16人目。
とうとうエマ中尉までもが…
ティターンズの頃のエマ中尉です。
リアルエマ中尉です。
可愛いですね、この人…エマ中尉。
ヘンケン艦長が好きになったのも分からない訳ではありません。
でも僕はレコア少尉の方が好きです。
裏切り者ですがね。
と言えば、エマ中尉もティターンズから寝返ったんですが、
2人は対象的でした。
エマ中尉の登場時は第1話からブライト中佐と一緒に出てきます。
ジェリド、カクリコンと共にガンダムMk-Ⅱのテストパイロットとして地球から赴任してきた際、ジェリドとカミーユが諍いを起こした。
その場に居合わせたのが、エマ・シーンである。
この時点ではティターンズの優秀な女兵士、寧ろ冷徹なキャラにしか見えなかったが、以後ブライトとジェリド、カミーユと関わっていくことで、とても良い女性に見えてくる。
と思ってしまったのは僕だけじゃないだろう。
ガンダムMk-Ⅱの奪還作戦の戦闘指揮隊長に抜擢される。
バスクが書いた直々の親書を持って1人、アーガマへと乗り込む。
そこでバスクの親書の内容をブレックス准将に突き付けられ衝撃を受けた。
そのバスクの卑劣な手口に疑問を抱き、ティターンズからエゥーゴへと出奔し、バスクに「女狐め」と言わしめた。
エゥーゴへ寝返ったエマ。スパイではないのか?
しかしクワトロはエマの造反を半ば信じていた。
ヘンケンもそれに同調した。
だがこの予測は見事的中、エマはエゥーゴに参加することになった。
誰よりも先にエマの心情を見抜いていたクワトロは、逆に「君の心変わりが信じられない」とエマを突き放す。
これはエマを試したものだろう。
「一度裏切った人間はまた裏切る」というセオリーを知っての発言。
だからまず「信じられない」という言葉で試して、駄目押しで30バンチを見せようと考えたのだろう。
エマにティターンズの非道を見せつけるため、毒ガス事件が発生した場所「サイド1の30バンチコロニー」に赴いた理由が分かる。
エマは信念を持つ人。
論より証拠、虐殺の現場を見せつけることで、ティターンズの非道とエゥーゴの正当性を植え付けるのに役立った。クワトロ大尉の思想研修によって、エゥーゴに有能なパイロットが誕生するのであった。
入隊してからは、エゥーゴ主力の女兵士エースとして活躍するようになる。
それまでいたレコアの存在を消してしまった。
だからレコアは単身でジャブローへ降りたりして、自分の居場所を探し始めたのだろう。
その行動はエマへのライバル心からだと思う。
おまけにヘンケン艦長はエマにメロメロ~♡
そりゃ、レコアもひねくれもするわ。
カミーユに対しては、
「あたしはあなたの恋人ではないのよ」
と冷たく突き放す。
でもなんだかんだ気にかけていたところは、生来の姉御肌によるものか。
そして、カミーユがライラ大尉を撃墜してから、
「この子、私には分からない何かを感じている」と、
エマ「アーガマでは、アムロ・レイという人のことを、所在が不明だなんて、言ってるわね。あたしね、2年半ほど前に、アムロ・レイに会ったことがあるの」
カミーユ「え?」
エマ「女同士で、ガソリン車のドライブ旅行をしたときに、シャイアンの方で彼に会ったのよ。大豪邸の前でね。そのときには、こんな時代にも親の財産を相続している暗い青年がいるって笑ったのよね。その青年はひどく疲れているんだけど、夢を見続けているような人だなって、そう思っていたんだけど、その人が、最近、アムロ・レイだってわかってきたの」
カミーユ「彼が名乗ったんですか?」
エマ「そうじゃないわ。宇宙に出てからわかったのよ」
エマ「クワトロ大尉のような方と出会って、あの青年はきっとアムロだ、宇宙に出られずに悶々としているアムロ・レイだってわかったのよ」
カミーユ「あなたの勝手な想像でしょ?」
エマ「違うわ。あたしがね、アーガマに来たのは、あの名前のわからない青年のせいだってわかったのは、アーガマの空気なのよ。これが、あの青年が求めていた空気なのか、これが彼の求めていたものなのかってわかっていくと、あの青年がアムロだと明確にわかったのよ」
カミーユ「じゃあ、シャア・アズナブルのような人がここにいると思ってるんですか?」
エマ「そうかもしれないわね。あたしも、アーガマへ来たいと思ったときのように衝動もなくなって、落ち着いてるわ」
カミーユ「じゃあ、シャアには会ってるんだ」
エマ「えっ?今、何て言ったの?」
カミーユ「シャアには会いたいでしょって言いました」
エマ「いいえ、会ったでしょって言ったわ」
カミーユ「言いませんよ!」
エマ「言ったわ、シャアに会ったって!」
っていうか、エマは名前も知らない青年がアムロだと確信したのである。
ならば彼がアーガマの空気を求めていたと感じていたなら、すぐ側にいるクワトロはシャアだっていつ気づいてもおかしくないんだが……
なのに、カミーユの言葉で驚くエマ。
それを密かに聞いている、クワトロ・・・
エマさんは美人である。
ゼータのヒロインであってもおかしくない。
しかしヒロインにはヒロインに相応しい関係性というものがある。
確たるポジションを得てこそヒロイン足り得るのだ。
ところがエマ中尉は微妙な役どころ。
「ファーストガンダム」の人間関係を思い出しても、どのキャラにも当てはまらない。
あえて言うなら、カミーユの姉以上恋人未満といったところ。
その結果、ストーリーを通じて中途半端な役回りに落ち着いてしまい、美人だったなぁという程度の印象でキャラクターの重要度の割には影の薄い存在でもあった。
ジャブローに降りられず、カミーユがZガンダムに乗るとガンダムMk-Ⅱはエマの機体となった。
カタパルトデッキから出撃する、エマ搭乗のMk-Ⅱはカミーユが乗っていた時よりも、フェミニンな動きを見せる。
エマが搭乗するMk-Ⅱは、なんとなく内股になっていたりする。
おそらくMk-Ⅱの戦闘プログラムは、とてもセンシティブなものだったに違いない。
そしてエマはカツのGディフィンサーと共にラーディッシュに載ることが多くなり、火力をパワーアップさせた、Gディフィンサーとの合体により、
スーパーガンダムとして活躍する。
長い戦いの末、戦局はいよいよ激しさを増し、ラストの悲劇をお膳立てするかのように、大切に想っている人がまた一人また一人と物語を去っていく。
カツに続き、ヘンケン艦長の死を目の当たりにしたエマの命の炎も燃え尽きようとしていた。
レコアとの相討ちの末、エマはレコアの声を聞く。
それを不思議に思ったエマはコックピットから出る、しかし敵機がパラスアテネを撃破し、残骸が身体に直撃する。
そして激戦の最中、エマはあることを発見していた。
「カミーユ、あたしの生命を吸って…」
散っていった人々の意思と想いがZガンダムに集結し、果てしないパワーをみなぎらせているではないか。人々の想いを、命を吸い、このバカげた戦争を一刻も早く終わらせて欲しい。
それが出来るのはカミーユ、あなたなのだと、
託すのであった。
眠るように息を引き取った、自らの力で戦争を集結に持っていけなかった無念からか、その死に顔は安らかなものではなかった。
しかしエマの託した願いはあまりにも大きく、やがてカミーユに悲劇をもたらす結果になってしまうのだった……。
そしてエマ中尉にカミーユは最期の別れをし、戦場へ戻った。
さようならエマさん……。