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 福島県は20日、東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした甲状腺検査で、昨年10~12月に新たに1人ががんの疑いとされ、計185人になったと発表した。手術を受けてがんが確定したのは計145人で、昨年12月末時点と変わらなかった。県の検討委員会は「これまでのところ被曝(ひばく)の影響は考えにくい」との立場を変えていない。

 甲状腺検査は、2011年秋から13年度までの1巡目(先行検査)、14~15年度の2巡目(本格検査)が終わり、今年度からは3巡目(本格検査の2回目)に入っている。2巡目の結果がほぼ出そろったことから、検討委は、被曝の影響を含め、1巡目と2巡目の結果をより専門的に検討する評価部会を5~6月ごろに再開することを決めた。

 県は約3カ月おきに最新の検査結果を発表している。がんかがんの疑いがあるとされた185人の内訳は、1巡目が116人、2巡目が前回発表より1人増えて69人で、3巡目ではまだ報告されていない。1巡目では、102人が手術を受け101人ががんと確定、1人は良性腫瘍(しゅよう)だった。2巡目では、手術を受けた44人でがんが確定した。

 昨年6月の発表では事故当時5歳だった1人ががんと診断されたが、それ以降の発表では5歳以下はいない。

 被曝の影響が考えにくい原因として、検討委はチェルノブイリ原発事故に比べて福島県民の推定被曝量が少ないことや、がんが多発した5歳以下にほとんど発生していないことを挙げている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(奥村輝)