🔻この記事の続きです。
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宗教団体Dへ営業に行った女子社員からの連絡が途絶えてから、
はや「3時間余り」が経過していました。

部長が、営業先であった宗教団体Dに電話しても連絡が付きません。
(これはオカシイ・・・。)
普通の会社なら、この辺りで警察等に連絡するのでしょうか?
我がブラック企業は、
「警察を呼ばれる」事はあっても「呼ぶ」事は絶対にありません。

なぜか?
「ブラック企業だから。」

それ以上の答えは必要無いでしょう。
営業マンの連絡義務
我がブラック企業では、
営業マンに1回の営業に付き
「4回の定期連絡」が義務付けられていました。

営業に「入る前」
営業に「入ってから」
営業が「終わる直前」
営業が「終わった後」
特に新人や営業の弱い営業マンは、
営業の途中も「逐一会社に連絡を入れる」のが、
会社のルールになっていました。

多い人で10回以上連絡を入れる人も居ます。
(逆にベテラン営業マンは全く連絡を入れなかったりもします。)
このルールは、
会社にいる部長等の「強い営業マン」がその場の状況を聞いて、
「こういう提案をしてみようか?」
「あれをすすめてみたらどうかな?」
「それならこういう条件で契約しても良いよ!」
とアドバイスする事で営業を効率よく行わせる為です。
女性営業マンはまだまだ新人だったので、
この「連絡が全く無い」というのは明らかにオカシイ状況でした。

なのでもちろん、
同僚の営業マンはみな心配そうにしていました。

女性営業マンが宗教団体Dに営業に入って4時間後・・・。
女性社員から
「営業終わりました、今から戻ります。」
と連絡があり、無事に会社に帰ってきました。

しかし、会社に戻ってきた女性社員は目に涙を浮かべていました。
きっと何か怖い目に合ったのでしょう。
みんなで事の顛末を聞くと、大体こんな話でした。
女性営業マンが待ち合わせ場所に行くと、
男性3人に無理やり車に乗せられて

遠くのお寺?みたいな場所に連れて行かれて、
仏壇?みたいなモノをずっと拝まされた・・・・・と。

(なんだそれは・・・・?)

他の同僚の営業マン達も
「こわっ・・・・」
「おいまじかよ?」
「うわぁ・・・・」
などとは言っていました・・・・。

モチロンこの女性営業マンはこの後、
しばらくして会社を辞めてしまいました。
いま考えると、
一番の問題だったのは
女性営業マンの話を聞いた私達の反応が、
(なんだ、そんな事か・・・・)
という程度のモノだった事だと思います。

日頃からこの手のトラブルが多すぎて、
私達の感覚が完全にマヒしていたのでしょう。
こう冷静に考えると、これは
「犯罪」ですよね?
男性に無理やり車に乗せられるなんて・・・
女性社員はどれほどの恐怖を味わった事か・・・。

私達の配慮が不足していたと思います。
私の個人的な感想ですが、
基本的に宗教団体へ営業に行って
イヤな思いをした事は一度もありませんでした。

むしろ好感を覚えることが多かったくらいです。
しかし、この宗教団体Dだけは・・・・別でした。
営業に行けば、間違いなく何かしらのトラブルになっていました。

そうは言っても、
宗教団体Dの一部支部?はすでに、
我がブラック企業のユーザーになっていましたので、
こういうトラブルが合っても、
そう邪険に扱う事も出来ませんでした・・・。
宗教団体Dもそれを承知の上で、
こういう無茶をしたのかもしれません。
営業会社の弱い所ですね。
さらなるトラブル
宗教団体Dによる「女性営業マン拉致事件」の後、
密かに、宗教団体Dへ怒りの闘志を燃やす男がいました。
女性営業マンの同期だった、
マルくん(アルバイト23歳)です。

マルくんと女性営業マンと他数名は、
大学卒業後、何を血迷ったか
我がブラック営業会社に新卒で入社してきた強者です。
入社した理由はわかりません・・・・。
入社後、他数名の新卒社員は
「この会社はおかしい!」と気付き、

即退職。
(・・・・・・正解。)

女性営業マンは有能で成績も良好でしたが、
一方のマルくんは営業成績が悪く、
頻繁にクレームを起こすので、
部長が怒って
たしか3ヶ月程で「アルバイトに降格」させられていました。

マルくんは好青年なのですが、
良く言えば「・・天然?」
悪く言うと・・・・・いや、
ここで、
マルくんの事がわかるエピソードを一つご紹介させて下さい。

マルくんと同行営業の話
あれは・・・・・
マルくんがアルバイトに降格させられる少し前の事です、
部長が「マルを営業に同行させてくれ。」と言うので、
私がマルくんを連れて営業先に向かった時の事です。
営業成績の悪い営業マンは
「先輩と同行営業に行って勉強しろ!」と言われるのです。
その時、ちょうど社用車が出払っていたので、
私のマイカーで営業先に向かうことになりました。

お昼過ぎにアポが入っていたので、
2人で車の中でコンビニ弁当を食べました。

そしてマルくんは弁当を食べ終わると、
無言で「私の車のゴミ箱」に食べ終わった弁当箱を
ガサガサと突っ込んだのです。

(そんなバカな・・・・。)
私は焦って、
マルくんに「だめだよー」と注意をしました。

食べ終わった弁当はコンビニのゴミ箱に捨てれば良いし、
車に捨てると弁当臭くなる!
そもそも仮にも先輩のマイカーに弁当を捨てるっていうのは
社会人としてどうなんだろうか?
というような、ダメな理由を説明しても、
マルくんは(えっ?なんで?)という顔をしていました。

これは・・・・私が神経質すぎたのでしょうか?
まぁ・・・とにかく
マルくんは・・・・そういう子なのです。
彼がクレームを起こす度に、
私はこの出来事を思い出していました。

彼は致命的に人に対して
「配慮が欠けている」ように私には思えたのです。
しかし、
宗教団体Dによる「女性営業マンの拉致事件」を耳にして、
同僚の営業マン達が
(なぁーんだ)という配慮に欠けた反応をする中で、
社内で唯一顔を真赤にして怒っていたのはマルくんでした。

マルくんは優しい男なのです。
女性営業マンとマルくんは「同期」という事もあり、
とても仲が良かったのを覚えています。
彼がアルバイトに降格されても会社に残り続けていたのは、
この女性営業マンが居たからだったのかもしれません。

そして・・・彼が顔を真赤にして怒っていたのは
会社の誰もが知っていましたが、

まさか・・・
マルくんが宗教団体Dに喧嘩をふっかけるとは、
さすがに誰も想像していなかった事でしょう・・・・。
つづく
