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 朝5時過ぎ、標高541メートルの強羅(ごうら)駅に「ヒュー」と寒風が吹き渡る。駅裏の豆腐店「箱根銀豆腐」で、小宮山功(いさお)さん(73)がなみなみと水が入る器に豆腐の塊を入れ、均等な5本に切り分けた。5時23分、「ピー」と車掌が笛を吹いた。乗客のいない始発が静かに走り出し、箱根湯本へ。銀豆腐は旅館やホテルに出来たての豆腐を届けた。

 小田原市方面への通勤・通学の時間帯を過ぎると、日中の神奈川県箱根町強羅は観光客でどっとにぎわう。箱根各地の2月はかつて閑散期だったが、近年は春節の中国人らが大挙する。

 銀豆腐の引き戸が開いた。アジア系の男女がのぞき込み、食べるまねをした。「しゃくり豆腐だね」と小宮山さん。ホカホカの豆腐をカップに盛りつけ、「最初はこのまま食べる。次にこのしょうゆをかけてね」と手ぶりも見せた。「5年くらい前に、うちが台湾の雑誌に出たらしい。中国や台湾の人はスイーツ感覚で食べてくれる」。1品210円の強羅名物だ。

 2015年5月、火山活動で地…

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