無責任で間違ったカロリー制限&栄養制限ダイエット法が寿命を縮める!|マネブ

マネブNEWS:〔2017.02.22〕出張ついでにガシャポンやっちゃう? 世界最大級の 現在の記事数:228766件

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無責任で間違ったカロリー制限&栄養制限ダイエット法が寿命を縮める!


「Thinkstock」より

 これまで本連載では、たんぱく質栄養のレベルの低いことが健康リスクを高めることを強調してきた。そして40~50代の働き盛りの日本人は、老化耐性が低いたんぱく質栄養レベルのため、将来の要介護リスクが高いことも示した。超高齢社会の日本にとって極めて深刻な事態である。

 このような情報はなかなか表面化することはない。メタボ対策情報が健康パラダイムの中核を成しているためである。そしていつしか、栄養状態が良いことは健康リスクを高めてしまうという誤った観念が定着してしまった。この良し悪し論はともあれ、カロリーオーバーによる肥満は多くの疾患リスクを高めてしまうのは事実であり、肥満が気になる中高年が多いのも確かである。そこで今回は、正しい肥満改善の手立てについて老化研究の知見を加え整理してみる。

 ところで、肥満は食事から摂る各種栄養素全般の過剰摂取の結果として捉えてはならない。厚生労働省が5年に1度発表する「日本人の食事摂取基準(2015年版)」というガイドラインがある。そのなかで、カロリー(エネルギー)摂取量の過不足はBMI(体格指数:体重kg/身長平方m)で評価し、その他の栄養摂取量の過不足は摂取調査して評価するよう指示している。

 すなわち、BMIが高い、いわゆる肥満はカロリー摂取の過多の反映と規定している。肥満とは、個別の栄養素摂取が総じて過剰なことに起因しているのではなく、カロリーの過剰摂取によるものである。したがって、カロリー摂取過多で肥満になってしまっても、個別の栄養素でみれば栄養失調なことはよくある。

 ダイエットチャレンジャーの多くは、主要栄養素の摂取を同時に減らして減量する誤りを犯している。ダイエット本が氾濫しているが、肥満は年齢により手立てが大きく異なることはほとんど説明されていない。

カロリー制限で老化が加速のおそれ

 老化研究の視点を加味するとこうなる。まず、筋肉と骨格に老化による衰えが見られない20~30代は、カロリー摂取のみを体格に合わせて適正に持っていくアドバイスに従えば基本的にOKである。具体的には主に炭水化物(糖質)と必要があれば脂質の摂取量を適正にすればよい。日本人の平均的食事では、カロリー摂取の55%程度は炭水化物(糖質)、25%は脂質だからである。多様なたんぱく質食品(肉、魚、卵、乳類など)や各種ビタミン・ミネラルの源である野菜、果物はしっかり摂る。 もしこのときにたんぱく質とビタミンの摂取を同時に減らした場合、骨格筋も落ち基礎代謝が低下するため、糖質の摂取適正化による減量効果は大きく損なわれてしまうので要注意である。今流行の糖質制限食は、20~30代の肥満の改善には合理的だ。

 ところが筋肉骨格系に老化が明瞭にあらわれる40歳以降では、話は大きく変わってくる。一般的に40歳から70歳までの30年間に、食事量は概ね25%減る。そして30歳から70歳までの40年間に、骨格筋は10年ごとに約5%ずつ減少してゆく。人生後半、食事量が減るのにもかかわらず、体はふっくら太って肥満体型になってしまう。この体型の変化は、老化に伴う筋肉の減少による基礎代謝の低下によって起きる。

 シニア世代では、カロリー摂取の過剰による肥満は稀である。老化による筋肉骨格系の衰えが原因の軽度肥満のシニアにカロリー制限を課すと、老化を加速させてしまう。この機序背景を知らずダイエットを勧奨する無責任情報があまりにも多い。40代から食品摂取の多様性を確立し、家事作業と週2日程度の1時間の運動習慣が最も安全である。食品摂取の多様性は、10食品群チェックシート(この名称で検索すればインターネットで入手可能)が有効である。

国や地域ごとの事情を考慮すべき

 先ごろ、アカゲザルのカロリー制限に関する2つの研究成果が話題を呼んだ(Nature communications,論文番号14063.1/17.2017)。生涯自由食のグループと中年から30%カロリー制限のグループを設定し、30年近く比較追跡したところ、30%カロリー制限グループが長命で生活習慣病リスクが低かったとの成果である。当初、米ウイスコンシン大学(効果あり)と米国国立老化研究所(効果なし)の研究結果が異なっていたが、再解析の結果、見解が一致したという。

 簡単にまとめると、人間の成長期に当たる早期からのカロリー制限には、健康効果はみられないが、20~30代からのカロリー制限に絞り込み解析すると、健康効果ありとなるようだ。しかし、老化の抑制効果を確認しているわけではない。この研究成果をもとに「カロリー制限はどの年齢でも健康効果あり」とメディアは書き立てる。

 そもそもこの実験のカロリー30%制限グループは、人間の規則正しい食生活に近似したカロリー適正摂取グループと理解するのが正しい。人間にとって、社会生活は食事に制限を加えるリズムを有している。ウイスコンシン大の実験では、自由食グループの体重はカロリー制限グループより40%程度多い。いかに自由食グループがカロリー摂取過多かがわかる。この論文の正しい理解はこうだろう。「老化が顕在していない20~30代からのカロリー適正化による肥満の予防は、余命に好影響を及ぼすかもしれない」

 この動物実験は、カロリー過剰摂取の有害性を示しているのである。もっとも米国では、成人国民の30%以上(年齢調整推計値)がBMI30以上である。糖質、脂質カロリーの超過剰摂取の肥満超大国の国民は、この実験の自由食グループに相当するかもしれず、この動物実験の価値はそれなりにあるといえる。

 米国人には適した研究成果かもしれないが、日本人のカロリー摂取は比較にならないほど少ない。日本ではこの20年間、カロリー摂取量は減り続けている。その結果、女性のBMIは低下傾向である。しかし男性のBMIはやや増加傾向である。日本人に男女異なる食事をする習慣はない。男性のBMIの増加傾向は、生活活動や運動量の減少によるものと容易に推定できる。

 カロリー摂取に関連する健康問題を取り扱った動物実験の研究成果の価値は、その国や地域の栄養事情によって決まるのである。ライフスタイルへの外挿には十分注意を要する。(文=熊谷修/人間総合科学大学教授)

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引用元:ビジネスジャーナル

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