ボア科のなかでは世界で最も希少とされるクロパンズボア(Corallus cropanii)が、ブラジル、サンパウロ郊外の急速に縮小しつつある大西洋岸森林で発見された。
1月21日、リベイラ渓谷において、この体長1.7メートルほどのメスを見つけたのは地元の農家だった。写真家のジョネ・ホリス氏によると、これは1953年以降では、初めて発見された生きた個体だという。(参考記事:「銀色の新種ヘビ発見、絶滅の恐れも、バハマ無人島」)
何十年もの間、謎に包まれていたこの希少なヘビを見つけるために、地元の人々の協力を仰ぐという作戦が功を奏した成果だった。(参考記事:「猛毒ヘビ「デスアダー」の新種を発見、豪州」)
米ミルウォーキー公立博物館の名誉学芸員で、爬虫両生類学者のロバート・ヘンダーソン氏は、「これは驚くべき発見です。実にすばらしい」と述べている。
得意なのは「噛みつき」
リベイラと呼ばれる地域に住む農家の人々は、ヘビを見るとたいていは殺してしまう。命に関わる危険があるからだ。
地元民によるこうしたヘビ対策のせいで、サンパウロ大学動物学博物館とブタンタン研究所の科学者らはこれまで、死んだ個体しか手に入れることができなかった。その数は過去64年間でわずか5体だ。(参考記事:「車にひかれたヘビ、実は新種だった、キルギス高地」)
ヘビの死骸からは、彼らがどんな姿をしているのか(体色は明るい茶色で、背中にこげ茶か黒の斑点がある)や大きさなどの基本的な情報を知ることができたが、それ以外のことはほとんどわからなかった。クロパンズボアの近縁種のヘビは樹上で暮らし、「噛みつくのが得意」だとヘンダーソン氏は述べている。(参考記事:「噛みつく奴ら」)
「このヘビは樹上で食事をするため、獲物を地面から上まで引っ張り上げなければなりません。ですから、歯で獲物をがっちりと捕らえて、落とさないようにすることが必要なのです」(参考記事:「ヘビの木登りは「安全第一」」)
地元の人々のファインプレー
科学者らは、数十年前にクロパンズボアが数匹見つかっているリベイラ渓谷への調査旅行を実施したが、何の成果も得られなかった。そこで今度は、口コミを利用することにした。
2016年10月、ブルーノ・ホーシャ氏、ダニエラ・ジェンナリ氏、リヴィア・コヘイア氏の3名が、地元のコミュニティでクロパンズボアについて詳しく説明したり、写真が掲載されたパンフレットを配ったりし始めた。地元の人々が(できれば鉈で打ち殺す前に)ヘビをすぐに見分けられるようにするためだ。
調査チームは彼らに、ヘビをすくい上げてバケツに入れる方法を教え、自分たちのメールアドレス、電話番号、メッセージアプリ「WhatsApp」の連絡先などを渡した。
こうして捕獲されたクロパンズボアは、入念な検査を受けた後、小型の無線追跡機を体内に埋め込まれてリベイラ渓谷に返された。今後はこの個体が、彼らの寿命や交尾の習性について、もっと多くのことを教えてくれるかもしれない。