政府は19日午前、2030年代の原発稼働ゼロを目指す「革新的エネルギー・環境戦略」について原文の閣議決定を見送った。古川元久国家戦略相が閣議後の記者会見で明らかにした。原発ゼロ方針に反対する経済界や原発の立地自治体などに配慮した格好だ。
閣議決定した文章では「今後のエネルギー・環境政策については『革新的エネルギー・環境戦略』を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との表現にとどめた。
古川氏は「実際の政策決定プロセスを見据えたもので、内容を変えたわけではない」と強調。そのうえで「確かな方向性に向けて足元から一つ一つ具体的な政策を詰めていくことが極めて重要で、それが最終的に2030年代に原発ゼロが可能になる状況を作っていくものになる」との認識を示した。
原発ゼロ戦略については18日の国家戦略会議で、民間議員である経済同友会の長谷川閑史代表幹事が反対を表明していた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕