平原が7度目G1制覇 全日本選抜 【取手】
取手競輪で熱戦を展開した被災地支援G1第32回全日本選抜(優勝賞金3000万円)は19日、最終11Rで決勝戦が行われ、平原康多(埼玉=34歳、87期)が俊敏な立ち回りで7度目のG1制覇。年末に平塚で行われるグランプリ出場切符を一番乗りで手にした。2着は平原マークの武田豊樹(茨城)が入り、3着は新田祐大(福島)。S級S班が上位を独占した。4日間の車券売上額は93億7903万0800円だった(目標額は100億円)。
■ヒーロー 東の横綱だ!平原時代到来の予感
競輪界にも“新横綱”が誕生だ。昨年11月の競輪祭に続いて、平原康多がG1での2場所連続優勝を飾った。ゴール直後、稀勢の里の故郷・茨城の夕暮れ空に突き上げられた拳は、平原時代の到来を感じさせた。
簡単なレースではなかったが、判断力で乗り切った。前受けの平原に、外からフタをしてきた三谷が打鐘で踏み上げたときだ。「三谷君の後ろを見て確認したところ(三谷-稲垣、和田、浅井と並んでおり)浅井君のところまで引いても仕方がないと思った。(考えを)切り替えた」。一気に仕掛けるレース前のプランを変更し、インで粘って三谷マークの稲垣と競り合うことを決断。何とか終1半で三谷の番手を奪った。しかし肉弾戦が長引く間に、HSからスパートした新田にBSで抜け出されてしまった。「死ぬ気で抜きに行かないと、後ろにもチャンスはないと思った」。BSで三谷を抜き去り、最後の力を振り絞る新田を残り30メートルで捕らえると、自らを追走していた武田も振り切った。
昨年のこの大会では、初日に失格。その後も落車で調子を落とすなど、競輪祭決勝までGP切符を確定できなかった。それが今年は2月に権利をゲットして「まさかのG1一番乗りです」とおどけた。さらには「武田さんと連日ワンツー。今日は勝ってしまったけれど、いいレースができたと思う」と人なつっこい笑顔で取手の死闘を振り返った。
脚力、技術、判断力、精神力と、全ての面で高いレベルを発揮した。185センチ97キロと、体格も横綱級だ。特別戦線でどれだけ強さを見せつけるのか-。今年の競輪界は、平原を中心に回る。 (野口)
◆平原 康多(ひらはら・こうた)1982年6月11日生まれ、34歳、87期。埼玉県狭山市出身。2002年8月に西武園競輪場でデビュー。09年6月に高松宮記念杯で初めてG1優勝。通算のG1優勝は7回。通算成績は1011戦296勝。2着207回、3着108回。通算獲得賞金は9億4199万1200円。身長185センチ、体重97キロ、血液型A型、師匠は平原康広(28期=引退)。
■決勝戦VTR
平原-武田-諸橋-神山、新田、浅井、三谷-諸橋、和田で周回。
残り2周を前に、三谷がじわじわと上昇。前受けの平原は簡単に車を下げず、打鐘すぎに三谷後位へ切り込む。稲垣をどかしに出るが、稲垣も懸命に抵抗してラスト1周では三谷後位は平原と稲垣が並走。最後方に下げていた新田がHSから一気に捲ると、稲垣を競り落とした平原が俊敏に新田を追う。武田に、2角踏み上げた浅井が続き、直線で鋭く伸びた平原が新田をかわしてVゴール。地元の武田が詰め寄って、関東ワンツー。
■戦い終わって
武田豊(2着)平原君が勝つ競走をしてくれてチャンスはあったが、うまく脚がたまらなかった。地元G1で、いい緊張感の中で走れた。仲間の平原君が勝ってくれたし、素直に、おめでとうございます、という気持ち。
新田祐(3着)勝負できる場所で勝負はできたが、あの展開で2人にかわされたのは、自分に力がない証拠。平原さんとの力の差を感じた。
浅井康(4着)自分なりには頑張ったつもりですけど…。すぐ地元記念があるので、また頑張ります。
諸橋愛(5着)武田さんに付いていけていれば、最後はいい勝負ができたと思うが…。最終BSで稲垣君に絡まれて、踏むタイミングを失敗した。
和田健(6着)ある程度は、近畿の後ろにいようと決めていた。もう少し見せ場を作れればよかったが、それほど力の差を感じることもなかった。
神山拓(7着)道中でいろいろな選手に何度も絡まれて苦しかった。ただ、確実に調子は上がっているので、またこういう機会を増やしていきたい。
三谷竜(8着)先行するつもりだったが、新田さんに簡単に行かれてしまったので…。また次、頑張る。
稲垣裕(9着)三谷君に全て任せていた。粘られたのは仕方ないが、もう少し抵抗できればよかった。今後もこういうレースが増えると思うし、今回の反省をしっかりと生かしたい。
=2017/02/20付 西日本スポーツ=
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