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参院改革 70年機に一から議論を

 参院各会派の幹部による選挙制度改革協議が始まった。参院選挙区の「1票の格差」是正が主題だが、そもそも参院の役割とは何かについても議論していくという。

     参院が創設されて今年は70年になる。今度こそ「抜本的改革」の名に値する結論を出してもらいたい。

     1票の格差を是正するため「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区が初めて実施された昨年7月の参院選での格差(最大3・08倍)に対し、各地の高裁・高裁支部判決は「違憲状態」10件、「合憲」6件と判断が分かれている。

     最高裁は今夏以降に判断を示す見通しだ。ただし合区を決めた一昨年の改正公職選挙法の付則には、選挙制度の抜本的な見直しについて、2019年の次期参院選に向け「必ず結論を得る」と明記してある。どんな最高裁判断が出ようと見直しが急務であるのは言うまでもない。

     民進党は合区の数をさらに増やす案を中心に検討している。だが昨年の参院選では統合された選挙区での関心は高まらず、著しい投票率低下を招くなど合区の弊害は大きい。

     一方、自民党は各都道府県を単位とする選挙区から最低1人は選ぶという前提に立って、憲法改正も含め検討するよう求めている。

     憲法で参院に地方代表の性格を持たせるのは、私たちも一つの考え方だと書いてきた。ところが自民党は割を食っている関係議員のための合区解消が最優先で、地方代表とは何か、中央と地方を含めた政治全体の中で考えているようには見えない。

     確かにベストの選挙制度は簡単に見つからない。だからこそ「参院とは」から議論すべきではないか。

     衆参両院で与党が圧倒的多数を握る今、数の力で押し切る国会運営が横行し、参院は衆院の決定を追認するだけという場面が目立つ。

     逆に旧民主党への政権交代前のように衆参で与野党がねじれると、法案の成否を握る参院が「政局の府」と化し、決めるべき話も決まらぬ混乱が続く。それをどう克服するか。

     先の大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の意向は貴族院を廃止する1院制だったが、日本側の要請で2院制が残った。「参院の役割とは」は当時から今に続く課題である。

     だが、やはり参院に求められるのは衆院の決定を再考し、行き過ぎがあれば正して補完することだろう。

     そのためにはどんな人材が必要で、どんな選挙制度がいいのか。この際、一から議論してみたらどうか。

     党の決定に所属議員が従う党議拘束を参院では緩くして、個々の判断を重んじるなど法改正を伴わない改革案も前からある。1票の格差是正にとどまらない議論を期待する。

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