女優の清水富美加さん(22)が宗教法人 幸福の科学への出家を発表したことに対し、世間の注目が集まっています。これを受けて大手芸能事務所は、宗教を事前に申告させる措置を取ることも検討しています。
写真はイメージです
清水富美加の出家を受け 、大手事務所が事前申告を求める措置?
大手芸能事務所は今回のような損害を避けるために、本人に信仰している宗教を事前に申告させる措置を取ることもやむを得ないとし、オーディション時の応募書類にも宗教を書く欄を設けることも検討しているとのことです。
【宗教と憲法】事前申告措置は適法なのか?
今回事務所の行おうとしている措置、何か法律上の問題はないのでしょうか?
改めて考える良い機会だと思いますので、今回は宗教と憲法について話したいと思います。
まず、日本国憲法には【信教の自由】に関する条文があります。
- 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
- 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
- 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
(日本国憲法第20条)
信教の自由は、
- 信仰の自由
- 宗教的行為の自由
- 宗教的結社の自由
で成り立っており、文字通り誰がどんな宗教を信仰し活動をしても、もしくは全くしなくてもいいんだよ、ということです。
しかし、信仰というものは頭の中で行うもの(内心の信仰)だけではありません。その思想により物理的な活動をし、その他の人物に影響を与えることがあります。
ですから信教の自由にも制約を設ける必要がある、という考えがあります。「他に迷惑をかけない限り」、つまり公共の福祉に反しない限り、信教の自由が保障される、と考えられるのが一般的です。
さらに信教の自由では、自分が何の宗教を信仰しているかを言っても言わなくてもいい、宗教開示の自由が保障されるとも考えられます。
では今回、契約事務所の行おうとしている宗教を事前に申告させる措置は憲法に反しているのでしょうか?
ここでポイントとなるのが先ほど述べた「公共の福祉に反しない限り」です。
例えば、信教の自由に関する非常に有名な判例に【エホバの証人輸血拒否事件】というものがあります。
宗教(エホバの証人)上の理由から輸血を拒否していた患者に対し、救命のためのやむを得ない措置として医師がその患者に輸血を施しました。
この行為に対し、患者が憲法上の権利を侵害されたとして、国と医師を相手取り、損害賠償請求の訴えを起こし、請求が認められたという判例です。
この場合は患者が前もって「輸血は受け入れない」との意思をはっきりと医師に伝えていたため、医師による権利侵害が認められたものですが、もし同じようなケースで患者が輸血拒否に対して何も伝えていなかったらどうでしょうか?さらに複雑な問題に発展しかねません。
そのようなリスクを避けるためにも、医療関係者が患者に対し宗教開示を求める場合があります。その場合は憲法違半にはあたらないとされることがあります。
それでは今回の芸能プロダクションが行なおうとしている宗教申告システムは一体何のリスクを回避しようとしているのでしょうか?
最も大きいリスクは恐らく仕事がなくなった時の損害賠償責任でしょう。
今回の清水富美加さんのケースでも映画やCMなどの多数の出演予定作品があったことで、事務所の賠償額もかなりの額だと言われています。
そのような事務所のリスク回避が、信教の自由を制限するやむを得ない理由であると認められれば、憲法上違法性はないと判断されるでしょう。しかし、非常に繊細で個人の決定権に関わる問題なので時間をかけて慎重に解釈を広げていく必要があります。
今後どうなっていくのか、法律的視点からも非常に興味深い問題です。皆さんも今回を機に、宗教と憲法について考えてみてはいかがでしょうか。