国産F-3ステルス戦闘機は日米欧共同開発、世界販売か?
自衛隊の次期主力戦闘機は入札方式
防衛省は2016年7月に次期主力戦闘機の開発製造について入札を準備を開始した。最終的な選定は2018年夏になる。またF-3の就役は2028年を予定している。
応札企業としては、三菱重工(日本)、ボーイング(アメリカ)、ロッキード・マーチン(アメリカ)、BAEシステムズ(イギリス)が候補になっている。
なぜ入札なのか?
防衛省は次期主力戦闘機入札について、国産、輸入とも明言はしていない。しかし、第6世代戦闘機は日本のF-3とアメリカのF-22しかなく、そのどちらかになる。
しかしF-22はアメリカがすでに生産中止しており、生産再開の検討の動きもあるが、可能性も低い。したがって事実上、次期主力戦闘機は国産のF-3となる。技術的にも日本単独でステルス戦闘機の開発は十分可能だ。
では、なぜ入札の形式になるのかというと、開発費だけで2兆円~3兆円、運用30年の保守費用を含めると4兆円という巨額費用になるからだ。防衛省の計画ではF-3を100機調達する予定で、1機あたりの価格は400億円となる。
この高額な戦闘機は、国会、政府から批判され、F-3開発計画自体がとん挫する可能性がある。そこで、欧米のメーカーも巻き込み世界販売することで、1機あたりのコストを下げる計画を考えている。
具体的には、日本単独で100機製造する場合、1機あたりのコストは400億円となるが、日米欧の共同開発で300機製造する場合、1機あたりコストは250億円~300億円まで下がると予想される。
そんな中、2016年10月、イギリス空軍の主力戦闘機「ユーロファイタータイフーン」が来日し、自衛隊のF-15、F-2との共同訓練を行う。自衛隊がユーロファイターを購入する可能性は全くない。
では、なぜ、わざわざユーロファイターを来日させるのか?そこにイギリスBAEシステムズの思惑が見える。
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ユーロファイターとは?
「ユーロファイタータイフーン」はイギリス、ドイツ、スペイン、イタリアの共同開発で、2003年から配備され、今までに約350機が生産されている。
イギリスのBAEシステムズによるとF-35よりも空中戦能力高いという。さらに射程200kmという空対空ミサイル「ミーティア」を搭載し、短距離空対空ミサイル「アスラーム」は、前方に発射してもUターンして後方の敵機を撃墜できる。
この空対空ミサイル「ミーティア」の改良型には三菱製シーカーの採用が決まっている。したがって、今回の「ユーロファイター」の来日は、日英のミサイルの共同開発のための技術的な目的が考えられる。
しかし、その先にはF-3用の新型空対空ミサイルの共同開発や、F-3戦闘機自体の共同開発の計画が予想される。
欧州各国は米国とF-35を共同開発しており、欧州独自のステルス機開発の計画はない。しかし、F-35の運動性能は第四世代戦闘機であるF-15より低い。したがって2030年ころには、F-35よりも高性能なステルス戦闘機が必要になってくる。
だが、アメリカは単独でステルス戦闘機を開発する方針で、欧州の共同開発のパートナーは日本しかいない。
米国
現時点で圧倒的性能を誇るF-22は生産終了、F-35はやや性能が劣るという状態。次期ステルス戦闘機は2030年初飛行の予定で、実戦配備は2035年ころになる。
しかも、アメリカの次世代戦闘機の開発が遅れる場合もある。したがって、2030年ころ、実戦配備される日本のF-3を保険の意味で共同開発するメリットがある。しかも、共同開発の技術をアメリカの次期ステルス機に反映されることもできる。
アメリカの航空機メーカーはF-22を輸出できなかったことから、ステルス戦闘機としてはF-35しか輸出できない。したがって、日本とステルス機を共同生産することで、F-35以外の航空機を販売することもできる。アメリカにとっても日本と共同開発するメリットある。
また、日本は戦闘機を外国に輸出した経験がないので、欧米メーカーの販売網を利用できるというメリットがある。
まとめ
日本は高性能エンジン「ハイパワースリムエンジン(HSE)」を開発中で、技術的には単独でF-3戦闘機を完成させることができる。しかし、開発費用が100機で4兆円と高額になるため、世界販売してコストを下げないといけない。そのため欧州米国メーカーとの共同生産になるだろう。
しかし、主要部分は日本メーカーで開発し、欧米メーカーは輸出用にローカライズする程度だろう。
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