(はな)
昭和37年6月になりました。
高校3年生のさくらは東京の美術の大学を目指して頑張っています
(さくら)先生が独特でびっくりするほど厳しいけどやってる事は楽しいよ。
(紀夫)頑張りなさい。
(すみれ)お父さんもお母さんも応援してるよ。
ありがとう。
・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」
(さくら)こんなん描いてみたんやけど。
(君枝)すてきやない!
(良子)いいねぇさくらちゃん。
目がキラキラしてるわ。
そう?
(君枝)あっ健太郎お帰り。
(健太郎)ただいま。
(4人)あっ健ちゃんお帰り!健ちゃんはやっぱり国立よね?まあ…。
(千代子)東京?
(君枝)まさか!一人息子よ?
(文)それやったらやっぱり…。
(時子)京都!
(君枝)京都やったらうちからも通えるし…。
(一同)はぁ〜!ほんまに東京へ行くのか?うん。
東京には神戸や大阪にないものがたくさんある気がするの。
そういう所に自分を置いて感性を磨きたい。
(龍一)5月に日本を出た堀江謙一さんがついこないだサンフランシスコに到着したそうや。
俺も冒険したい。
大学をやめよう思う。
ちょっと…勝二さん。
勝二さん!
(勝二)寝言は寝てから言え!アホか!龍ちゃん大丈夫?
ある日の事です
(喜代)忠さん?
(忠一郎)ご無沙汰しております。
ただい…ま。
喜代さん。
残りの人生わてと一緒に冒険の旅に出ませんか?
(喜代)えっ?
(忠一郎)旦那様が亡くなってしもうてどう生きようかって…。
悩んでた時になこれ見て。
若者がたった一人でアメリカに渡ったニュースを知ったんや。
大冒険やろ?大冒険ですねぇ。
何か勇気が湧いてきたというか…。
喜代さんは自分のこれからの事をどういうふうに考えてる?若くしてお亡くなりになったはなさんの思いがゆりお嬢様すみれお嬢様さくらお嬢様につながっていくようにって。
お嬢様たち見事にそれぞれの美しい花を咲かせておられます。
うれしいけれど…さみしい。
お役目を…。
終えたんでしょうねぇ。
お互い残り少ない身。
共に楽しゅう過ごせませんか?考えさせて下さい。
もちろんや。
フフフッ!ほな!喜代さんがいなくなるなんて考えた事もなかったな…。
進みたい道を選んでほしい。
さくらもきっとおんなじ思いやと思う。
うん…。
しかし喜代さんからは何もないままひとつきがたちました
(足立)あっそれ下に入っちょります。
お忙しい中恐れ入ります。
何じゃ龍ちゃん。
えらい丁寧じゃのう。
俺やっぱり…冒険の旅に出たい思います。
(良子)またそんな事…!お前は…!俺は本気なんや!話を聞いてほしい…。
お忙しい中恐れ…あれ?えらいすんませんお取り込み中。
また…。
(勝二)大した事やないんです。
俺にとっては大した話や!
(良子)やめて!何やお前!聞いてくれ!本気でいろんな世界を見て自分が何をやりたいんか知りたいんや!俺はお母ちゃんを見て育った。
お母ちゃんは自分のやりたい事をやるべき事をやる人生を見つけた。
俺はそんなお母ちゃんをかっこいいって思ってる。
型紙切ってる時のお母ちゃんが一番好きや。
俺もそんなふうに生きたいんや。
何の目標も持たれへん大学生活なんて俺にとっては何の意味もないんや。
(拍手)忠さん…。
ええやないですか。
人生は一回きりや。
私も喜代さんと一緒に旅に出ようと思います。
お二人が決めた事ならどんな事でも受け入れます。
すみれ奥様…。
お二人のお話立ち聞きしてしまったんです。
私たちの中の常識を押しつけたらいけないのかもね。
(勝二)自分で責任取れよ。
はい。
(喜代)今後の事ですがさくらお嬢様が高校をご卒業になるまでしっかりお務めを果たさせて頂きます。
いいなぁ忠さんと喜代さん。
喜代さんは忠さんの初恋の人やったんですって。
(昭一君枝)へぇ〜そうなんや!
(中西)前から一つ部長に聞きたかった事があるんです。
何じゃ?
(中西)何で結婚しないんですか?そりゃあ…。
(明美)ああタケちゃんに中西君。
(二郎)いらっしゃいませ。
(栄輔)やあ。
同じので。
まだ頼んでないんやけど。
バーボンやろ。
(中西)ええ雰囲気ですね。
はぁ〜。
(中西)貸して下さい!ああ〜分かった!
(中西)えっ!?わし…わしが結婚せんのんか!明美さんがおるんじゃ〜。
え〜っ!?ゆうべ酔っ払って外でひっくり返ってたらしいやないか。
すんましぇん。
(良子)いつまでも独り身でおるからこういう事になるのよ。
誰かいい人おらへんやろか?そしたらやるか。
タケちゃんのお相手探し。
いや…。
お見合い写真集めようか。
行こう行こう。
行ってくるね。
明美さんに堂々と思い伝えたらどうです?はっ?自分で言うてましたよ昨日。
絶対に言うな。
男同士の約束じゃ。
どなたか心当たりある?
(小山)おる!うわぁ〜って人。
(悦子)うわぁ〜!
(良子)このお嬢さんはどう?いや〜美人すぎち緊張しち話がでけん。
私たちとは話してるのにねぇ。
そしたらこの娘さん。
いや〜。
この人。
いや…。
(良子)いや〜いや〜ってどんな人が好みなの?言うてみぃ。
いや〜…。
そもそもあの年まで結婚せえへんいうのは何でなんやろ?
(昭一)おかしいよな?中西君。
わしは何も知りません。
それは…知ってるいう事やな。
言うてみぃ。
言えません。
一生タケちゃんが独身でもええと思うてるのか?
(昭一)ありえるでぇ。
(中西)二郎さん。
(二郎)わしは空気です。
言うてしまえ。
部長は…明美さんが好きなんです。
えっ!?ああ!タケちゃんが!?中西君から聞いたんや。
明美さんを?間違いない。
明美さんの事が好きなんやってねぇ。
すんません。
つい言うてしもうて…。
男同士ん約束じゃち言うたじゃねえか!踏み出さな。
いやもう…。
もう!私たちが背中を押さな誰が押すのよ!あっおはよう。
おはようございます。
そしたら本店行ってきます。
あ…明美さん。
わし…今でん明美さんを幸せにしたいち思うちょります。
(二郎)今日ここに?その辺にいさせてもろてもいいかな?いやそれは…。
どんな話になるか心配やの。
(君枝)お願いします。
(良子)そろそろよ。
隠れて。
(ため息)タケちゃんうちはな…。
(二郎)栄輔さんいらっしゃいませ。
(栄輔)ああ。
(二郎)いつもので?
(栄輔)ああ。
うちはな結婚しないって決めてるんや。
物心付いた頃にはずっとお母ちゃんと2人やった。
そのお母ちゃんが亡うなった時どんなにつらかったか…。
今やったら何でもしてあげられるのに悔しいなって…。
おんなじや。
もうなくしたくないんや家族を。
ほんまにタケちゃんを必要としてくれる人を幸せにするべきや。
それはうちやない。
ちゃんと見つけな…。
潔さん。
(玉井)私ら東京に行くんです。
大手商社のKADOSHOと契約したんです。
大規模な資本提供を受けます。
(潔)ほう〜「おめでとう」はまだ早いな。
東京で成功してくれ。
その時「おめでとう」と言わせてくれ。
(玉井)そちらさんはどないです?うちはぼちぼちやりますわ。
ゴーイングマイウェイや。
(小山)大急の事務におる子で足立部長と同郷。
大分出身なんや。
真面目で気立てのええ子なんです。
タケちゃんに合うと思うのよ。
タケちゃん。
私も良子ちゃんもお見合いで結婚したのよ。
幸せいうのはうん…作っていくもの…積み上げていくものなのよねきっと。
会うちみますこん人と。
(悦子)たみ子ちゃんよ。
(たみ子)お初んお目んかかります。
足立武です。
私は勝手についてきました。
足立部長の人となりを言わな思うて。
「真面目である。
誠実である。
努力家である。
みんなから好かれている。
みんなから応援されている。
きっといい父親になる。
きっといい夫になる。
幸せな人生を送るに違いない」。
以上友人代表小野明美。
では私はこの辺で。
わしは大分にはもう戻らん覚悟でおる。
うちもこっちでしゃんと人生歩んぢいきたいち思うちょります。
そうかえ。
(良子)どうやった?真面目におつきあいしたいち思います。
(笑い声)
願書提出の時期になり…
(ノック)・
(琴子)健ちゃんお夜食よ。
(琴子)大学生になったらおばあちゃん毎朝お弁当作るからね。
健ちゃん何か悩んでる事あるの?言うてみて。
幼なじみやろ。
僕が一番行きたい大学は東京大学なんや。
そっか…。
それはなかなか言われへんなぁ。
健ちゃんは京大やったな。
はい。
ほんまは東大に行きたいの。
東大?東大?さくら…。
ええやない。
でも言いだされへんの。
大丈夫よ健ちゃん。
健ちゃんが本気なら応援してくれるに決まってる。
送り出すのも親の務め。
親やったらなぁ大海を泳いでほしいと思うもんやで。
東京大学に願書を出したいんです。
え?僕の第1志望は東京大学なんです。
応援して下さい。
東京って…!お義母様…。
応援してもらえませんか?こんなにはっきり自分の希望を言う健太郎を初めて見ました。
僕はおばあちゃんに愛されて大事に大事に育ててもらった事を一生忘れません。
頑張りなさい!はい頑張ります!
(さくら)言えた?言えた。
よかったねぇ!さくらが好きや。
私も健ちゃんの事が好きよ。
そやけどそれがどういう好きなのか…。
今は自分でもよう分からない。
でも健ちゃんは私にとってとってもとっても大事な人やから…。
そして健太郎とさくらの合格発表の日
どうやった?2人とも合格よ!2人とも合格や!
(拍手)子どもたちにそれぞれお祝いにお洋服を作らない?
(君枝)健太郎にはブレザーを作るわ。
(良子)うちの龍には…ジーパン。
すみれちゃんは?刺繍がちりばめられたワンピースがええなぁ。
(良子)すてきね。
もしもしお姉ちゃん?すみれです。
(ゆり)ああすみれ。
どうしたの?今…刺繍してたんやけど何か急にお姉ちゃんと話したくなってね。
(ゆり)お母様の事思い出したの?うん…。
どんな気持ちやったんやろなぁ…。
幼い私たちを残して…。
そうね…。
親になって初めて分かる気持ちってあるね。
会いたいね。
会いたいねぇ。
うん…。
(紀夫)我々はいつでも神戸にいます。
いつでも帰れる場所です。
みんなおめでとう。
(拍手)
(龍一)ほな次はタケちゃんや。
その人をちゃんと紹介してや。
(足立)わしん婚約者のたみ子です。
(拍手)
(君枝)結婚はいつ?
(足立)来年です。
おめでとう!
(拍手)俺は旅に出ます。
可能性を信じてくれた両親に心から感謝しています。
これ。
ありがとう。
お〜!かっこええなぁ。
お母さんが作ったんよ。
すごいなぁ…。
くれぐれも気を付けてね。
無理やむちゃはしない事。
はい。
ぴったりや。
行ってらっしゃい。
行ってまいります。
(拍手)はいさくら。
(さくら)きれい…。
お母さんは…すごいね。
その手で誰かを幸せにする事ができるんやもん。
さくら…。
育ててくれてありがとうございます。
私は…もらった人が心から喜んでくれるような想いを伝えられるような…。
そういうべっぴんを作る人になりたい。
なれるよ絶対!
(拍手)大家族やな…。
2人ねぇ。
(紀夫)さみしいか?ちっとも。
フフッ。
(紀夫)僕もちっともや。
フフッそうね。
生字幕放送でお伝えします2017/02/19(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
べっぴんさん 一週間 第20週「旅立ちのとき」[字]
すみれ(芳根京子)と長年共に過ごしてきた喜代(宮田圭子)が将来について大きな決断をする。さらにさくら(井頭愛海)たちも…。開かれる大送別会。旅立ちのときが迫る。
詳細情報
番組内容
昭和37年6月。すみれ(芳根京子)たちは、坂東家に長年仕えてきた忠一郎(曽我廼家文童)と喜代(宮田圭子)が将来について話しこむのを耳にする。さらに良子(百田夏菜子)の息子・龍一(森永悠希)も「世界中を旅したい」と言いだし…。秋になり、さくらと健太郎(古川雄輝)は大学受験の願書提出の時期を迎える。家族の期待に背き、東京の大学に行きたいという思いを抱えた健太郎は…。それぞれの旅立ちのときが迫る。
出演者
【出演】芳根京子,生瀬勝久,菅野美穂,高良健吾,蓮佛美沙子,谷村美月,百田夏菜子,土村芳,永山絢斗,田中要次,平岡祐太,曽我廼家文童,宮田圭子,松下優也,いしのようこ,伊武雅刀,中島広稀,井頭愛海ほか
原作・脚本
【作】渡辺千穂
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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