【社説】サムスン電子副会長逮捕、裁判所は冷静な判断を

 今後これらの問題は法廷で争われるわけだが、まず捜査に便宜を図るための逮捕はただちに有罪を意味するわけではないため、法廷での有罪判決とはその意味合いが全く異なる。そのため今後の裁判では双方とも推定ではなく疑いを晴らすに足る合理的な立証が必要だが、とりわけ上記の安被告の証言、つまり李容疑者が大統領府に「特別な計らい」を要請したのが事実かどうかが大きな争点になりそうだ。

 この事件の発端は朴大統領が複数の大手企業に資金を拠出させ、財団を立ち上げようとしたことにある。ただしこれは朴大統領の側から企業に持ちかけた話であり、企業側が朴大統領に何らかの計らいを求めて会うことを要請したわけではない。そのため企業側としては資金を拠出させられた上に、今回の問題ではさらに批判を浴びているのだから当然やりきれないだろう。しかしサムスンに関して言えば、朴大統領の要請を受けて乗馬協会を支援したのが事実だとしても、それが結果として崔順実被告に巨額の資金を提供する形になったのは間違いない。そのため普通に考えれば「大統領の要求があっただけでここまでやるのか」という疑問も持たれるかも知れない。ただこれは権力者の顔色をうかがうしかない企業の宿命でもある一方で、国民が企業に対して「政経癒着」というイメージを持たせる理由の1つでもあるだろう。

 いずれにしても世界で年間400兆ウォン(約40兆円)を稼ぎ出す韓国最大の企業のトップが逮捕されたことは重大な問題だ。もちろん経済問題が深刻化するからといって、罪をなかったことにするわけにはいかないし、また財閥のトップだからといって、全ての罪を一身にかぶるわけにもいかない。裁判所の冷静な判断が待たれるところだ。

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