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東電原発事故 菅元首相ら42人を不起訴 検察当局「地震、津波の予見困難」

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東電原発事故 菅元首相ら42人を不起訴 検察当局「地震、津波の予見困難」

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、東電幹部らが業務上過失致死傷などの罪で告訴・告発された問題で、検察当局は9日、菅直人元首相(66)や東電の勝俣恒久前会長(73)ら42人全員を不起訴とした。法人としての東電も不起訴にした。告訴・告発した市民団体は検察審査会に審査を申し立てる方針。

 検察当局は同日の記者会見で「関係者が今回の規模の地震や10メートルを大きく超える津波を具体的に予見することは困難だった」と指摘。震災後の対応については「放射線量が上昇する過酷な環境であり、他の対応策を講じていれば、事故を確実に回避できたとは認められない」と結論づけた。

 原子炉格納容器の圧力を下げるベントについては「既に東電が応急の措置を講じていた」として、菅氏の現地視察や政権幹部の対応に問題はないとした。

 不起訴となったのは、勝俣氏ら東電元幹部▽菅氏ら当時の政権中枢の民主党議員▽原子力安全委員会(廃止)の班目(まだらめ)春樹元委員長(65)ら原子力行政担当者-の計42人。事故対応の権限があった人物は「嫌疑不十分」、その他の人物は「嫌疑なし」とした。

 告訴・告発で市民団体は、東電や政府関係者が、安全対策を怠って事故を引き起こし、避難を遅らせて入院患者を死亡させたり、多数の住民を被曝(ひばく)させたりしたなどと主張。検察当局は昨年8月に告訴・告発を受理し、東京地検と福島地検で捜査を進めていた。

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