「ジャポニカから虫が消えた」騒動は“つくられた”ものだった
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上岡正明(かみおか・まさあき)/株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役。一般社団法人日本脳科学マーケティング学会代表理事。1975年生まれ。27歳で戦略PR、ブランド構築、コンテンツマーケティングのコンサルティング会社を設立。現在まで16年間、実業家として会社を経営。これまで、三井物産やSONY、三菱鉛筆など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。同時に、放送作家として「ズームイン!!SUPER」「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「タモリのスーパーボキャブラ天国」「クイズ$ミリオネア」など人気番組の企画・構成、脚本家として日本テレビ「週刊ストーリーランド」などを担当。『日経ビジネスアソシエ』(日経BP社)や企業診断(同友館)などに寄稿・執筆。バンタンJカレッジ客員講師、元静岡放送審査委員。多摩大学大学院経営情報学研究科(MBA)在籍中。日本マーケティング学会会員、日本神経心理学会会員、日本社会心理学会会員、日本行動心理学協会会員、一般社団法人日本行動分析学会会員
「ジャポニカ学習帳の表紙から、虫の写真が消えた――」
2014年末に世間を騒がせたこの出来事をご記憶だろうか。「ジャポニカ学習帳」は文具メーカー・ショウワノートのロングセラー商品。これまで12億冊以上売り上げている国民的ノートのひとつで、「濃い緑色の縁取りとカブトムシやチョウの写真のアレ」といわれれば、多くの人が思い描くことができるはずだ。
2014年11月、産経新聞が同ノートの昆虫の表紙が廃止になり、花の写真に差し替えられていたことを報じると、インターネットを中心に大きな議論が起こった。廃止された理由のひとつが「昆虫は気持ち悪いというクレームが増えたため」だったからだ。
「昆虫が見たくないからって排除していいの?」「社会的な寛容性が損なわれている!」「確かに、あの昆虫のアップは気持ち悪い」……SNS上では賛否が飛び交い、有名人がリツートしたり、マスコミが追加報道したりすることによって、この騒動は多くの人が知ることとなる。つまり、「バズ」ったのだ。
これを受けて販売元であるショウワノートは、昆虫が表紙のジャポニカ学習帳を復刻。5冊一組3000セットが予約開始から24時間で完売した。
だが、一連の騒動には興味深い点がある。実のところ、ショウワノートが昆虫の表紙を廃止したのは2012年。産経新聞が報じたのは2014年で、2年間の空白がある。
たまたま新聞記者が気づき、記事にしたのだろうか――。それは違う。そこにはある仕掛けがあった。
仕掛け人の名は上岡正明(42)。PR会社・フロンティアコンサルティングの代表取締役で、三井物産、SONY、ドバイ政府観光局などの広報支援を行ってきた人物だ。
一見、自然発生的に世間を賑わせたように思えたジャポニカ騒動も、上岡氏が手掛けたものだという。自身のPR戦略を紹介した書籍『共感PR』を上梓したばかりの上岡氏に、インタビューを実施。ジャポニカ騒動の舞台裏や「バズ」を生み出すノウハウについて話を聞いた。