前回いろいろ食べてみてわかった気になったヌタウナギだったが、また食べたくなり再度釣りに行ってみた。
いるとわかっている場所ならば、いかに工夫して効率よく釣るかというだけのこと。
ヌタに引きこもるフレンズなんだね! pic.twitter.com/7zG7d0gYxd
— ざざむし。の人 (@nekton27) 2017年2月16日
ウミケムシと花粉に邪魔されつつも順調に釣れ続き・・・
今回は26匹釣れました。
これだけあればまたいろいろ試せます。
今回は出汁にも使ってみたいと思うので少し多めに干すことにしましょう。

腹だけ割く方法を編み出したので開腹作業は5秒でできるようになりました。
鉗子で(無ければラジオペンチなどで)口を掴み、尾を向こうへ向けて喉元に包丁の切っ先を突き立て、軽く突き刺さったら宙に浮かせて肛門の方向へ一気に刃を滑らせるだけで一瞬で腹を開くことができます。
鉄腕DASHで棒あなごの作り方が有名になったのはいいですが、釣ったヌタウナギだと殆どの場合体内に鈎が残っているのでしごき出す工程で怪我をする可能性があります。しごき出す場合は注意しましょう。
前回で特殊性に気付き、何がベストかわからないので様々な状態の違いで揚げたものを再確認してみます。共通しているのは「味を一切つけていない」ということです。
皮ごと干したものをぶつ切りした出汁ガラに片栗粉つけて揚げただけ。
いわゆる棒あなごを揚げた味になるかと思いきや、何故かほろ苦くなり風味といいまるでマイワシの内臓のような印象。食感はモチモチです。
片栗粉だけの普通の唐揚げはやはり鉄板の美味さです。
ホルモンのような弾力ではあるがイカタコのように噛み切れ、脊索の歯応えが大変心地よい。
左のものは丸ごと揚げたらチュロッキーのような見た目にならないかと思ったのですが激しく縮むので言うことを聞いてくれませんでした。あと、丸ごとだと内部の水分の逃げ場が少なすぎるのかちょっとジューシーすぎる印象です。
縮みすぎる肉質なので3割は縮むことを想定して、好みのサイズに切って揚げるのがベストでしょう。
で、この黒いの何だよと。
皮剥いて干したものを素揚げしてみただけです。
何故か一瞬で真っ黒になりました。ナンデ?
左が胴体の可食部、右が頭の後ろから伸びる謎筋肉です。
干しあがった段階で何故かジャーキーのような香りがしていたのですが、揚げたら胴体はイワシの骨煎餅の味になりました。
謎筋肉のほうは硬い。めちゃくちゃ硬い。
でも噛めば噛むほど味が出てくる。
おつまみのカワハギ味醂を超硬くしたような食感で、その味を薄くしたような感じです。味つけてないのに。
しかしこれは忍者食向けだな。
んで、これは謎筋肉を干したものから出汁をとった出汁ガラを揚げたもの。
見た目がマテガイみたいになっちゃってますが、なんと味も貝っぽい。
一体どういうことなのか。
謎筋肉はそのまま揚げてもちんこっぽくなるだけで食感も味もボディーと比べると全く美味くないので何かしら加工を施したほうがいいとは思うのですが、これ!といったものに辿り着くことができません。
肉そのものに強い味があることだし、前回焼きソバが予想外に美味かったので炒飯などはどうでしょうか。
味なくなった。
どういうことなの?
肉自体はイカどころか、やる気のなくなったマンボウの腸みたいな食感と味に成り下がった。
どうも味が出払ってしまう調理と、そのまま味が生きる調理があるようだ。
そもそもヌタウナギのこの特徴的な素材の味は何なのか。体にはいいのか悪いのか。
成分についての文献も少ないながらにあったので目ぼしいところをまとめてみると
・ イカタコっぽい食感だったが意外にタウリンは少ない。
・ 骨がないので予想通りカルシウムは少ない。
・ レチノール(ビタミンA)は殆どの部位が100IU(30μg)を超え、特に内蔵に多い。ヤツメには遠く及ばない。
・ リボフラビン(ビタミンB2)が皮に多くヤツメウナギ並。多いとされる牛や豚のレバーの倍近い数値。
・ 卵はEPAがイワシやブリ並に多く、他にも鉄分・亜鉛など卵の栄養価は高い。
・ 筋肉のアミノ酸にはプロリンが多い。表皮細胞増殖促進活性、コラーゲン合成促進活性、角質層保湿作用などの生理活性を示し、一度破壊されたコラーゲンを修復する力をもつアミノ酸とのこと。
・ 脂質組成の90%はトリグリセリドで脂肪酸組成は卵以外の部分の50%前後をモノエン酸が占める。コレステロールへの影響はこのモノエン酸の特徴次第?
抱卵したメスのデータしかないので卵以外の数値が上がる可能性もあるとは思う。
まぁいろいろあるんだけど、ビタミンAなんて摂取上限ぶっちぎるヤツメウナギと比較するのがナンセンス。
とりあえず皮は食ったほうがいいんじゃないかということはわかる。
皮ごとブツ切りで味噌汁に。
前回普通に作った味噌汁はそれはそれで十分に美味しかったんだけど、味噌溶く前にニンニク摺ったら更に美味くなった。
ヌタウナギから出るしょっぱい出汁と味噌のしょっぱさだけでは尖った感じだったのが、加熱されたニンニクの甘味と香りでグンとまとまりがよくなった感じがする。皮もとぅるんとぅるんで美味い。筋肉はよ~~~~く煮込んだ柔らかいモツに似た食感。ニンニクが苦手な人は白ネギたっぷりで作ると美味い。
しかも倍量のレバーと同程度のビタミンB2は摂取できる訳だ。
食感を生かしたまま保存食にもならないかと大和煮っぽく・・・と思ったが身が一気に縮み噴出す水分。
これ、水分もそうだけど、冷めるとギットリ固まるから脂質が多いんだろうね。
美味しいけど何の肉だかわからない。
イカやモツっぽさがなくなって脊索がなかったら完全に何かの肉。魚介系だとは思えない。でもヌタウナギらしさを生かすという考え方からするとちょっと違う気がする。そして冷めたらかなり硬い。
既に冷凍保存は可能だということがわかっているので、やはり調理を想定して皮を剥くかそのままを選び冷凍保存するのが良いのだろうという結論になった。
ミンチ化するのは解凍したものでも可能。
前回はチタタプしてつみれ状にしてオハウにしたが、そのままミンチを坦々風にしたらどうだろうか。
ぬたたんたん。
ただその響きを口にしたかっただけとはいえない。
声に出して言いたい日本語ぬたたんたん。

こんなミンチになっても、ミンチを噛むとヌタウナギだーってわかる絶妙な弾力と、たまに弾ける脊索の食感。
当初は普通のラーメンに好みでトッピングして味変えるくらいのつもりで作っていったので、即興で何が足りないのかピンとこなかった。
お土産の麺を持ち帰ったので家で作り直してみることに。
せっかくだから出汁も変えよう。
皮ごと干したヌタウナギと
いまいち使い道の定まらない謎筋肉を干したもの。
こいつらで丼一杯分のスープを作る。一杯分だけ作るって面倒。
どんな出汁が出るのか野菜少なめで味見てたんだけど、なにこれ・・・
(スルメ+干アワビ)/3みたいな出汁なんだけど。
もうなんなんだよヌタウナギ。
使い方によって味が迷子になりすぎてわけわかんねぇ。
どっちみちガラも足すし、辛めにまとめると味が丸め込まれてしまうので出汁はいまいち意味がなかったような気はするが、ミンチになっても自己主張する肉というだけでも使える。
リベンジdeぬたたんたん
うまい。
僅かにイカっぽい出汁もミンチの肉肉っぽさに意識が引き戻されるから、こんなの誰も魚介系だなんてわからないはず。
所々にスジ肉のミンチが混ざってる感じというか。
ミンチなのに肉感が強くて、麺なのに肉食べてる感じもしてうまい。
結局、何がオススメかって聞かれたらやっぱり薦め易いのは味なし唐揚げですね。
個人的にはこの尾が好き。揚げると食感最高。唐揚げの注意点としては、骨がないので高温で一気に揚げるだけが良い。ゆっくり長く揚げるとどんどん水分や脂質が抜けて縮んでいくだけ。衣をパリッと仕上げてジューシーにプリッと仕上げ、素材そのままの特殊な旨味を全力で味わうのが楽で且つ最高なのではないかと。
次点でソース焼きソバかミンチ系の何か。
そういえば試し忘れたけどハンバーグなどは魚介ではありえない感じになるのではないか。とにかくミンチにすると加熱前から汁が出て、これ自体にかなり味がある。肉汁をいかに留めるか、足りない要素だけを補うかで完成形が大きく変わると思うので、やはり素材の味を知っておくのは重要だと思う。
いずれにしても過剰な塩を使わないのが大前提で、調味料は香辛料を中心にまとめる感じ。刃を使って分断しないとどこまで過熱してもそぼろ化しない特殊な肉質は魚というよりタコイカなどの頭足類寄りなので、味の染み方もそれに近い感じ。染み込ませたいのならば加熱前にするか、めちゃくちゃ煮込んで一旦冷やすか。
でも肉自体に味があるということは常識はずれな調理に可能性もあるはずで。
こんなのはどうか。
何も味をつけず、ただ剥いただけのものを1日かけてよく干した。
こんなに薄いのに丸1日以上かけてもしっとりしているのは脂質が多いからだろうか。
これだけだとまるでヘビの干物。
それをスモークしてみた。
極短時間なのに何故こんなに黒くなるのか。そういえば干したのは揚げた時も黒くなったから何か理由があるのだろうか。
これがうまい。
ソミュール液に漬けていないのに何故こんなに完成された味になるのか。生きながらにして下味のついた生物という他に言いようがない。そして、ここにきて突然魚っぽい食感が現れる。水分が飛んだ上に脂のせいか、内部から軽く揚がったような感じになったためだろうか。
ソミュール液に漬けていないので保存性は悪いだろうが、たくさん釣れたら美味さのために作る価値はあると思う。一工程減らせて美味い訳だし。
やっぱりヌタウナギ料理で有名なのは韓国料理なのでどうしても韓国風の料理で薀蓄垂れる人が多そうな気がしますが、これこそ素材の特性がわかってたら安易にそんなこと言わないでしょwっていう食材な気がします。
あれはあれで美味いんですけど、食感しか生きてない感じが否めない。ヌタウナギじゃなくてもタウナギでいいじゃないかってなる。
注意点としては、わりと鮮度落ちしにくい生物だなぁと感じはしたものの、劣化してくると筋肉が途端に特殊なニオイを発するようになる。
脳裏に培地用の肉エキスが鮮明に蘇るかほりだったので凍てつく愛の監獄〈ラヴプリズン〉での小分け保管をオススメする。
ところで
口から鰓穴前あたりまでに格納されている謎筋肉なのですが、焼いたり揚げたりして食べた時に気付いてはいたものの
よく見ると二重構造みたいになっていまして、最後部でくっついている。
中心が収縮すると後ろににょっきり出てきてちょっぴり卑猥な感じがします。
これ一体なんなんだと、釣って食べた人が皆首をかしげていたのですが
ヌタウナギの謎器官は口を動かす筋肉だった pic.twitter.com/4KVURUPGe9
— ざざむし。の人 (@nekton27) 2017年2月20日
食べる為に解体すると頭を落とす際に格納された歯も一緒に切り落としてしまいがちなんですが、歯がくっついた状態で見たら機能は一目瞭然でした。
顎もなければ骨もない。そういう状態で食べ物を飲み込もうと進化するとこうなるという正解のひとつがこれだったんですね。
歯の付け根は細くなっており、器官への入り口は硬くて狭いので食べ物が入る訳じゃない。
筋肉も繊維が長く走っている訳ではなく横に並んでいるので、ウェーブ状に動かすことで中を前後に移動させているんでしょうか?
なんにせよ、大きなエサは歯に引っ掛けて削り取り、口に入るものは引っ掛けたらそのまま入るところまで引きずり込む形状ということは想像がつきます。顎や喉で止まるような構造が無い為、鈎を飲まれてしまうのも仕方がないといえるでしょうね。
釣れると元気なまま外してリリースすることも困難なことが多いと思います。
そんな時は持ち帰って美味しくいただきましょう。
美味いので。
参考文献:
井岡久・岩本宗昭・日野佳明(1999)「魚介類有効栄養成分利用技術研究 地先水産資源の栄養成分の再評価」島根県水産技術センター.

























先日頂きましたヌタたん、その日のうちに美味しく戴きました。
もちろん調理前にさんざん弄んでぬとぬとローションも分泌してもらい、生きてなけりゃ絶対出来ない貴重な体験も。スゴいやコイツ。
で、唐揚げ最高だったんですが、素のままで食べてみて、ちと物足りなさを感じて怪醤ペーストと合わせたらデラウマに化けてあっという間に自家消費。4歳の娘と嫁はそのままが良かったそうですが、酒のアテにするならちょい足しした方がベターかな。
捌くのも簡単なので、食材としてオススメ出来ますね。
あ~また食いたい。
順位はアナジャコに続くあたりか。
謎筋肉が凄く美味そうなんですけど、そうでもないんですか。
でもチンコみたいな見た目は評価できますよね。
外はローション、中にはチンコ、その名はヌタウナギィィィッ☆
そしてスルメやアワビフレーバーで、謎な塩味。
嫌いじゃないっ。
ところで真面目な話、出汁が効いてると塩分少なめでも
満足できる味になったりしますけど、その謎な塩っぽさも
強めな旨味成分が影響していたりするんでしょうかね。
ちょっと違いますが、スピリタスをストレートで飲んでだら
謎の塩気を感じた事がありますけど、あれも謎です。
あとですっぱい味になって戻ってきたふしぎ遊戯。
こちらではヌタウナギタンは釣れた事はないので試しようがないのですが、肉汁や脂をハンバーグ内に留めるために乾かした油揚げを砕いて入れる事があります。
油抜きして乾かすのが一番ですが、面倒であればそのままでも効果はあります。
欠点として量を間違えると大豆臭くなるといったとこです。