原子力規制委員会は22日、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)が再稼働の前提となる安全審査に事実上合格したとする「審査書案」をまとめた。一般からも意見を募り、4月にも合格を正式決定する。地元同意の手続きなどが必要なため、再稼働は早くても今秋以降の見通しだ。
規制委は、大飯3、4号機の安全対策の基本方針が東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準に「適合している」と判断した。審査書案がまとまるのは、全国で6原発12基となる。
関電が安全審査を申請した3原発7基は全て主要な審査を終える。大飯3、4号機の出力はそれぞれ118万キロワットと大きく、毎月の収益改善効果も約100億円に上る。関電は電気とガスの自由化市場の中で競争力を確保したい考えだ。大飯1、2号機の審査申請の準備も進めている。
関電は大津地裁の処分などによる原発の停止で2度の電気料金の値上げを実施。2016年4月の電力小売り自由化では、値上げが響いて多くの顧客が大阪ガスなどの新規参入業者に契約を切り替えた。
大飯3、4号機は13年7月に安全審査を申請した。審査の過程で地震の想定をそれまでの最大700ガル(ガルは加速度の単位)から856ガルに引き上げた。関電が高浜1、2号機(福井県)など老朽原発の運転延長に向けた対応を優先した影響もあり、審査に時間がかかった。
大飯3、4号機は福島第1原発事故を受けて国内の原発が全て停止した後の12年7月、関電管内の電力不足を避けるため当時の民主党政権の政治判断で再稼働した経緯がある。定期検査に入った13年9月以降、停止が続いている。