南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報問題を巡り、2012年1月に部隊派遣を始めてから5年間にわたるすべての日報が電子データで防衛省で保管されていたことが17日、明らかになった。情報公開請求に対し「廃棄した」として不開示にしていた昨年7月分だけではなく、全日報の保管が国会などでの追及後に発覚しており、防衛省が情報公開に適切に対応できる文書管理をしていたかが問われそうだ。
稲田朋美防衛相が17日の衆院予算委員会で民進党の後藤祐一氏の質問に答弁した。
防衛省によると同日までに、12年1月16日以降の全日報が発見された。フリージャーナリストからの情報公開請求があった昨年7月分の日報の電子データを保管していたのと同じ防衛省統合幕僚監部にあった。一括管理ではなく、統幕の二つの部署の共有フォルダーの中に複数のフォルダーがさらに枝分かれした形で残っていた。15年10月の組織改編前は、内局の部署が共有フォルダーで保管していたという。
陸自の文書である日報を、統幕が使用する目的は、省内などに配布する南スーダンPKOの活動概要を作成する際に参照するほか、派遣部隊の活動状況を統合幕僚長に報告する基礎資料づくりに参照するためだったという。
日報は陸自の「指揮システム」にある掲示板にアップロードされており、アクセス権限があれば陸自だけでなく、統幕もダウンロードできた。1年未満の保管期間に基づき、陸自の派遣部隊や自衛隊の上部部隊は一定期間で日報の電子データを「用済み」として廃棄(削除)しており、今回見つかったのは統幕がダウンロードして残されたデータとみられる。
情報公開のあり方に詳しいNPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「保管期間が短いから軽微な文書という扱いになり、ずさんな管理につながる。防衛省と自衛隊は情報公開に前向きになるべきだ」と批判した。【町田徳丈】