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重症ぜんそくの95%が誤診!治療で殺されないための患者学

木原洋美 [医療ジャーナリスト]
2017年2月20日
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(写真はイメージです)

2月20日は「アレルギーの日」。アレルギーといえば、花粉症や食物アレルギーを想像する人が多いが、かつて深刻なアレルギー疾患といえば、「ぜんそく」だった。発作を起こした患者は猛烈に苦しみ、最悪な場合、死にも至る病だからだ。現在、薬物治療が進化し、多くのぜんそくはコントロールが可能な病気となった。ところが、医師の中には、きちんとした診断ができず、「重度なぜんそく」については95%が誤診とされている。その実態について、アレルギー治療に強い医療機関として全国的に知られる相模原病院アレルギー科の谷口正実医師に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

副作用による骨粗しょう症で
亡くなる人は少なくない

 (可哀そうに、まだ若いのに、こんなになるまで…)

 谷口正実医師(アレルギー科、呼吸器内科)は眉をひそめた。

 「重症のぜんそく」で、地方病院から国立病院機構 相模原病院に紹介されてきたその女性(20代)は、車イスに載せられ、老婆のように生気がなかった。不自然な肥満体、脊椎(背骨)が折れており、腰痛がひどい。咳込むたびにきしむ肋骨には、ヒビが入っている可能性がある。

 強力なステロイド剤の内服を長期間続けた結果、副作用による重度の骨粗鬆症に陥っていた。肥満も、典型的な副作用の症状だ。

 しかも谷口医師の診立てはぜんそくではなく、「VCD(ボーカル・コード・ディスファンクション)=声帯機能不全」、自分の意志とは関係なく「声帯が閉まり、呼吸困難を起こす」という病気だった。

 聴診器をあてると、ぜんそく患者と同じようにヒューヒューと音がする。このため、「重度のぜんそく」と誤診されてしまったようだ。

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木原洋美 [医療ジャーナリスト]

きはら・ひろみ/宮城県石巻市の漁村で生まれ、岩手県の山村で幼少期を過ごし、宮城県の穀倉地帯で少女時代を送る。明治学院大学在学中にコピーライターとして働き始め、20代後半で独立してフリーランスに。西武セゾングループ、松坂屋、東京電力、全労済、エーザイ等々、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わる。2000年以降は軸足を医療分野にシフト。「常に問題意識と当事者感覚を大切に取材し、よ~く咀嚼した自分の言葉で伝え、現場と患者の架け橋になる」をモットーに、「ドクターズガイド」(時事通信社)「週刊現代 日本が誇るトップドクターが明かす(シリーズ)」(講談社)「ダイヤモンドQ」(ダイヤモンド社)「JQR Medical」(インテグラル)等で、企画・取材・執筆を深く、楽しく手掛けてきた。2012年、あたらす株式会社設立(代表取締役)。2014年、一般社団法人 森のマルシェ設立(代表理事)。森のマルシェでは、「木を遣うことが森を守ります」の理念を掲げ、国産材の樽で仕込む日本ワインやバルサミコ酢の開発等、国産材の需要を開拓する事業に取り組んでいる。


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