煙が噴き出す倉庫3階南側の窓に放水する消防隊=埼玉県三芳町上富で2017年2月19日、橋本政明撮影
埼玉県三芳町の事務用品通販会社「アスクル」の物流倉庫で起きた火災は、発生から丸3日が過ぎた19日夜も消火に難航した。建物の広さに加え、火災の影響による倒壊の恐れもあり、鎮火のめどは立っていない。近隣住民が避難するなど周辺にも影響が出ている。
県によると、19日午後5時時点での焼損面積は、東京ドームの面積とほぼ同じ約4万5000平方メートルに達した。
入間東部地区消防組合消防本部などによると、火災は16日午前9時10分ごろ、鉄骨造3階建ての物流倉庫(延べ床面積約7万2000平方メートル)の1階段ボール置き場で発生し、2、3階に延焼した。当時、倉庫内では400~500人が作業しており、男性従業員2人が煙を吸うなどして重軽傷を負った。
消防は17日、倉庫の壁に重機で穴を開けて外からの放水を開始。しかし壁には窓などの開口部が少なく、内部の面積が広いこともあり、消火が難航している。建物が倒壊する可能性があるため中に入っての消火活動もできない状態だ。
19日午前0時15分ごろには倉庫内で2度の爆発音があり、三芳町は付近の3世帯7人に避難勧告を出した。2世帯6人が公民館に避難。消防は、倉庫に保管されていたスプレー缶などに引火したことが爆発音の原因とみている。
アスクルによると、倉庫内にはスプリンクラーなどの防火設備が設置されているという。県警と消防は今後、設備が正常に作動したかを調べる。
倉庫の南約100メートルに住む女性(74)は「倉庫から黒煙が押し寄せ、窓を閉め切っても煙の臭いがする。眠れない日が続き、普段の生活ができない」と話す。同社は19日、「近隣の方々をはじめ多くの皆様にご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」とのコメントを出した。【遠藤大志、三股智子、橋本政明】