坂上忍

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 一部マスコミでフジテレビ系の情報番組『バイキング』が好調だと伝えられていたが、1月末から2月上旬の視聴率一覧を見てみると、決してそうではないことがわかった。

 年明け1月5日の放送回で番組最高視聴率の7.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)を記録し、昨年同時間帯トップだったTBS系『ひるおび!』と並んだことが報じられていたが、その後のデータを見ると1月30日は4.6%、31日は4.4%、2月1日は3.8%、2日は4.6%、3日は3.8%と相変わらずの低調。

 この5日間、『ひるおび!』は一番低い日でも6.7%で、ほかも7〜8%台をキープ。テレビ朝日系『ワイド!スクランブル』、日本テレビ系『ヒルナンデス!』と並んだ情報番組戦争で、『バイキング』は4番組中、30日に『ワイド〜』にわずか0.1%勝っているだけで、あとはすべてビリなのである。

 その30日も、テレ朝が途中挟んだ『徹子の部屋』の5.2%には負けているから、上回ったとも言い切れない。

 特にひどかった3%台の日は、1日が「ASKAと会った川合俊一」の出演で、川合はASKAから警察の尿検査でお茶とすり替えた話の説明を受けたことを明かしたものだったが、世間はすでに不起訴となったASKAの容疑の中身については、あまり関心がなかったようだ。

 また、3日の放送では、米・トランプ大統領がオーストラリア首相に暴言を吐いた話などを特集。MCの坂上忍が「子どもじみている」と大統領に苦言を呈したが、ほぼ同じネタを扱った『ひるおび!』『ワイド〜』に大きく水をあけられており、そもそも番組の作り方自体があまり支持されていない模様だ。

 同番組は、31年半続いた『笑っていいとも!』の後継番組で、生放送のバラエティ番組という形だったが、1%台を記録する惨敗で何度かリニューアル。

 現在は時事ネタについて生討論する情報番組の色を強め、一時的に視聴率が上がったこともあったが、現状を見る限り、それも長続きせず、開始当初ほどの不振ではないにせよ、低視聴率に変わりはないという結果だ。

 番組出演したことがある記者によると、「バイキングは生討論といっても、実は、情報番組では異例の2時間に及ぶリハーサルを行ってから収録していますよ」という。

 また、視聴者のネット上の感想を見ていると「坂上が毒を吐いて厳しく叩くのは弱い者ばかりで、強い者には何も言わない」というニュアンスの意見が数多く見受けられる。これについてはライバル番組、テレ朝『ワイド〜』のディレクターは、こう指摘する。

「時事ネタ色を出せば、報道という枠になります。報道というのはジャーナリズムであって、権力者の監視、つまり力の強い者への抵抗が求められる。先日、ウチの番組に元都知事の猪瀬直樹さんが出演して、出演者から厳しい質問を浴びせられました。猪瀬さんは“元権力者”ですけど、強い者の側にいた人ですから、厳しくやるのは当然なんです。坂上さんが毒舌で勝負するなら、少なくとも権力者とか立場のある強い人に、直接言葉をぶつけることをしないと、偏っているように見えてしまう。ゲストに“元権力者”である東国原英夫さんとか、記者や弁護士まで並べてターゲットを批判するのは、弱い者いじめをしているようにも映る」

 実際、坂上は10日の放送で、タレントの松本伊代と早見優が線路内への侵入で京都府警から書類送検されたことについて「重すぎる」と擁護。大物タレントのことになると、腰が引けるようにも見えた。

 低視聴率の原因はそれだけではないかもしれないが、いずれにせよ、一部で言われているほど『バイキング』が躍進しているわけでないのは確かだろう。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)