革マル派アジトから警視庁人事資料 他セクトの情報も 水面下で活発に情報収集活動
革マル派幹部が偽名で住宅契約を更新していた事件をめぐり、警察当局が革マル派アジトを家宅捜索した際、警視庁の人事情報が記された資料が押収されていたことが20日、捜査関係者への取材で分かった。革マル派はかつて警察無線を盗聴するなど捜査当局の動向を監視していたが、現在でも活発に情報収集活動を展開している実態が浮上した。警察当局は押収した資料を分析し、組織の全容解明を進める。
警視庁と神奈川県警は1月10日、幹部の60代の男が偽名で賃貸契約書を作成して不動産会社に提出したとされる事件をめぐり、有印私文書偽造・同行使容疑で、東京都葛飾区の非公然部隊「情報調査部」(INF)のアジトと、神奈川県の関係先を家宅捜索した。
捜査関係者によると、この捜索でアジトから押収された証拠品の中から、警視庁の人事情報が見つかった。情報は複数年にわたって継続して収集されていたとみられ、過激派の捜査を担当する公安部幹部の異動経歴なども把握していたもようだ。
また、対立する他セクトの情報を収集していた実態も確認。派内で植田琢磨=本名・新田寛(ひろし)=議長(70)が幹部を更迭したとみられる証拠も見つかるなど、革マル派が現在もなお水面下で活発に動き続けている様子が判明した。
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■革マル派 昭和38年に黒田寛一前議長(平成18年死去)のもとで結成された過激派。正式名称は「日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派」。自派以外は革命の敵ととらえる「革命党唯一論」に立脚した闘争に力点を置いており、昭和50年代には他の極左勢力と激しい内ゲバを繰り返した。現在は市民団体や企業労組への働きかけなどを通じ、水面下で勢力拡大を図っているとされる。