金正男氏が北朝鮮によって殺害されたことが明らかになれば、北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)委員長を国際刑事裁判所の法廷に立たせることをこれまで以上に真剣に検討しなければならない。これまで国連の「北朝鮮の人権に関する調査委員会(COI)」は北朝鮮における深刻な人権問題を懸念し、国際刑事裁判所に金正恩氏を提訴することも検討されたが、現時点では何の成果も出ていない。
金正恩氏は2011年12月に権力を握ると、叔母の夫である張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長をはじめとして、朝鮮労働党、政府、朝鮮人民軍の幹部だけでも100人以上処刑した。時には大型の機関銃を使った処刑や公開の場での処刑も全く珍しくなかった。これでは一般住民はもちろん、党や政府、軍の幹部まで日々恐怖の中で過ごさざるを得ないのは当然のことだ。そのため金正恩氏を国際刑事裁判所に提訴するだけでも、北朝鮮にとっては大きな打撃になるはずだ。