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【ビジネス解読】消費者物価急騰におののく韓国…政策目標達成も「庶民は死んじゃう」「既にスタグフレーション」の悲鳴

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消費者物価急騰におののく韓国…政策目標達成も「庶民は死んじゃう」「既にスタグフレーション」の悲鳴

外食を中心に物価上昇の続く韓国。スタグフレーションを警戒する声もあがっている(ロイター) 外食を中心に物価上昇の続く韓国。スタグフレーションを警戒する声もあがっている(ロイター)

 こうした状況から、現代経済研究院は5日、韓国経済について「低成長・高物価基調に移行していく可能性がある。国内経済のスタグフレーション突入の恐れも排除できない」とする報告書をまとめた。

 原油価格が上昇傾向にあり、昨年の台風被害などにより穀物など農畜産物価格も上昇した。さらにドル高による輸入品価格の値上がりなどを踏まえ、「悪いインフレ」とされるコストプッシュ型インフレが進むとの見立てだ。悪いインフレが進む中、国内景気の低迷や政治の停滞が続けば、物価上昇と景気後退が同時に発生するスタグフレーションの懸念も否定できない。

ネットで悲鳴「給料も上げて」「20年前も政府は否定」

 韓国銀行は中期の物価上昇率目標として2.0%を掲げている。このため、韓国のポータルサイト大手ネイバーの掲示板には、「祝!政策目標達成…おかげで、庶民は死んじゃうよ」と皮肉な書き込みがなされたほか、「給料もちょっと(物価に)合わせてあげてくれ」と切実な声もある。

 同様に「既にスタグフレーションになっている」「チェ・ギョンファン経済副首相がデフレうんぬんというが、長期低迷、失業率、物価上昇率だけ見てもぴったり答えは出ている」と、厳しい批判の声も少なくない。

 このほか、97年の通貨危機に伴うIMFの韓国救済を踏まえ「IMF救済の直前にも、政府は『通貨危機はない』と説明していた」「IMFの時、外国の機関は事前に警告した。政府と韓国銀行だけはないと主張した」と20年前の国家破綻危機時と、現在の状況を重ねる発言も目立つ。

 トランプ米大統領の就任以降、世界経済の先行きに対する不透明感は高まる一方だ。こうした状況下で、次期大統領をめぐる政争や、慰安婦像にからむ反日活動に政治家の多くが注力する現状こそが、韓国の庶民にとって一番の不幸なのかもしれない。(経済本部 内田博文)

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