700年前のユニークな高麗仏画、ジェノバで発見

■高麗仏画、なぜ重要なのか

 高麗青磁、高麗螺鈿(らでん)と並び、芸術的な技量に秀でた文化遺産と評価されている高麗仏画は、世界におよそ160点しかない。日本におよそ120点あり、米国に18点、欧州に8点ある。韓国国内にはおよそ20点あるが、このうちの多くは、最近になって外国から購入したものだ。専門家らは「高麗末期に倭寇が略奪したり、壬申(じんしん)倭乱(文禄・慶長の役)で流出したりしたものが少なからずあり、また外交上の目的や交易品としても少なからぬ高麗仏画が玄界灘を渡った。朝鮮王朝は廃仏政策で仏教遺物を重要なものとは考えなかったため、1970年代後半まで、韓国には高麗仏画が1点も残っていなかった」と語った。

 現在、米国や欧州の博物館に所蔵されている高麗仏画は、どれも日本を経由して渡っていったと推定されている。高麗仏画の芸術的価値について、ワシントンにあるスミソニアン博物館フーリア・サックラー・ギャラリーのキース・ウィルソン学芸員は「東アジアの仏画の中でも、繊細さや装飾性が際立っている」と語り、ハーバード大学美術史学科のユキオ・リッピト教授も「驚くほど描写が細かく、金をうまく使って表現に多様性があふれている」と感嘆した。鄭教授は「この水月観音図は、もともとは掛け物だったが、1970年代に博物館で木枠のパネル式に改めた際、化学接着剤を使用して裏打ちしたため表面の色感が変質した。保存処理を切に必要とする状況」と語った。

許允僖(ホ・ユンヒ)記者
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  • ▲(左の写真)松の木の部分(大きな写真の点線内部)を拡大し、輪郭線を重ねてみたもの。岩から生えている松の木が逆さまに垂れ下がっており、枝や松葉もリアルに描かれている。(右の写真)イタリア・ジェノバの博物館で見つかった、14世紀中盤の「水月観音図」。観音菩薩の身体の前へせり出すように描かれた松の木の様子や、身体に金を塗り、その上から首飾りを描いた彩色技法などがユニークだ。/鄭宇沢教授

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