年10月1日(金) 8時23分
日立、東海村近隣の3工場での操業を一時停止(ロイター)

 [東京 1日 ロイター] 日立製作所<6501.T>は、茨城県東海村で発生した放射能漏れ事故の影響で、近隣の3つの工場での操業を停止した、と発表した。

同社のスポークスマンは、このウラン加工工場から半径10キロメートル以内にあるこの3つの工場での操業を一時停止した、と述べた。

この事故により、21人の被ばくが確認されている。

この3工場は、主にビデオテープレコーダー(VTR)、自動車部品とエレベーターを生産している

このスポークスマンは、茨城県内の当局がこの事故についての安全を確認するまで、同社はこれら3工場での操業を再開する意向はない、と述べた。



10010823-1999年10月1日(金) 8時23分
東海村の放射能漏れ事故、円に悪影響を及ぼす可能性も=米市場筋(ロイター)

 [ニューヨーク 30日 ロイター] 茨城県東海村で発生した放射能漏れ事故の影響で、外国勢の資金が日本から引き揚げる可能性があるとの懸念で、30日のニューヨーク外国為替市場では、円売りがみられた。

日本政府がこの事故で「核反応」が継続している可能性があるとし、さらに米軍への支援を要請したとのニュースが伝えられると、オーバーナイトで上昇していた円は、対ドルで下落した。

ニューヨークのある邦銀筋は、「市場参加者は、チェルノブイリの事故を思い出している」と述べた。

オーバーナイトで円は上昇していたが、ニューヨークでは、この事故のニュースが伝えられると、105.50円まで上昇していた円は106.80円まで下落した。

米国三和銀行のシニア・トレーダー、ジェフリー・ユー氏は、「オーバーナイトで、(日本)政府は事態を掌握しているとしていた。しかし、事態が悪化していることは明らかで、多くの人々は、すべてに対して円売りを試みていた」と述べた。



10010822-1999年10月1日(金) 8時22分
東海村ウラン加工工場から冷却水の除去作業を開始=政府声明(ロイター)

 [東京 1日 ロイター] 政府は、声明を発表し、放射能漏れ事故の拡大を防ぐために、ウラン加工工場内部の冷却水を抜き取る作業を開始したことを明らかにした。

この声明によれば、原子力の専門家が、放射線の拡散レベルを低減するために工場から漏れ出している冷却水の除去を開始した。

各報道によれば、この事故により21人の被ばく者が確認されている。

東海村の当局者は、この冷却水の除去で理論的には核連鎖反応を防ぐことが可能、と述べた。




100108212-1999年10月1日(金) 8時21分
ウラン加工工場周辺の60人避難、約31万人に屋内待機指示=茨城県(ロイター)

 [東京 30日 ロイター] 茨城県の複数の当局者は、放射能漏れを起こしたウラン加工工場から半径350メートル以内に住む住民60人を避難させたことを明らかにした。

茨城県職員によると、東海村は、この工場から半径10キロメートル以内に住む31万3000人の住民に対して、屋内にとどまるよう指示した。

工場から半径3キロメートル以内での交通は遮断され、警察が工場から半径200メートルを封鎖した。
当局者によると、周囲の放射線量は、依然として高い水準となっている。



10010821-1999年10月1日(金) 8時21分
東海村事故、現場から2キロの放射線量は通常の1万5000倍=茨城県(ロイター)

 [東京 1日 ロイター] 茨城県職員はロイター通信に対し、東海村の核燃料加工工場から2キロの地点で測定した放射能は、通常の1万5000倍に達していると述べた。

この職員は、「30日深夜、事故現場から2キロの地点で測定した段階で、1時間あたりの放射線量が3.1ミリシーベルトと、通常の約1万5000倍の水準に達している」と述べた。

そのうえで、放射線量が非常に高い水準のため、保安のための専門家も現場に近づくことができないと述べた。

今回の放射能漏れ事故では、少なくとも19人が被ばくし、うち2人は重体。

現場から半径10キロ以内に住む31万3000人は、屋内に退避するよう指示されている。




100108202-1999年10月1日(金) 8時20分
日本の放射能漏れ事故は人為的な要因で発生=OECD原子力機関(ロイター)

 [ロンドン 30日 ロイター] 経済協力開発機構(OECD)原子力機関は、日本のウラン加工工場で発生した放射能漏れ事故が、従業員が一度に許容量を超える大量のウランを投入したことに一部起因している、との見解を明らかにした。

OECD原子力機関のスポークスマン、ジャック・デュラフェルト氏は、茨城県東海村のウラン加工工場「ジェー・シー・オー」(JCO)で、通常の8倍にも相当する量の16キログラムの6フッ化ウランが投入されたと、日本の担当者から伝えられた、と述べた。

同氏は、ロイター通信に電話で、「制限された量の代わりに、大量に投入されたことにより、事故は発生したようだ。2キログラムではなく、16キログラムが使われた」とし、「これが、事故を引き起こした要因」と説明した。



10010820-1999年10月1日(金) 8時20分
在日米軍、放射能漏れ事故の支援要請を装備不十分とし拒否=防衛庁(ロイター)

 [東京 30日 ロイター] NHKは、茨城県東海村の核燃料加工工場で発生した臨界事故とみられる放射能漏れ事故による被ばく者数が、少なくとも19人に達したと報じた。

防衛庁の当局者は、在日米軍と連絡をとり支援の可能性について問い合わせたが、米軍側はこのような事態に対応するために必要な装備がないとし、日本側の要請を断った、と述べた。

メディア報道によれば、この臨海事故の発生の要因の可能性として、加工工場「ジェー・シー・オー」の関係者は、事故発生直前に作業員が、通常の約8倍に相当する16キログラムのウランを沈殿槽に投入したと説明した。通常の投入量は、2.3キログラム。

この加工工場は、住友金属鉱山の100%子会社。




10010814-1999年10月1日(金) 8時14分
茨城県東海村の放射能漏れ事故は世界で60例目=仏原子力安全機関(ロイター)

 [パリ 30日 ロイター] フランス原子力安全機関は声明を発表し、茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」東海事業所で発生した臨界事故とみられる放射能漏れ事故は、1945年以降世界で60例目にあたると述べた。

このなかで、「一般的に、重大な事故は周辺の環境よりも、施設内でより大きな連鎖反応を引き起こす」と指摘した。


10010813-1999年10月1日(金) 8時13分
茨城県東海村での臨界事故、異常反応が継続する可能性も=官房長官(ロイター)

 [東京 30日 ロイター] 野中官房長官は、茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」で発生した臨界事故について、事業所内では「異常な反応」が今後も継続して発生する可能性があると述べた。

同官房長官は緊急記者会見で、「この施設の内部では異常な反応が継続して起きている可能性が強い。これにより周辺への放射能の影響も懸念される厳しい状況にある」と述べた。

そのうえで、国内で発生した原子力事故でも最悪のものになる可能性が高いと述べた。



10010748-1999年10月1日(金) 7時48分
「為替」 東海村臨界事故の事態深刻化で買い戻し/N.Y.為替市場概況(フィスコ)

「東海村臨界事故の事態深刻化で買い戻し」/ニューヨーク外国為替市場概況
10月1日(金曜日)−株式会社フィスコ 担当 近藤 薫 TEL 03-5978-4912
*07:49JST 「東海村臨界事故の事態深刻化で買い戻し」
 30日のニューヨーク外国為替市場では、ドル・円は105円80-90銭で寄り付いた。
欧州市場で105円20銭まで売られた後の買い戻しの流れをなかでの取引開始となり
、先ず106円超えまで上げた。
 その後発表された9月のシカゴ地区購買部協会景気指数における、一部指数の強
い結果を受けて、米国債券・株式相場が下落、ここでドル売りも強まることになっ
たとされ、再び105円台に下落、安値105円48銭をつけた。
 しかし、日本政府が東海村臨界事故への対応で米軍に支援を要請検討、などの報
道から、同事故は予想以上に深刻な事態との見方が広がり、ここからショートカバ
ーの動きに転換した。
 106円台に戻した後も買いが続き、高値106円95銭まで上昇した。ここでは、輸出
企業などのドル売りに106円台前半に反落、その後はドル買いも落ち着き、106円35
-45銭で引けた。
 ユーロ・ドルは、1.06台での高下となり、高値圏の1.0680-90レベルで引けた。
ユーロ・円は、112円台前半に下落後、113円台後半に戻した。

[フィスコ 1999年10月01日]



10010611-1999年10月1日(金) 6時11分
<被ばく>東海村・核燃料加工会社の放射能漏れ 臨界事故と判明(毎日新聞)


 茨城県東海村石神外宿の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」の転換試験棟で30日発生した従業員3人の被ばく事故は、核分裂反応が連続して起きる臨界事故だったことが分かった。同日夜になっても同事業所周辺などの放射線量は低下せず、再臨界の可能性も出ている。このため、同県の橋本昌知事は午後10時半、同事業所から半径10キロ以内の住民約31万人に対し、屋内退避を呼び掛けた。政府は同日午後9時、小渕首相を本部長とする対策本部を設置した。また文部省は同事業所近くの小中学校に1日は臨時休校するよう指示した。臨界事故、被ばくによる重症者の発生、避難要請はいずれも日本で初めて。原子力施設事故の国際評価尺度で「レベル4」に相当する最悪の事態となった。

 被ばくしたのは、同県常陸太田市山下町、大内久さん(35)▽日立市田尻町、篠原理人さん(39)▽ひたちなか市足崎、横川豊さん(54)。3人は千葉市にある化学技術庁放射線医学総合研究所で治療を受けているが、うち大内さんと篠原さんが意識がもうろうとなる重症、横川さんが軽症。このほか、従業員11人の髪が放射能に汚染されていることが分かった。

 同事業所が午前11時45分ごろ、隣接する道路で独自に測定したところ、放射線数値は通常の1万倍以上のレベルだったという。同日夕には、同社玄関前で放射線の一種である中性子の値が上がるなどしており臨界状態が続いている可能性もある。また、現場周辺でセシウム138も検出されたが、規制値以下だった。

 東海村は午後0時半、村内全域に屋内退避を指示。午後3時半には、同社からの避難要請に基づき、同社近くの住民に避難要請し、161人が避難した。また、同村に隣接する那珂町でも、8世帯25人に避難要請し、町内全世帯に屋外に出ないよう呼び掛けている。東海村では村内6小学校と2中学校、6幼稚園で校舎の窓を閉め、保護者が迎えに来るまで児童生徒を外に出さないという対策をとった。

 那珂町では、1日は4小学校、1中学校、4幼稚園、1保育園の臨時休校を決めたほか、希望者には健康診断を実施する。東海村では1日朝に臨時休校するかどうか決めることにしている。

 東海村の防災対策本部によると、事故のあった事業所の近くにある住宅建設現場と、ゴルフ場で作業していた計5人が被ばくしていたことが分かった。それぞれ0・7〜4・0ミリグレイの微量の放射線が検出されたという。5人は自覚症状はなく、村外の自宅に帰宅したという。

 今回の事故について、同県では「一般の人々に影響を与える数値ではない」と説明している。

 事故発生から住民への避難要請まで約5時間経過したうえ、同県による10キロ以内の住民に対する屋内退避要請も事故発生から半日後になるなど、住民の安全対策が後手を踏んだ形になった。


[毎日新聞10月1日] ( 1999-10-01-01:28 )



10010002
東海村の臨界事故、臨界状態は終息  '99/10/1

 ▽被ばく者は36人に

 茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー東海事業所で放射能が漏れて社員三人が重度の被ばくをした日本初の臨界事故で茨城県の橋本昌知事は一日朝、施設内の臨界状態は終息したことを明らかにした。

 政府の対策本部によると、事業所敷地内の管理棟の中性子モニターの値は午前六時十五分現在ゼロになり、連鎖的な核分裂は止まったことを示している。

 橋本知事は、施設周辺三百五十メートルの住民の避難は続行するものの、一時検討していた避難区域の拡大措置は見送ることを表明した。

 政府対策本部が十月一日未明に取った対策の結果、大量の放射性物質による臨界が長時間継続、周囲に汚染が広がるという異例の事故は発生以来約十八時間ぶりに、最悪の状態を脱したとみられる。

 科学技術庁などは、事故を起こした施設内沈殿槽の周囲を覆っている冷却容器中の水が、核反応で出る中性子を反射し、核分裂が起こる確率を高めている可能性が高いとして、同社社員が配管を壊して容器中の水を抜き、連鎖反応を起こらなくさせる対策を取った。

 科技庁によると、事故による被ばく者は重症の被ばく者の救助に当たった東海村の消防署員三人、社員十六人らが新たに被ばくしていることが判明、被ばく者は総計三十六人に達した。

 JRの常磐線と水郡線は始発から一部区間で運転を見合わせるなど、交通機関に影響が出た。


10010001
臨界被曝事故 「住民の不安解消に全力」の声広がる
'99/10/1

 茨城県東海村の核燃料加工会社での放射能漏れ事故について三十日、中国電力の原子力発電所新増設計画の予定地では、反原発派から、あらためて原発の危険性を強調する声が上がる一方、推進派は「原発の事故ではない」としながらも、「住民の不安解消のために原因の徹底究明と情報提供を求める」とする声が広がった。

 中電が原発建設計画を進める山口県熊毛郡上関町の「原発に反対し上関町の安全と発展を考える会」の河本広正会長は「原発関連施設の安全神話のもろさをあらためて露呈した。今後の上関町住民の安全な暮らしにかかわってくる重大な問題」と言う。

 推進派の上関町まちづくり連絡協議会の吉崎芳男会長は「直接的な影響は少ないが、原子力施設に対する住民不安を払しょくできるよう、事業者と国は事後対応に全力を注いでほしい」と話す。

 島根県八束郡鹿島町の島根原発3号機計画に反対している島根原発増設反対運動の芦原康江事務局長は「事態が進めば周辺住民の大量被曝さえありうる重大な事故。政府や電力会社は謙虚に学び、一日も早く原子力撤退の道を選択すべきだ」と訴える。

 原発推進の立場を取るしまねフォーラム・エネルギー問題協議会の福留清参与は「住民への連絡に時間が掛かるなど、対応のまずさを感じる。安全性の確保が大前提だけにこれからの原子力政策に重大な影響を与えるのではと懸念している」と言う。

 中国電力は「今回のような事故は誠に遺憾。一刻も早く事故原因の調査、究明に全力を尽くし、地域に的確な情報提供に努めてもらいたい」とのコメントを発表。同社広報部は「燃料再転換は島根原発では実施していないので、同じ事故は起こらない、と考えているが、放射能漏れがないように、さらに安全管理を撤退させたい」としている。

 ▽「恐れついに…」広島の被爆者ら

 「ついに恐れていたことが起きた」。茨城県東海村の核施設で放射線漏れ事故が発生した三十日、被爆地広島では放射線研究者が事故の深刻さを懸念。被爆者などから核施設の危険性を指摘する声が相次いだ。

 広島大原爆放射能医学研究所の鎌田七男教授(62)は放射線を浴びた三人の臨床データを聞いて絶句した。「リンパ球の減少と白血球の増加がひどい。多い人で、半致死線量の倍以上に当たる十シーベルト程度、被曝したのではないか」と推定する。

 広島県原水禁の宮崎安男代表委員(70)は「臨界に達したとすれば、核爆発並みの大事故だ。施設の機械化に伴い、人間の注意力や判断力、警戒心が薄れるたびに事故が起きる」と、核施設の安全神話を批判する。

 広島県被団協の金子一士理事長(73)は、「原子力の平和利用は否定しないが、放射線はもともと危険なもの。安全が保証されない限り、利用すべきでない」と話した。

 反原発グループ「原発はごめんだヒロシマ市民の会」の木原省治代表(50)は「今回の事故をきっかけに、原発からきっぱりと撤退するべきだ」と語気を強めた。


09302143-2
<内閣改造>自民党3役決定 放射能漏れ事故で組閣は延期(毎日新聞)


 小渕恵三首相は30日夜、首相官邸に同党の森喜朗幹事長、池田行彦政調会長、亀井静香元建設相を招き、森幹事長の留任と池田氏の総務会長、亀井氏の政調会長就任を要請、3氏とも受諾し、党3役が決まった。1日午前の党総務会で正式決定する。小渕首相は茨城県東海村の放射能漏れ事故を理由に、組閣の延期を決断した。

[毎日新聞 09月30日]



09302143-1
<被ばく>1人は意識もうろう、1人重症 1人軽症 放医研会見(毎日新聞)


 放射線医学総合研究所では午後7時から、佐々木康人所長ら6人が記者会見をした。3人は汚染状況の検査を行い、病棟に搬送された。2人が無菌室、1人が個室に収容されている。大内さんが下痢とおう吐を訴え、意識ももうろうとして症状が最も重い。篠原さんは、おう吐や下痢の症状が出ており重症。横川さんは軽症という。

[毎日新聞 09月30日]



09302054
情報不足にいらだち=IAEA(時事通信)

 【ウィーン30日時事】茨城県東海村の核燃料工場で30日に起きた放射能漏れ事故について、国際原子力機関(IAEA)は情報不足にいらだちを募らせている。
 IAEAスポークスマンは日本から公式な情報提供がないため、事故については正式に論評できないと語った。東海村にはIAEAの査察官も派遣されているが、同査察官からも情報が届いていないという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 20:54 ]




09302052
避難住民から放射能は検出されず=日本原研などによる住民検査(時事通信)

 日本原子力発電、日本原子力研究所、核燃料サイクル機構の3団体の職員計25人が30日午後5時すぎ、東海村の要請で同村の舟石川コミュニティセンターを訪れ、放射線検査器サーベイメーターによる放射線量の検査を実施したが、住民から放射線は検出されなかったという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 20:52 ]




09302033-3
<被ばく>茨城県東海村の核燃料加工会社で3人被ばく 2人重症(毎日新聞)


 30日午前、茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー東海事業所」で、放射線量が異常数値を示し、従業員3人が被ばくする事故があった。3人は千葉市の放射線医学総合研究所で治療を受けているが、2人が重症、1人が軽症。同日午後、同村は住民に避難勧告を出した。また、政府は同日午後、対策本部を設置。

[毎日新聞 09月30日]



09302033-2
<被ばく>科技庁 災害対策本部設置で混乱(毎日新聞)


 政府の事故対策本部が設置された科学技術庁は30日午後2時半すぎ、災害対策本部設置を明らかにしたが、防災環境対策室では、職員らがあわてて緊急対応マニュアルをめくり始める混乱ぶり。政府の事故対策本部についても、原子力安全局の職員が「どこが主体だか分からない」と話し、危機管理体制のぜい弱さを露わにした。

[毎日新聞 09月30日]



09302033
<被ばく>首相官邸への正式第一報は発生から約2時間後(毎日新聞)


 茨城県東海村で30日起きた放射能漏れ事故で、首相官邸に正規のルートを通じて事故発生の一報が入ったのは、発生から約2時間後だった。科学技術庁が情報を直ちに連絡しなかったのが原因だが、1997年の動力炉・核燃料開発事業団東海営業所の再処理施設で起きた火災・爆発事故でも首相官邸への報告が大幅に遅れた。

[毎日新聞 09月30日]



09302008
「現場付近の放射線量、依然高い」=臨界継続の可能性も−東海村村長(時事通信)

 茨城県東海村で起きた放射能漏れ事故を受け、村上達也村長は同日午後5時半すぎに記者会見し、事故の起きたジェイ・シー・オー東海村事業所付近の放射線量が、事故から4時間以上を経過した同日午後3時すぎになっても、ほとんど下がっていないことを明らかにした。事故の原因とみられる臨界が続き、放射線を出し続けている可能性もあり、科学技術庁の専門家らが中性子モニターなどを使い、調査しているという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 20:08 ]




09301951
放射能事故で職員2人を派遣=厚生省(時事通信)

 茨城県東海村の核燃料製造会社の放射能漏れ事故で、厚生省は30日、医師の資格を持つ技官ら2人を現地へ派遣、情報収集に当たることを決めた。同県と協力して周辺住民への放射能の影響を調査し、場合によっては健康診断などを実施するという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 19:51 ]




09301948
通常の8倍のウラン流入、臨界か=放射能事故、タンク内で核分裂(時事通信)

 茨城県東海村の核燃料製造会社「ジェー・シー・オー」(本社東京)東海事業所の転換試験棟で起きた放射能漏れ事故で、同事業所は30日午後、事故原因について「核燃料の製造過程で通常の8倍のウランが流入、タンク内で核分裂し臨界したとみられる」との見解を明らかにした。タンク内のウラン量は厳密に制限されており、人為的なミスが事故につながった可能性もある。臨界事故が起きたとすれば、国内で初めて。また、作業員は臨界時に見られる現象「青い光」を見たと証言したという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 19:48 ]


09301825
放射能事故対策本部を設置=政府(時事通信)

 茨城県東海村の放射能漏れ事故で、政府は30日午後3時、災害対策基本法に基づき、有馬朗人科学技術庁長官を本部長として、関係省庁の担当者から成る事故対策本部の設置を決定した。原子力事故で政府が本部を設置するのは初めて。また、政府の原子力安全委員会も、学識経験者から成る初の緊急技術助言組織を招集することを決めた。 

[時事通信社 1999年 9月30日 18:25 ]


09301821
放射能漏れで周辺住民150人が避難=東海村(時事通信)

 東海村の災害対策本部は事故発生から約4時間半後の30日午後3時、放射性物質が外部に漏れる事故を起こした同村のジェー・シー・オー東海事業所周辺の39世帯約150人を事故現場から約1キロ離れた舟石川コミュニティセンターに避難させることを決めた。
 現場周辺では事故後、対策本部の呼び掛けで、住民が屋内待避していたが、事故現場からみて風上となった国道6号東側の約7000世帯が午後3時40分、危険性が少なくなったとして待避措置を解除した。ただ、現場から300−400メートル以内の住民は念のため避難させることにした。また、住民の中には自主的に避難した人もいるという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 18:21 ]




09301818
「申し訳ない」と「分かりません」=核燃料会社社長らが会見−科技庁で(時事通信)

 茨城県東海村の核燃料会社「ジェー・シー・オー」東海村事業所での放射能漏れで作業員3人が被ばくした事故について、同社の木谷宏治社長と氏原誠東京事務所長は30日午後3時すぎから科学技術庁で記者会見した。冒頭、青ざめた表情の木谷社長は「この度は、放射能漏れという重大な事故を起こし、大変申し訳ない。心からおわびします」と頭を下げた。
 報道陣からの質問には、氏原事務所長がこたえたが、用意された事故についての発表文を読み上げただけ。「放射線量を計測するエリア・モニターは、どのくらいの線量を超えると警報が鳴るのか」「作業員の容体は」などと次々に質問が飛んだ。しかし、ほとんどは「分かりません」「聞いていません」を繰り返し、危機管理能力の低さをあらわにした。 

[時事通信社 1999年 9月30日 18:18 ]



09301750
通常の8倍のウラン流入、臨界か=放射能事故、タンク内で核分裂−ジ社(時事通信)

 茨城県東海村の核燃料製造会社「ジェー・シー・オー」(本社東京)東海事業所で起きた放射能漏れ事故で、同事業所は30日午後、事故原因について「核燃料の製造過程で通常の8倍のウランが流入、タンク内で核分裂し臨界したとみられる」との見解を明らかにした。タンク内のウラン量は厳密に制限されており、人為的なミスが事故につながった可能性もある。臨界事故が国内で起きたとすれば、国内で初めて。また、作業員は臨界時に見られる現象「青い光」を見た、と証言したという。 

[時事通信社 1999年 9月30日 17:50 ]



09301545-2
<被曝>東海村のウラン加工施設で放射能漏れ、3人被曝=替(毎日新聞)


 30日午前10時半ごろ、茨城県東海村の核燃料製造メーカー「ジェー・シー・オー東海事業所」のウラン加工施設で、施設から放射能力が漏れ出す事故が発生。従業員3人が被ばくし、水戸市内の国立水戸病院に搬送されたが、1人が重症、2人は軽症だという。

 県原子力対策課によると、事故は核燃料を製造する施設「転換試験棟」で発生。事故直後、周辺にある舟石川測定局で、放射線レベルが通常の約10倍、門部測定局で同7倍に上昇した。同午後0時半現在、既に施設外への放射能漏れはなり、周辺の放射線量はほぼ通常値に戻ったという。

 東海村は周辺3世帯に避難勧告を出した。

 同事業所によると、容器から原料のウランが漏れ、青い火が出たという。転換試験棟にある放射線モニターが異常を感知し、警報が鳴って事故が判明した。

 茨城県警ひたちなか西署によると、作業員3人はウラン溶液を充てん槽に移動する作業中に突然、倒れたという。

 県は臨界事故の可能性があるとみて、原子力安全対策課、公害技術センターの職員を派遣し、詳しい原因と周辺の放射線の影響の調査を急いでいる。

 現場の周囲200メートルは立ち入り禁止で、付近の県道が3キロにわたって通行止めになっている。

 JCOは旧社名、日本核燃料コンバーション。6フッ化ウランを原料に、二酸化ウランに転換、加工して電力会社に納入している。

 原子力資料情報室は「ウラン燃料を加工している工場で、臨界事故を招いたとしたら例がないのではないか。ウランを加工する際にはガスの状態から固体にする作業がされるが、臨界事故を招かないよう部屋の構造に工夫されている。何らかの爆発かシステムに異変が起きたのではないか」と話している。

 東海村では1997年3月にも、動力炉・核燃料開発事業団(当時)の東海事業所再処理工場の「アスファルト固化処理施設」で火災と爆発が発生し、作業員37人が被ばくしている。固化処理施設は、使用済み核燃料の再処理の過程で発生する低レベル放射性廃液とアスファルトを混ぜて固めていた。

 ◇臨界事故

 一定量以上のウラン235などに中性子が衝突すると、核分裂反応が持続的に進行するようになる。この状態を「臨界」といい、これに伴う爆発などで発生した事故を臨界事故と呼ぶ。原子爆弾ではウランを高濃度に濃縮して臨界に達しやすい状態にして爆発させる。原子力発電所では制御棒の出し入れなどにより核分裂反応を制御し、炉内を安定した臨界状態に保っている。


[毎日新聞9月30日] ( 1999-09-30-15:45 )


09301545
<被曝>東海村のウラン加工施設で放射能漏れ、3人被曝=替(毎日新聞)


 30日午前10時半ごろ、茨城県東海村の核燃料製造メーカー「ジェー・シー・オー東海事業所」のウラン加工施設で、施設から放射能力が漏れ出す事故が発生。従業員3人が被ばくし、水戸市内の国立水戸病院に搬送されたが、1人が重症、2人は軽症だという。

 県原子力対策課によると、事故は核燃料を製造する施設「転換試験棟」で発生。事故直後、周辺にある舟石川測定局で、放射線レベルが通常の約10倍、門部測定局で同7倍に上昇した。同午後0時半現在、既に施設外への放射能漏れはなり、周辺の放射線量はほぼ通常値に戻ったという。

 東海村は周辺3世帯に避難勧告を出した。

 同事業所によると、容器から原料のウランが漏れ、青い火が出たという。転換試験棟にある放射線モニターが異常を感知し、警報が鳴って事故が判明した。

 茨城県警ひたちなか西署によると、作業員3人はウラン溶液を充てん槽に移動する作業中に突然、倒れたという。

 県は臨界事故の可能性があるとみて、原子力安全対策課、公害技術センターの職員を派遣し、詳しい原因と周辺の放射線の影響の調査を急いでいる。

 現場の周囲200メートルは立ち入り禁止で、付近の県道が3キロにわたって通行止めになっている。

 JCOは旧社名、日本核燃料コンバーション。6フッ化ウランを原料に、二酸化ウランに転換、加工して電力会社に納入している。

 原子力資料情報室は「ウラン燃料を加工している工場で、臨界事故を招いたとしたら例がないのではないか。ウランを加工する際にはガスの状態から固体にする作業がされるが、臨界事故を招かないよう部屋の構造に工夫されている。何らかの爆発かシステムに異変が起きたのではないか」と話している。

 東海村では1997年3月にも、動力炉・核燃料開発事業団(当時)の東海事業所再処理工場の「アスファルト固化処理施設」で火災と爆発が発生し、作業員37人が被ばくしている。固化処理施設は、使用済み核燃料の再処理の過程で発生する低レベル放射性廃液とアスファルトを混ぜて固めていた。

 ◇臨界事故

 一定量以上のウラン235などに中性子が衝突すると、核分裂反応が持続的に進行するようになる。この状態を「臨界」といい、これに伴う爆発などで発生した事故を臨界事故と呼ぶ。原子爆弾ではウランを高濃度に濃縮して臨界に達しやすい状態にして爆発させる。原子力発電所では制御棒の出し入れなどにより核分裂反応を制御し、炉内を安定した臨界状態に保っている。


[毎日新聞9月30日] ( 1999-09-30-15:45 )



09301100
東海村被曝事故−広島の重症被ばくに匹敵 '99/9/30

 ▽茨城県、半径10キロ内住民に退避検討
 茨城県東海村の臨界被ばく事故で、茨城県は三十日夜、現場から半径十キロ以内の住民に、屋内に退避するよう呼び掛ける検討を始めた。

   市川竜資・元科学技術庁放射線医学総合研究所科学研究官の話 被ばく量が少なくとも八シーベルトとは大変な値。広島、長崎の被爆者で、かろうじて生き残った人が浴びた程度の量に当たる。事故の起きた施設周辺地域のモニタリングを緊急に行い、放射線量のデータを公表し、住民の不安を取り除いてほしい。それにしても何とも不可解な事故だ。施設は当然、臨界にならない方策を立ててあり、それを守っていればこんなことにならないはず。人為的ミスの可能性があるのではないか。

 ▽爆心1キロの被爆と同じ 

 広島大原爆放射能医学研究所の木村昭郎教授(血液内科)の話 

 詳しいデータが分からないので断定的なことは言えないが、嘔吐(おうと)などの急性症状から考えるとかなり重篤な状態だ。作業員が受けた線量からすれば(広島に投下された原子爆弾の)爆心地から、一k以内の地点で被爆したのと同じ状態ではないか。


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 ▽内閣改造来週にずれ込む見通し

 自民党の森喜朗幹事長は三十日夜、公明党の冬柴鉄三幹事長に電話し「東海村臨界被ばく事故のため政権協議はしばらくできない」と伝えた。このため一日の内閣改造は来週にずれ込む見通しとなった。


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 ▽臨界被ばく事故 「臨界が止まっていない」

 近藤茂夫内閣広報官は三十日夜の記者会見で、東海村の臨界被ばく事故について「状況が変わった。非常に悪い状態になっている。臨界が止まっていない」と述べた。


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 茨城県東海村にあるウラン加工会社ジェー・シー・オー東海事業所で三十日午前、作業員三人が被ばくし、施設の周辺で高い放射線が検出された事故は、同日午後までの調査で、日本初の臨界事故である可能性が高い。同日夕には周辺の放射線量が急上昇するなど、日本の原子力施設では最悪の事故になった。

 事態を重視した政府は同日午後三時、災害対策基本法に基づき、有馬朗人科学技術庁長官を本部長とする初の事故対策本部を設置。総理官邸別館の危機管理センターに官邸連絡室を置いた。

 茨城県原子力安全対策課によると、同県那珂町のモニタリングポストで午後四時以降、放射線量が急上昇している、という。東海村役場によると、同日夕現在、現場周辺の三十九世帯、百二十人が避難した。

 茨城県警によると、被ばくしたのは、いずれもジェー・シー・オー社員の大内久さん(35)、篠原理人さん(39)、横川豊さん(54)。

 同社の木谷宏治社長らは午後三時すぎ、科技庁で記者会見し「重大な事故を起こし大変申しわけない」と陳謝した。同社の説明によると、三十日午前十時三十五分ごろ、転換試験棟で、放射線監視装置の警報が鳴り、周囲に高い放射線が出ていることが分かった。

 施設内では当時、三人の社員がウランを硝酸で溶かし、不純物を取り除く作業をしていた。具体的にどんな状況だったのかについて同社は「調査中」としているが、三人はいずれも「気分が悪い」と訴え、作業中に「青い光が出た」と話しているという。

 同社は、三人の話や放射線量が極めて高いことなどから「臨界事故が起きた可能性が高い」としている。

 作業員が扱っていたウランは、核燃料サイクル開発機構の高速増殖実験炉「常陽」用の燃料。通常の原発では濃縮度五%以下のウランを扱うのに対し、約一九%と高濃縮のウランを扱っていた。

 同社によると、今のところ施設に破損などは見つかっていないという。