トランプ大統領になった米国は、これまでに見たことも聞いたこともない新たな資本主義を作ろうとしている。トランプ大統領はインテル、フォード、ボーイング、GM、フィアット、クライスラーといった米国企業の最高経営責任者(CEO)に次々と会い、投資や雇用創出の約束を取り付けている。外国企業を脅すことにもためらいがない。その代わりに法人税の減免と規制緩和という「ニンジン」も見せる。「新官治」「縁故資本主義」との批判も高まっているが、株式市場は過去最高値の株価更新でこれに応えている。
韓国の競争相手となる国々は、政府と企業の協力関係構築に余念がない。雇用創出は結局、企業の取り分になるからだ。しかし、韓国は「崔順実(チェ・スンシル)国政介入問題」で「政経断絶時代」に入っている。違法な政経癒着をなくし、法の下に裁かれなければならない。しかし、産業の競争力と雇用創出のための政府と企業の協力関係まで断ってしまっては困る。韓国の時計の針はこのところ逆回転しているようだ。他国は競い合うように法人税を引き下げているのに、韓国政界は法人税引き上げを公約で競い合っている。ギリシャを破たんに追いやった「税金による公共部門増加」が雇用創出の特効薬に化けてしまった。
韓国に高度成長をもたらした大企業は街頭でも、政界でも、検察でも「諸悪の根源」のように糾弾されている。安全保障も経済秩序も大転換期という嵐の真っただ中だ。「漢江の奇跡」を次の世代に引き継げるのか、それとも水の泡にしてしまうのか。韓国は今、岐路に立たされている。