文部科学省による組織的な再就職あっせん問題で、同省は21日、政府の再就職等監視委員会が国家公務員法違反の疑いがあると指摘していた再就職などの事案28件のうち、17件が同法違反だったとする調査の中間まとめを公表した。1月に辞任した前川喜平前事務次官を含む職員16人が違法行為に関わったと認定。同省は今後処分を検討する。
監視委は指摘した全38件のうち、早稲田大教授に再就職した元高等教育局長の事案を含む10件が同法違反だったと既に認定しており、今回の文科省の調査で違法行為は計27件になった。松野博一文科相は21日の閣議後の記者会見で「規制への認識が十分でなく、順法意識が欠けていた。再発防止に向けた意識改革に取り組みたい」と述べた。
文科省が新たに同法違反と認めた17件は、同省職員が現役職員の再就職希望を、仲介役だった人事課OBの嶋貫和男氏(67)を介して大学などに提供するなどした事案。人事課以外の幹部職員が、大学などから寄せられた求人依頼を嶋貫氏に伝えた案件もあった。
17件の関係先には、上智大、青森大、岐阜大などの大学が含まれる。
中間まとめは歴代人事課長ら幹部職員について、事態を防止する職責を果たせなかった責任があるとも指摘した。
監視委の今年1月の指摘を受け、文科省は省内に弁護士らを含む調査班を設置。これまでに職員やOB、関係法人など計65人と25団体からヒアリングしたほか、職員のメールも調べた。さらに全職員やOB計約3500人への調査を進めており、3月末に最終報告をまとめる方針。