北朝鮮大使 マレーシア側と共同調査を提案

北朝鮮大使 マレーシア側と共同調査を提案
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北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏がマレーシアで殺害された事件で、現地に駐在している北朝鮮のカン・チョル大使は、死亡したのはキム・ジョンナム氏ではないと主張したうえで、公正な捜査を行うためだとしてマレーシア側に共同で調査を行うよう提案する考えを示しました。
今月13日、マレーシアの首都クアラルンプールでキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム氏が殺害された事件で、マレーシアの警察は、これまでにインドネシア人とベトナム人の合わせて2人の女と、北朝鮮国籍の男1人を拘束したほか北朝鮮国籍の男4人の行方を追っています。

マレーシアに駐在する北朝鮮のカン・チョル大使は、20日、北朝鮮大使館で記者会見し、死亡した男性について、「警察はわれわれに確認せずに別の名前を発表している。われわれは全く知らない」と述べ、死亡したのはキム・ジョンナム氏ではないと主張しました。
そのうえで、「マレーシアの警察が公正で正確な捜査を行うよう待っていたが、むしろわれわれを疑うような捜査をしている」と述べ、北朝鮮側と共同で調査を行うようマレーシア側に提案する考えを示しました。

また、カン大使は、すでに出国した北朝鮮国籍の男4人について記者団から問われたのに対して、「何の根拠があって容疑者だというのか。同じ日に出国した人は何人もいる」と述べました。

北朝鮮 過去にも共同調査を要求

北朝鮮は過去にも関与が疑われる事件などで、相手国に共同調査を要求したことがあります。

2014年にソニーのアメリカの子会社がサイバー攻撃を受けた問題で、アメリカ政府が北朝鮮の関与を断定した際、北朝鮮は談話を発表して否定したうえで、「アメリカ側と共同調査を行うことを提案する。拒否すれば重大な結果がもたらされる」と威嚇しました。

また、同じ年に韓国で無人の小型飛行機が墜落しているのが相次いで見つかり、韓国政府が北朝鮮のものとする見方を示すと、北朝鮮は「ねつ造と謀略だ」と否定し、「共同調査をする用意がある」と発表しました。

この時、北朝鮮は2010年に起きた韓国の哨戒艦沈没事件への関与も改めて否定し、「沈没事件を含むすべての『北のしわざ』とされる事件を共同で調査しようというわが方の立場に変わりはない。調査をして謀略劇を暴く」と主張していました。