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朝日記者、首相の持病揶揄ツイートで炎上の深層

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第197回】 2017年2月18日
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 事の発端は、トランプ大統領との首脳会談で安倍晋三総理が渡米した際に発信された朝日新聞社・神田大介テヘラン支局長のツイートである。

 〈安倍首相、大丈夫かな…またおなか痛くなっちゃうのでは〉(2月11日)

 このツイートが、安倍総理の持病を揶揄しているとの理由で大炎上した。その模様は産経読売の両紙のみならず共同通信までが報じたほどだ。

 安倍総理の持病は腫瘍性大腸炎と言い、治療法が確立されていないため国の難病指定を受けている疾患(特定難治性疾患)だ。繰り返す腹痛と下痢を抑えることができないのが症例で、そのために二〇〇七年、安倍総理はわずか一年で総理の座を降りてもいた。

 また、腫瘍性大腸炎は難病の中ではもっとも発病率が高いとも言われ、発症者が急増しているのだそうだ。二〇一四年の調査(厚生労働省)では、発症者数は全国で約十七万人以上となっている。

 安倍総理の持病を揶揄したツイートは、同時に、治療法の見つかっていないこの病気で苦しむ十七万人以上の人たちを揶揄したにも等しかった。だから、神田支局長は批判された。朝日の記者ってのはなんて無神経なのだと。人権だ寛容だ多様性だと言っているその口で病いに苦しむ人たちをからかうのかと。

 批判を受け、神田支局長は謝罪の言葉とともに当該ツイートを削除した。

 〈このツイートは不適切だったので削除しました。安倍首相をはじめ、病気を揶揄するつもりはなかったんですが、そのように受け取られて当然のひどいツイートでした。お詫びし、撤回します。申し訳ありませんでした〉

 それでも批判される。揶揄するつもりでなかったのなら何なのだ、失言の自民党議員や不祥事を起こした企業が謝罪しても朝日は許さないだろう等々。神田支局長が応える。

 〈たくさんのご指摘をいただきました。自分の考えの至らなさ、まったくお恥ずかしい限りです。以後、このようなことがないよう注意いたします。重ねて安倍首相をはじめ、みなさまにお詫びします〉

 それでも批判はやまず、同じ病に苦しむ人からも批判が寄せられた。再び神田支局長が応じる。

 〈これは本当に、トランプ氏の登場による首相への重圧を心配してツイートしたんですが、そのように伝わらなくて当然だったと思います〉

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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