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【私説・論説室から】

市議会の待機児童問題

 自衛隊のミサイル部隊配備で揺れる沖縄県宮古島市で先月、市長選挙に合わせて市議補選があり、配備反対を訴えるママさんグループ「てぃだぬふぁ(太陽の子)の会」の石嶺香織さんが当選した。

 降りかかったのは十一カ月になる娘の待機児童問題だ。石嶺さんは昨年、保育所の申し込みをしたが、公立、認可ともいっぱいで入れず、娘をおぶって市への要請行動などに参加した。当選後、議会事務局から「子連れでは議会に入れない」といわれ、市から紹介された一時保育十一カ所と無認可六カ所をあたったところ、すべて満杯。結局、無駄な作業を求められただけだった。

 議会事務局は廊下のソファに仕切りをつくり、託児スペースをつくるという。近くで喫煙する議員もいて環境はよくないが、子供を預かるファミリーサポートの費用は市が出せるか掛け合ったところで市幹部が待ったをかけた。「市になんとかしてくれというのは筋違い」というのだ。振り出しだ。

 「自治体には保育の義務があります」と石嶺さん。子連れで議会傍聴に来る人や将来のママさん議員のために、市が一時保育する条例案の検討を始めた。国会をみると、橋本聖子参院議員の出産をきっかけに衆院第二議員会館地下に都の認証保育所ができた。永田町の待機児童問題さえ解決すれば一件落着なのか。女性活躍社会の看板が泣く。(半田滋)

 

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