パリ・カフェ散歩⑥映画『北ホテル』の舞台 「オテル・デュ・ノール」、サン・マルタン運河沿いの下町情緒に触れる
2017年02月16日
若者中心のトレンドスポットとなって久しいサン・マルタン運河界隈。運河沿いにはおしゃれなブティックやビストロ、カフェなどが次々とオープンしにぎやかなエリアとなったが、そんななか、昔の姿そのままに静かなたたずまいをみせるオテル・デュ・ノール。1938年、マルセル・カルネ監督による映画「北ホテル(HOTEL DU NORD)」の舞台となった趣きある建物だ。昔は、映画と同様にオテル・デュ・ノールという名でホテルとして営業していたが、建物の老朽化により取り壊されることになった際、地域住民から保存を望む声が多く、1995年、レストランカフェに改装された。現在は、マルセル・カルネ監督のアシスタントで、「北ホテル」にも出演していたジェームズ・アルシュがオーナーとなっている。
当時のままの美しい床のタイルを残している店内は、ホテルのロビーとして使われていた。レストランには、本棚が配置され、ソファ席はゆったりとしたスペース。テラスもあり、サン・マルタン運河を眺めながらくつろげる。水の流れを追っていると、ふと映画のなかにワープしたような不思議な感覚にもとらわれる。
伝統的なフランスの家庭料理が味わえる食事は、ランチコースが13.5ユーロ、ディナーのアラカルトは18ユーロから。古きよき時代の下町情緒あふれる雰囲気のなか昔ながらのブラッセリー料理が楽しめる。週末のディナーにはタンゴやジャズ、クラシックなどのコンサートも行われており、混むので予約をしたほうがよい。カクテル類も種類が豊富で、夜はカウンター周辺がバーとしても機能する。ワインを温めたヴァン・ショーやモヒートはいつの時代も変わらぬ人気。運河沿いの散策に疲れたら、入り口付近のカラフルなタイルのテーブルがかわいいカフェ・スペースでひと休みしたい。
オテル・デュ・ノール
HOTEL DU NORD
住所 102 quai de Jammapes 75010 Paris
☎ 01 40 40 78 78
12:00~15:00 (カフェは9:30~13:30)
無休
メトロ 5番線 Jacques Bonsergent
http://www.hoteldunord.org/