2016年10月24日
ホームドアで転落防ぐ
駅のホームから転落する事故を防ぐ取り組みが
進められています。
神奈川県の京浜急行・三浦海岸駅です。
10月24日、この駅で
新しいタイプの「ホームドア」が公開されました。
ホームドアの設置を急ぐ背景には
2016年に相次いでいる転落事故を防ぐねらいがあります。
8月には東京で、盲導犬を連れていた視覚障害者の男性が
線路に転落し、電車にひかれ亡くなりました。
こちらの写真には、線路上にうつぶせになる女性。
その脇には杖があります。
先週行われた、
視覚障害者の方が駅のホームから転落した場合に
どう行動すればよいかなどを自ら体験したときの様子です。
というのも、視覚障害者の団体が行った調査では
実におよそ4割の方が
実際に「ホームから転落したことがある」と回答。
事故を防ぐため、
視覚障害者へのアンケートで要望が多かったのが
こちらの3つですが、トップは「ホームドアの設置」でした。
ところが実際には全国の利用者が多い駅でさえ、
そのわずか2割程度の駅にしか
設置されていないのが現状です。
整備が進まない理由のひとつが、たとえばこちら。
2ドアと3ドアの電車が停車する駅にホームドアを設置すると
このように「開閉位置があわない」という問題です。
実は最初に見ていただいた新しいホームドアは
この問題を解消するためのものでした。
通称『どこでもドア』。
まず、ホームに入ってきたのは2ドアの電車です。
車両の、画面左の部分にはドアがないため
ホームドアは開かず、
右の部分のホームドアだけが開きました。
次に...ホームに入ってきたのは3ドアの電車。
すると先ほどは開かなかった画面左のホームドアも
車両のドアにあわせて開きました。
センサーが車両ドアの位置を感知し
ホームドアも自動で開く仕組みになっています。
1年ほど実証実験を行ったのち、
実用化を目指すということです。
もう1つの課題は1駅につき数億から10数億円
かかるともいわれる高額な設置費用です。
これについては鉄道事業者だけでなく
国と自治体が3分の1ずつ費用を負担することで
普及に向けて本腰を入れています。
ホームドアが設置されている駅は10年前は318駅でした。
現在はその倍の665駅まで増えました。
国は、東京オリンピック・パラリンピックが行われる
2020年度までに、800駅まで増やしたい考えです。
10万人以上が利用する駅を優先的に
たとえばJR京浜東北線の
上野駅や赤羽駅などが近く導入予定です。
駅ホームでの事故は視覚障害者だけでなく
酒に酔った人や、体調不良になった人も多いという点も
忘れてはいけません。
村尾キャスターからは
「ハードの施設は必要で進めて欲しいが
やはり基本は私たち利用者の意識だ。
『危ないな』と思ったら声をかける。
線路に落ちた人を見たら非常停止ボタンを押すなど
こうした行動で事故はずいぶん減ると思う」
との指摘がありました。