学習障害(LD)とは?学習障害の症状と種類別の特徴

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学習障害は発達障害の一種で、「LD」と略されることが多いです。LDにはディスレクシア、ディスグラフィア、算数障害など様々なタイプがあります。知的発達の遅れがないため症状を見逃しやすく、また人によって症状の現れ方も違うので、診断が難しい障害となっています。今回は学習障害の症状と症状別の具体的な特徴をご説明します。

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学習障害(LD)とは?主な症状と3つの種類

学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。

文部科学省は、学習障害を以下のように定義しています。

基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。 
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
学習障害は、基本的には知的発達に遅れが見られない発達障害であるため、知的障害とは全く別の障害となります。

また、医学的な学習障害の診断基準と、文部科学省が定める学習障害の定義の間には、若干の違いがあります。ここでは、文部科学省の定義に近い、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)とアメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版 テキスト改訂版)での3つの分類に従って、学習障害の特徴を解説します。

なお、アメリカ精神医学会の新しい診断基準である『DSM-5』では、これら3つの分類はすべて限局性学習症/限局性学習障害という診断名に統合されています。こちらは後ほど詳しく説明します。


学習障害の種類は主に
■読字障害(ディスレクシア)・・・読みの困難
■書字表出障害(ディスグラフィア)・・・書きの困難
■算数障害(ディスカリキュリア)・・・算数、推論の困難
の3つに分類されます。

苦手分野以外の知的能力に問題が見られないことが多いため、学習障害は発達障害の中でも判断が難しい種類の障害でもあります。読み書きや計算能力は、ほとんどの子どもが就学前には学んでいません。そのため、本格的な学習に入るまで判断が難しく、障害に気づかないことも少なくありません。中にはその人の学習困難が発達障害によるものではなく単なる苦手分野だと判断され、大人になるまで気づかれないことも多くあります。

学習障害の人は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」という5つの能力の全てに必ず困難があるというわけではなく、一部の能力だけに困難がある場合が多いです。読む能力はあっても書くのが苦手、他の教科は問題ないのに数学だけは理解ができないなど、ある特定分野に偏りが見られます。また、同じ「読む」ことの障害でも、ひらがなは問題なくても漢字が苦手など、その状態はさまざまです。一方、読字と書字の障害など、複数が併せて現れる場合も多く見られます。

種類別の学習障害の特徴

学習障害で大きく分類される「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3つの学習障害の特徴を紹介していきます。それぞれの学習障害の人に見られる主な特徴を紹介しますが、学習障害の特徴は人それぞれであり、同じ障害に分類されていても、その中の全ての特徴があてはまるわけではありません。また、他の発達障害がある人は、その特徴が合わさって出ることもあります。

読字障害・読みの困難(ディスレクシア)

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読む能力に困難がある読字障害は、学習障害と診断された人の中で一番多く見られる症状であり、別名でディスレクシア(dyslexia)と呼びます。欧米では約10~20%の人がこの症状があると言われています。ディスレクシアは、ギリシャ語で「読むのが困難」という意味です。

読字障害があると、結果として文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることもあります。

読字障害の人の中には「見た文字を音にするのが苦手」という症状があります。その原因は、情報を伝達し処理する脳の機能がスムーズに働いていないことだと考えられています。文字の見え方にも特徴があり、文字がぼやける、黒いかたまりになっている、逆さまに見える、図形に見えるなど違った見え方になってしまい、認知の仕方が異なります。

また音韻認識が弱く、ひらがなやカタカナのひとつずつは理解していても、漢字(単語)になると理解できなくなってしまうこともあります。漢字の音読みと訓読みの使い分けができなかったり、単語や文節の途中で区切った読み方をするなど、変わった読み方をしてしまいます。

【読字障害の特徴】
・形態の似た字である「わ」と「ね」、「シ」と「ツ」などを理解できない
・小さい文字「っ」「ゃ」「ょ」を認識できない
・文章を読んでいると、どこを読んでいるのかわからなくなる
・飛ばし読み、適当読みをするなど文章をスムーズに読めず、読み方に特徴がある 
・音声にするなど耳から情報は理解しやすい場合が多い など

英語圏ではディスレクシアの発現率は10%から20%といわれているが、日本ではディスレクシア単独の調査がない。
(障害保健福祉研究情報システム)

出典:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Dyslexia.html

書字表出障害・書きの困難(ディスグラフィア)

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「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難がある学習障害を書字障害と呼びます。文字が読めるのにもかかわらず書けない場合も書字障害に分類されます。

書字障害の人は、自分では文字を正確に書いているつもりなのに鏡文字になってしまうなど、文字を書くという動作が苦手です。原因としては、脳内で身体に指示を出し手を動かすという伝達機能がうまくいっていないからだという説が有力です。そのため、文字が書けなかったり、文字を書く速度が遅くなってしまうのです。

【書字障害の特徴】
・鏡文字や雰囲気で「勝手文字」を書く
・誤字脱字や書き順の間違いが多い
・黒板やプリントの字が書き写せない、時間がかかる
・漢字が苦手で、覚えられない
・文字の形や大きさがバラバラになったり、マス目からはみ出したりする など

算数障害・算数、推論の困難(ディスカリキュリア)

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数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手な学習障害を算数障害と呼びます。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合がほとんどです。

「1」「2」「3」などの基本的な数字や、「x」「+」などの計算式で使う記号を認識することに困難をもっています。算数障害の人は数字そのものの概念、規則性、推論が必要な図形の領域を認識するのが難しいです。また、視覚認知の機能が弱く、数字を揃えて書く、バランスを考える、文字間の距離感を取るなどが苦手です。そのため、筆算を書く際に桁がずれることも多くなります。

【算数障害の特徴】
・簡単な数字、記号を理解しにくい
・繰り上げ、繰り下げができない
・数の大きい、小さいがよく分からない
・文章問題が苦手、理解できない
・図形やグラフが苦手、理解できない など

年齢別に見た学習障害の症状の現れ方

学習障害は、本格的な学習に入る小学生頃まで判断が難しい障害です。子どもの成長速度は人それぞれ。「なかなか歩かない」「全然しゃべらない」といった子どもの行動の一つ一つは気になりますが、ただ成長がゆっくりである可能性もあります。

学習障害の人の中にはADHDや自閉症などの他の発達障害の合併症状を持っている人も多く、その場合は、乳幼児期に特徴があらわれる場合もありますが、合併が無い場合は、この時期にはっきりと判断をするのは難しいと言えます。ある程度知能が育ち、行動に特徴が現れやすい学習を始める小学生頃にならないと、学習障害とは判断しにくいのです。

特に乳児期は学習障害の特徴は見分けにくいといえます。他の発達障害の特徴として、抱っこされるのを嫌がる、視線を合わせない、言葉を真似する行為が見られないなどの症状がみられるなど、他の発達障害の症状を目安にし、学習障害の確実な診断は学習を始める年齢以降にするしかありません。

以下では年齢別に見られる学習障害の特徴を紹介します。幼児期の目安もあくまで他の発達障害を合併している場合です。

幼児(1歳〜小学校就学)

就学前なので学習障害の特徴はまだ現れにくいですが、この頃から子どもは言葉を話し始めたり、学習を始めます。少しずつ学習障害の子の多くが持つ特徴が見えてきます。

【幼児の学習障害の特徴】
・言葉、文字を覚えるのが遅い
・折り紙が折れない、ボタンがとめられないなど手先が不器用
・身体の使い方がぎこちない など

小学生(6歳〜12歳)

小学生になると本格的に学習が始まります。勉強において特定の科目が苦手な場合や読み書きに困難がある場合、学習障害の可能性があります。同年代の子どもと比べて学習の習得が著しく遅い場合、学校の先生や専門機関で相談してみることをおすすめします。ここからは就学期に入るため、「読字障害」、「書字障害」、「算数障害」ごとに特徴を分けて書いていきます。

【小学生の学習障害の特徴】
・授業を真面目に聞いていても勉強が苦手、ついていけない など

■読字障害
・ひらがな・漢字が読めない
・たどり読み・推測読みになってしまう
・行を飛ばして読んでしまう
・文章を読むのを嫌がる など

■書字障害
・うまく文字を書くことができない(線を抜かしたり、鏡文字を書いてしまう)
・板書ができない、時間がかかる
・行やマス目からのはみ出しが大きい
・文字を書くのを嫌がる など

■算数障害
・数が数えられない、とばして数えてしまう
・時計が読めない、時間が分からない
・計算ができない
・筆算をするときに数字がずれて間違えてしまう
・計算を嫌がる など

中高生(12歳〜18歳)

中高生になるとはっきりと学習能力の偏りが見えてきます。何かの能力が極端に低い場合には、単なるなまけや得意・不得意だとは判断せず、学習障害である可能性も考えましょう。英語の学習が始まると、国語にはあまり不自由しなかった子どもも、英単語の読み書きなどに極端に困難さを感じる場合もあります。

【中高生の学習障害の特徴】
■読字障害
・小学生で習うような漢字であっても読めない場合がある
・英語の単語が読めない など

■書字障害
・卒業作文などの長い文章がかけない
・英単語が書けない など

■算数障害
・計算はできるが、文章題が解けない
・図形関連の問題が解けない など

これらの特徴も、発達障害の合併症として現れることもあります。

成人期(18歳〜)

最近では、大人になってから学習障害だと診断される人も少なくありません。もし大人になってから様々な学習困難に直面したら、学生時代や子どもの頃を振り返ってみて、学習障害と疑われる特徴があった場合には、一度、発達障害者支援センターなど、専門機関に相談しましょう。また、学習障害以外の発達障害との合併症を持っている可能性も考えられます。早めに診断を受けに行きましょう。

【成人の学習障害の特徴】
・上司の注意を聞いてもうまく理解できず同じ失敗をする
・電話で聞きながらメモを取れない
・話がうまくまとめられず企画案を作成できない
・集団で指示されるのが苦手で会議で辛い思いをする
・レポートが書けない
・お釣りの計算や金銭管理ができない など

学習障害の特徴チェック

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学習障害を早期発見することで子どものやる気の低下、自信喪失などの二次障害を避けることができます。参考までに「読字障害」「書字障害」「算数障害」ごとの特徴を以下に記載します。特徴が当てはまるかチェックをしてみてください。

チェックする大切なポイントは「年齢に見合った動きができているか」です。年齢相応の習得の度合いと比較してチェックしましょう。また、これはあくまで学習障害の可能性があるかどうかという参考程度のチェックリストであることに注意してください。多く当てはまる場合は、診断を受けてみることをおすすめします。診断は子育て支援センターなどの専門機関の窓口に相談した上、専門医師によるものを受けてください。
■読字障害
□漢字の訓読みと音読みを使い分けるのを苦手とするように見受けられる。
□単語の単位をつかむのを苦手とする。一文字ずつ読んでしまい、まとまりのない読み方をすることが多い。
□文字や行を飛ばして読むことが多い。
□特殊音節(拗音・長音・促音)であらわされる文字を発音できない。

■書字障害
□漢字を書く際に、鏡文字を書くことが多い。
□文字を書く際に、余分に線や点を書いてしまうことが多い。
□年相応の漢字を書くことができないことが多い。
□間違った助詞を使ってしまうことが多い。
□文字の大きさや形がバラバラ・マス目からはみ出る。

■読字・書字障害の合併(読み書き障害)
□上記の読字・書字障害のチェック項目に当てはまるものが多い
□ひらがなの読み書きを苦手とする。例えば「ね」「れ」「わ」が一緒に見えてしまうように見受けられる。
□カタカナの読み書きを苦手とする。例えば「ソ」「ン」、「シ」「ツ」が一緒に見えてしまうように見受けられる。
□特殊音節(拗音・長音・促音)の読み書きを苦手とすることが多い。

■算数障害
□数を覚えるのに時間がかかることが多い。
□数の大小の概念を理解できていないように見受けられる。
□九九を習得している年齢なのにも関わらず、九九を覚えられていない。九九を暗記しても計算に応用できない。
□繰り上がり繰り下がりの筆算ができないことが多い。

学習障害の診断方法・基準

医療機関での診断は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準に基づいて診断されます。医療機関では脳の異常はないか、知的な部分に障害がないか、困難な能力に偏りがないかを調べます。

『DSM-5』の1つ古いバージョンである『DSM-IV-TR』では学習障害は「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」の3つに分類され診断されていました。最新版である『DSM-5』では、すべて「限局性学習症・限局性学習障害」とひとくくりにされ診断されます。以下が『DSM-5』の診断基準です。


A.学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状の少なくとも1つが存在し、少なくとも6ヶ月間持続していることで明らかになる:

(1)不的確または速度が遅く、努力を要する読字(例:単語を間違ってまたゆっくりとためらいがちに音読する、しばしば言葉を当てずっぽうに言う、言葉を発音することの困難さをもつ)
(2)読んでいるものの意味を理解することの困難さ(例:文章を正確に読む場合があるが、読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解していないかもしれない)
(3)綴字の困難さ(例:母音や子因を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりするかもしれない)
(4)書字表出の困難さ(例:文章の中で複数の文法または句読点の間違いをする、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない)
(5)数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ(例:数字、その大小、および関係の理解に乏しい、1桁の足し算を行うのに同級生がやるように数字的事実を思い浮かべるのではなく指を折って数える、算術計算の途中で迷ってしまい方法を変更するかもしれない)
(6) 数学的推論の困難さ(例:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、または数学的方法を適用することが非常に困難である)

B.欠陥のある学業的技能は、その人の暦年齢に期待されるよりも、著明にかつ定量的に低く、学業または職業遂行能力、または日常生活活動に意味のある障害を引き起こしており、個別施行の標準化された到達尺度および総合的な臨床消化で確認されている。17歳以上の人においては、確認された学習困難の経歴は標準化された評価の代わりにしてよいかもしれない。

C.学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにはならないかもしれない(例:時間制限のある試験、厳しい締め切り期間内に長く複雑な報告書を読んだり書いたりすること、過度に思い学業的負荷)。

D.学習困難は知的能力障害群、非矯正視力または聴力、他の精神または精神疾患、心理社会的逆境、学業的指導に用いる言語の習熟度不足、または不適切な教育的指導によってはうまく説明されない。

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
これらの判断基準をもとに心理専門家など複数の専門家が慎重に判断してくれます。この診断が出た上で、以下の基準から「読字障害」「書字障害」「算数障害」のうち、どれが強いかが特定されます。

315.00(F81.0) 読字の障害を伴う:
  読字の正確さ
  読字の速度または流暢性
  読解力
  
315.2(F81.81) 書字表出の障害を伴う:
  綴字の困難さ
  文法と句読点の正確さ
  書字表出の明確さまたは構成力

315.1(F81.2) 算数の障害を伴う:
  数の感覚
  数学的事実の記憶
  計算の正確さまたは流暢性
  数学的数理の正確さ

出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
診断の流れは、医療機関などによっても異なりますが、まずは問診で現在の症状や困りごと、赤ちゃんの時から今までの生育・養育歴、既往症や家族歴などを調べていきます。脳波検査、頭部のCT、MRIなどでてんかんや脳の器質的な病気といった異常がないかを検査します。そして知能検査や認知能力検査などの心理検査を行います。

知能検査では「WISC-Ⅳ」が代表的です。「WISC-Ⅳ」では本人のもつIQ水準をチェックし、言語理解、知覚推理などを検査します。(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月の幼児の場合は「WPPSI」、5歳から16歳11ヶ月の子どもは「WISC」、16歳以上の成人の場合は「WAIS」という知的検査を受けることによって検査結果がでます。)

認知能力検査では日常生活や学校で習得できた知識や情報を認知的に処理する能力を調べ、認知処理能力と習得度を比較できる「KABC-Ⅱ」などを行います。

これら様々な情報を元に、総合的に学習障害であるかを判断するのです。また、こうした過程でADHDや高機能広汎性発達障害などが合併していないかも確認します。

学習障害の疑いを感じたらどうすればいい?

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学習障害は専門家でさえも判断するのが難しい障害です。そのため、チェック項目で当てはまる症状が多いからと言って個人で決めつけず、まずは専門家に相談をしてみましょう。就学児であれば担任の先生に相談してみても構いません。学校へ相談すると学校での生活の様子などを配慮し、それらを考慮した専門家を紹介してくれます。

また、障害だとわかりにくいため、周りから理解も得られず、本人がつらい思いをしていることも多いと言えます。できるだけ早期に、小さい頃から学習障害に対する教育方法や療育などの対処法を始めると、その後の発育に大きな違いがみられます。

はじめの一歩を踏み出すのには勇気がいるかと思いますが、一歩を踏み出すことによって色々な悩みが軽減されます。学習障害ではないと診断された場合でも、困難を乗り越えるための様々なアドバイスをしてもらえることが多いので、一度相談してみることをおすすめします。

診断を受ける前に、まずは専門期間で相談を

発達障害なのかな、と疑問を持った場合、いきなり専門の医療機関に行くのは難しいので、まずは身近な専門機関の相談窓口で相談するようにしましょう。発達障害の疑いがある場合には専門医を紹介してくれます。

子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

知能検査や発達検査は児童相談所などで無料で受けられる場合もありますし、障害について相談することも可能です。その他、発達障害者支援センターで障害についての相談ができます。

自宅の近くに相談機関が場合には、電話での相談にものってくれることもあります。以下は小児神経学会が発表している、発達障害診療医師の名簿です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。

まとめ

学習障害は軽度、重度によって発見時期が異なります。さらに、軽度な場合は本人や周りが気づかずに成長する場合も少なくはありません。知能には問題がなく、学習面である「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」といったある特定の能力の困難を「苦手な分野」と判断されてしまうため、発見しづらい障害なのです。

また、学習障害の症状は人それぞれです。学習障害のある人の中でも文章を構成するのが得意な人もいれば、算数が得意な人もいます。学習障害の早期発見は子どもの健やかな未来を創り上げます。そのためにもお子さんのサインを見逃さず、成長過程を優しく見守っていきましょう。
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 所長 (アドバイザー)
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