AV業界は狭い
AV業界は揺れている。たとえば昨年7月、2013年の9月と10月に神奈川県内のキャンプ場での野外AV撮影行為をしたとして、公然わいせつや同ほう助の疑いで、大手AV制作会社「CA」社長と出演女優9人、男優24人ら計52人が書類送検される事件があった。また今年1月、無修正動画を配信する老舗アダルトサイト「カリビアンコム」に日本で撮影したわいせつな動画を台湾とアメリカを経由して配信していたとして、都内の映像制作会社の社長ら6人が逮捕された。
そして、女優の出演強要問題。昨年6月、大手AVプロダクション・マークスジャパンの元社長ら3人が労働者派遣法違反容疑で逮捕された。逮捕容疑は、詳しい説明をしないまま「グラビアモデル」としてマークスジャパンと契約した女性にAV撮影の仕事を振り、出演を拒否すると「違約金を払え」「親に請求書を送る」などと脅して5年間で100本以上のAVへ出演させたというものだった。
一方で、名前も顔も売れている単体AV女優たちは「無理やりとかない。同意して、撮影する前にもちゃんと自分でサインする」「無理やりAV出演とか、いつの時代の話ですかー? なりたくてもなれない女の子もいるってーのに」と強要被害などないと主張。マークスジャパンの系列事務所に所属する初美沙希は、この事件について「色々知っている」とし、被害を訴える女性が「今の彼氏に『あの時は無理矢理やらされてただけなの!』って変な言い訳したら、その彼氏が『なら警察行って作品消させろ!』って騒いで」と、嘘をついていると指摘し「これが真相だ」とした。
AV業界に、今、何が起こっているのか。messyはこれまでAV男優やエロメンのインタビュー取材をおこない、アダルト動画サイトのランキングやAV作品レビューを掲載してきた。そこで働く彼ら、彼女らが不利益を被るような仕組みが存在するとしたら、是正されるべきだと考える。そこで今回、AV業界でスタッフ・キャストとして少し前まで働いていた女性たち(元大手AV制作会社社員、フリーランスのヘアメイクとして数々の現場で女優のメイクを担当する女性、元企画単体AV女優)の声を聞いた。
<追記>
記事公開後、「やはり個人を特定される危険性があり、公開を中止してほしい」という座談会出席者の要望がありました。そのため元記事の公開は(後編を含め)2月19日をもって停止いたします。
しかしAV業界内に、そこで働く人々が疲弊するような仕組み(男女問わず体調を壊す長時間労働や低賃金)があり、「好きの搾取」が常態化していることについて、改善の必要性があることは確かです。
また、女性へのAV出演強要問題について、元女優サキさんは「現場の人もプロダクションも、女の子が『イヤーやめてー!』って泣き叫んでバタバタしてめっちゃ抵抗してない限りは強要じゃないって思ってる」と言い、元制作会社社員りほさんも「現場は強要しているという認識がない」と明かしていました。内容をよく知らされずに撮影現場に連れてこられた新人女優さんが、断りたい撮影内容だったとしてもその場で「こんなこと出来ません」とはっきり意思を示すことは難しいということです。
AVに限らず、「嫌なことでも我慢してやるのが仕事だ」という共通認識がある現場は多いのではないでしょうか。これはAV業界だけの問題ではなく、私たちの仕事観、労働観が問われているのではないか……そう痛感する座談会内容でした。今後も取材を重ねていきたいと思います。
(構成・水品佳乃)