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【外交・安保取材の現場から】
「マッド・ドッグ」が中国に送ったメッセージ 防衛省幹部「オーラが違う」
もちろん、マティス氏が安倍首相との会談や共同記者会見で見せたのは、中国に対して物わかりの良い顔だけではなかった。
日米安全保障条約第5条の尖閣諸島(沖縄県石垣市)への適用を明言し、南シナ海についても「中国は地域諸国の信頼をズタズタにした」と批判した。安倍・マティス会談に同席した関係者によると、「中国は冊封体制(tributary system)を復活させようとしている」とも述べ、地域覇権を追求する中国の動向に懸念を示したという。
こうした発言は、発足間もないトランプ政権が不安視されていた中で、日本政府が待ち望んでいたものだった。マティス氏の影響は米軍最高司令官である大統領にも及んだ。トランプ氏は10日にワシントンで行われた日米首脳会談で、マティス氏が来日中に示した路線をほとんどそのまま尊重する姿勢を示した。
マティス氏の落ち着いた物腰や知的な言葉遣いもあり、防衛省幹部は「オーラが違う。米国で尊敬される理由が分かった」と述べ、感銘を受けた様子を隠さない。今やマティス氏は、日本政府が最も強い信頼を寄せるトランプ政権幹部と言っても過言ではない。
「マティスがいるから安全保障は大丈夫」
知日派として知られるフリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が13日に辞任した際、外務省幹部が日米同盟への影響を否定した根拠は、やはりマティス氏だった。